第一章 archive

「登場キャラクター紹介&世界観用語解説」


 *第一章に登場したキャラクター紹介と明らかにして良い世界観用語の解説です。

 (読むと更に楽しくなる)

 

【騎士】


桐谷雄大きりたにゆうだい

 第一章の主人公、世界暦1836年春生まれ。

 聖王騎士団第一階級であり顔役、最優の中の最優にして「聖王候補」の青年。

 彼を慕う部下は多く、他騎士団にもファンが多くいる。団長の右腕としても優秀で、ライオス王に忠実に仕える。

 王子であるライアンにも忠義を尽くし剣を預けているが、気さくに接する間柄。

 未来のことがとにかく心配で、もっと自分の頭で考えてほしいと思っている。

 彼女の神技(とされている異能)のことをあまり良いものだと思っていない、奥に潜む者(オクティナ)のことを警戒している。

 人類会議に出席している為、顔が広く、リナリアからは一方的に気に入られている。

 温和な笑顔が特徴的で相当な事がなければ強く感情表現しないが、諦めはかなり悪い。

 戦闘時になると心を極限までゼロにするため、常に冷静な判断をし敵を殺す為に最善の行動をし続ける兵器と化す。

 死んで逝った仲間たちが残した願いを背負い、人々の祈りに応え続けている為、自分の時間というのが殆どない、必要とも思っていない。

 聖剣が抜けないことに強い焦りを感じており、神や天使に対しては負けなしだが、人に絶望させられやすいという性質を持つ。

 自分を優先した行動はあまり取らない、未熟さの中で足掻く騎士。

 今はまだ本質が目覚めていない。

 ……来歴

 実の両親とは五歳の時に死に別れており、当時は寂しいとは思わなかった。

 葬儀の際、五代目聖王に引き取られ弟子となり「聖王になる」と予言される。

 師匠であり第二の母でもあった彼女も亡くなり、共に過ごせたのは二年ほど。

 二度目の天涯孤独の末、一度は孤児院に行くが神楽衣翔に引き取られた。

 1845年頃、一期生として騎士寮へ。

 当時はまだ教職だった篠塚凱から直接指導を受けた為、学舎に通ったことはないが同等の知識を身につけている。

 1848年頃、聖王騎士団に入ってからは教官であった篠塚静利に鍛え上げられ、類稀なる才能で他を圧倒する。しかし聖剣に選ばれたものの抜くことが出来ず、師匠から渡された愛剣のみで戦い抜くことになる。

 1849年には弟妹たちを含む騎士寮生たちと共に神との初陣を経験し、ネームド級が含まれた七体を相手取り勝利する。

 しかしこの際、共に育った一期生のうち五名が死亡してしまった。

 この経験により、彼は妹弟たちが害されることを極端に嫌うようになった。

 それは信頼のあるなしではなく、防衛本能から来る感情で、部下に対しても彼らの生存を最優先に考える為、自身は無謀な行動をしがち。力押しで大抵の事を解決する。

 1855年冬、我が王の「真意」を求めて行動しその一端に触れた彼だったが、ライオス王国の真実を告げられ、王権を前に膝をついてしまう。

 ……神技「剣才」

 鈍だろうが何だろうが剣だと識別出来るものなら「その剣が持つ記録を知って、扱い方を理解出来る」という神技。

 神力を流しながら柄を握るだけで発動するという半恒常型で、彼は扱う剣を選ばない。

 どのようにして造られたか、どんな使用者に扱われてきたかなどの記録を知る事が可能であり、以前の持ち主の流派まで理解する。

 やろうと思えばその流派を完全再現する事すら可能であり、剣から得た情報にあるのならビームも出るし刃先が分身して三本になったりもするだろう。

 刃物であれば剣以外にも多少効力がある。

 日用品などでも発動する場合があり、「他者を加害する為」に握った場合と日用品として(例えば包丁で野菜を切るとか)使用する為に握った場合で結果が異なる。

 才能や経験を横取りしている気がするからと雄大は神技を好んでは使いたがらず、持ち主が存命している剣にだけは絶対に触らないようにしている。

 どんな剣でも握っただけで真価を発揮させる事ができるわけだが、聖剣だけは例外で彼が何も理解できなかった唯一の存在。

 誰よりも上手くなる為に、誰よりも強くある為に、まずは識る為にある神秘。



舞咲未来まいさきみらい

 序章から引き続き登場、第一章ではサブ主人公、世界暦1840年冬生まれ。

 「痛い」や「辛い」などの己を鈍らせ害する感覚や強すぎる感情をオクティナに代わって貰っている為、どれだけ傷を負っても痛みが分からず、ただでさえ自分の頭で考えられないのに辛いや苦しいを正しく認識出来ない。

 未来としては全く不都合を感じていないが(むしろ感謝している)幼馴染たちを始めとした多くの騎士たちに心配される要因となっている。

 その影響なのか他者の言動に対して何かしら不思議がって首を傾げていることが多く、能天気すぎる言動で周囲を困惑させる事も。

 自分の身を顧みる必要性をあまり感じない為、常に傷だらけで死に対する恐怖が薄い。

 他者から心配されるのを苦手としているようだが、未来にその自覚があるかは不明。

 一つの事が気になると、彼女なりにぐるぐると考えるが思考を放棄する事も多い。

 考え事をするとき無意識に愛剣の柄を握る癖がある。

 自分が剣を捧げる相手はライアンなので、我が王の意向は「あんまり関係がない」と言い放つ問題児(忠義はあるはず)

