スーパー電波少女

ヘイ

第1話

 どうにもこうにもこう言うしか無い。

 私は電波を受信した。

 それによると一週間後に地球は終末を迎えるらしい。

 どんな末路を辿るのかは分からない。

 そこで私の頭の中に今までに無いほどに寒い駄洒落が思い浮かんだ。普段オヤジギャグをかます、中年男性もビックリなほどに薄寒い駄洒落だ。

 来週末に地球は終末を迎える。

 この情報を握っているのが私で有ると言うことに悪意を感じるし、それに今日はエイプリルフール。

 嘘が許される日だ。

 その前に、だ。

 この情報が真実で有るかどうかも私には分からないが、まず間違い無いだろう。

 未確認生命体が確認されたと言うニュースをここ数日、よく目にするから。終末も信じてもらえるかも。

 ネス湖のネッシーとか、雪山のイエティとか、アメリカのビッグフットだとか。

 そんな感じのものがリアリティを増して来ている。

 私は一先ずの処置として、SNSを使い情報を発信した。

 行動力の塊だと言う自負がある。

 結局のところ、この発言を目にするものはそこまで多くなかった。

『電波乙www』

 と、リプライが送られてきた。それを見て思ったがwwwは仲が良い人限定だな。特に仲良く無い人からwwwをやられると割と腹が立つ。

 テレビではオカルト系の番組の熱狂ぶりが凄まじい。

 チュパカブラとか。雪女とか。

「来週末に地球は終わりまーす」

 などと言ったところで、具体的にはどう終わるのかを問い詰められ、私には答えられず、「何だ嘘かよwww 義務教育からやり直してきてくださーいww」と言われるがオチ。と言うか言われた。

 やはりSNSは許せない。

 などと憤慨したところで意味はない。目的を見失ってはいけない。

「こっちだって、どう地球が滅びるか知りてぇよ!」

 具体性のない電波を受け取ったこっちの身にもなって欲しい。

 ちょっと早めのエイプリルフールとかふざけないで欲しい。私が電波を受け取ったのは二日前。

 3月30日。午後6時20分くらいのことだ。

 ということはだ、実際は一週間どころではなく、あと五日で地球は終わるわけだが、私はもう諦めかけているので、それを受け入れることにした。

 そして、暢気な世界を眺めて、毎日のように響く野球部の大声を聞いたりして、廊下に響き渡る吹奏楽部の演奏などを聞き流し、あっという間に週末が近づいた。

 終末の日だ。

 午後6時19分。

 何やかんやあって、地球は滅びた。

 ひどく鋭い光が世界を焼き尽くした。

 私は何故か生き残った。

 どうにも電波を受信できる私はただの人間ではなかったようだ。

 触手の塊の様な見るだけで、発狂してしまいそうな神を名乗る怪物に告げられた。

 その怪物曰く。

『お前は吾輩の眷属だお』

 とのこと。

 特別意訳なので悪しからず。

 地球は滅びましたが、私は元気です。

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スーパー電波少女 ヘイ @Hei767

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