春の嵐

 凄い勢いの風が舞う。

 顔にチラシがまとわりつく。

 なんて、漫画みたいな状況があるなんて。

 今朝はシンクの三角コーナーに卵を割り入れ、今、コンビニの前にバナナの皮が落ちている。

 大袈裟な音をたてて、チラシが天空へと還って行った。

 誰がやるか、と思いながらバナナの皮をやり過ごし、コンビニでコーヒーを買った。

 近頃のコーヒーは美味しいと思う。

 マンションの間から、梅の枝が伸びているのが君の足跡みたいに見えた。

 淡いピンクの可愛らしい手たち。

 前髪が、重力を無視するように踊り遊ばれ、思わず目を瞑った。

 四月になる前に、髪を切りに行こう。

 君の、シャンプーも。


 

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