【長編】 ラブコメ★オセロはルール無用っ!! ~陰キャな僕が、気づいたら大分こじれた四角関係に巻き込まれていた~
音乃色助
ラブコメ・オセロの前半戦
第一幕 ~葵クジラの非日常~
1. 「じゃあ、お疲れ様でした」
『高校生』って言われて、何を思い浮かべる?
――恋愛、友情、思春期、ほろ苦い青春の一ページ……
思い浮かぶイメージは人それぞれだとは思うけど、「高等学校に通う十代の若者」と、辞書通りの意味を杓子定規に思い浮かべる人は稀だろう。『時を駆ける』のは女子高生が相場と決まっているし、『甘酸っぱい青春物語』の主人公はいつだって高校生だ。……でも、ちょっとだけ待って欲しい。
僕たちが生きる『リアルな世界』での高校生って、実際のところどうなんだろう?
物語の世界のように、みんながみんな、キラキラした汗をめいっぱいかいていたり、恋煩いに夜な夜な想いを馳せていたりするのだろうか。
――答えは、『否』。この仮説を立証するのは赤子の手をひねるより簡単だ。
何故かって? ……だって僕、今リアルタイムに高校生やっているけど、僕の高校生活にそんな甘酸っぱい成分なんて皆無なんだもの。
僕……、あ、名前を『葵クジラ』って言うんだけど、
都立高校に通う二年生で十七歳。
容姿は普通、平均身長、成績はちょうど真ん中くらい。補導歴もないし、年に数回は風邪を引く。もちろん彼女なんていないし、というかそもそも友達が殆どいない。
――唐突だけど、あなたのクラスメートの名前を、一人一人思い出してみて欲しい。すでに高校を卒業しているなら、その当時のことを思い浮かべてみて。
……たぶん、全員の名前を挙げることは無理だと思う。で、そのとき挙げられない奴の代表が僕だと思えばいい。
そんな僕の語りから始まるのが今回の『ラブコメ』なんだけど……、正直、こんな何の特徴もないやつが主役の物語、到底面白いとは思えない。ページを閉じてバラエティ番組でも観ていた方が有益だと思う。
あなたの貴重な二分間を奪ってしまって、本当にゴメン。
短い間だったけど、楽しかったよ。
じゃあ、お疲れ様でした。
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