最終章 吉崎将吾、最後の戦い

1 決戦の朝

 翌日。

 最後の朝。


「「いただきます」」


 いつもの様に食卓を囲みメリーと二人で手を合わせる。


「あ、醤油取って」


「おう」


 普段通りの朝食。

 最早日常となった光景。

 その終わり。

 正真正銘、これが彼女と食べる最後の食事となる。


 そして彼女と過ごす最後の時間だ。


 事前に確認を取っている。一体何時頃に最後の電話を掛けるつもりなのかと。

 それによると、夕方との事らしい。

 だとすれば俺もそれに合わせて動かなければならなくて。

 メリーにはこの後すぐに予定があって行かなければならないと告げてある。

 だから、これが最後。


「ほんとにさ、ありがとね、最後まで」


「いいよ、別に。一人で食ってるより誰かと食ってる方が楽しいしな」


「そう言ってくれると……やっぱり、名残り惜しくなってくるね」


 そう言って苦笑いを浮かべる彼女に俺は言う。


「それでも、やるんだろ?」


「うん……それが私が此処にいる理由だから」


「……そっか」


 それでいい。

 それでいいんだ。

 名残惜しいと思ってくれるのは嬉しい。

 だけどそれが足枷になっちゃいけない。

 お前の復讐は完遂されなければならないのだから。


 ……させなければ、ならないのだから。

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