 歳を重ねるごとに異常行動が増えており、人間側からは警戒されがち。

 王石柱からの命令すら跳ね返す可能性があるとか何とか。

 聖王騎士団の憧れの的で最優であることに間違いないが、浮いているのも事実である。

 ライオス王の策略で生存率が極めて低い第三戦区へと投入されてしまった為、聖王騎士団が今どういう状況かは分かっていない。

 ……来歴

 1850年初冬、犯罪者集団に飼われていたが、殺されかけた際にオクティナと出会い、結果として圏外区域の集落を一つ滅ぼした。

 幼少期は不明な点が多く、拉致される前の経緯は未来もあまり良く理解していない。

 印象に残っているのは不衛生な路地裏、薬物に溺れた誰か、人に壊される同族。

 次は自分だと怯えながら見上げた雨上がりの空の、残酷なまでの美しさ。

 彼女の意思ではないにしろ「人間を殺めた経験」がある騎士である。

 その後は翔に保護され騎士寮へ三期生として入った。

 当時、神との初陣を終え友の死から立ち直れずにいた騎士寮生たちを「兄姉」と呼び慕いもう一度繋げた中心的存在。

 特異な神技と不明点の多い経歴から早急な王石柱による管理が必要だという騎士団上層部の判断で普通なら12歳で受ける選抜を10歳で受ける、全王石柱から適性を認められた彼女は自分で所属を選ぶことになり、「翔から剣を貰ったから」という理由だけで聖王騎士団を選んだ。

 最年少で騎士団入りし、その後は篠塚夫妻からの指導を受けることになる。

 歴史の勉強がとにかく苦手で、凱を良く困らせていた。

 同時期にライアンの護衛任務を命じられ、彼の夢に賛同し剣を捧げている。

 1855年秋(本編開始から二ヶ月前)

 雄大を含む主要戦力が遠征に出ている最中に、聖王結界が破壊されるという事件があり、圏外区域から攻め込んできた天使の群れを殆どひとりで退け戦い抜いた。

 その際、足が折れてしまった人の子に手を差し伸べたが怖がられてしまい、言語化は出来ないが心の引っかかりにはなった様子。

 職場の先輩でもある雄大の事を実の兄のように思っており、つい「兄さん」と呼ぶ事もあるほど。彼の考えは全て正しいと認識している為、あまりにも自分の頭で考えないので説教される日もある。

 剣術を凱から教わった、紗世と同じ流派の剣技を扱い、未来の方が姉弟子に当たる。

 その為、紗世は自分より歳下である未来のことを「お姉様」と呼ぶ、周囲からはややこしいと不評。

 紗世からはただの天才ではなく奇才だと称され、同じ流派でも戦闘方法が全く違う。

 1855年冬、半身と協力し第三戦区を三日のうちに破壊し尽くした、自分が化け物である自覚はあまりない。

 ……神技「神降ろし」

 未来が生まれながらに宿していた力ではないが、一応そういうことになっている。

 オクティナは未来が許可した状況下(人類圏の外で、周囲に味方いない)では体の制御を預かり自由に戦闘行動を行う。

 顕現時に未来の瞳が黄金色に輝くのが特徴で、背には光の六翼が生え飛行と浮遊が可能となる。

 六翼は形状の変化が自在である為、敵に対して射出されたり槍として扱われたりする。

 枚数は増やすも減らすも自由であり、翼の数はオクティナの手の内の数とも言える。

 あくまでも未来を始めとした騎士の味方をしているだけで、人類を救っているつもりはないらしい。

 大抵の万能を圧倒してしまう神秘の塊であるオクティナは、未来を害する対象を徹底的に排除して回る事象そのものだ。

 最果ての万能、彼の地の神は今も尚、自身の在処を探している。



篠塚紗世しのつかさよ

 聖王騎士団第二階級、雄大の後輩で未来の妹弟子、1838年春生まれ(17歳)

 篠塚夫妻の実子であり、12歳まで学舎に通っていた、英雄の娘という期待にのらりくらりとそれなりに応えている。

 基本的に面倒くさがりで文句が多めだが仕事はきっちりやり遂げる偉すぎる後輩で、褒めると伸びるタイプ。

 何だかんだ仲間想いであり、部下を気にかけ大雑把に励ましたりもしている。

 父であり師匠である凱のことを尊敬し、未来の奇才さにドン引きし、雄大の規格外さに圧倒されるという普通の感覚を持つ。

 母親とは友達のような関係性だが怒ると死ぬほど怖いので、母にバレないように悪事(摘み食い、掃除の手抜き)を働いている。

 小さくて可愛いものを揶揄うのが大好きで、当然ながら姉弟子のことがお気に入り。

 医療騎士団にお気に入りの男の子がいるらしい。亜麻色の髪をボブカットにしている。

 容姿は母親似で「お母さんから厳しさを抜いて色合いをお父さんにすると私になる」と紗世は語っている。

 ……来歴

 1850年頃、学舎卒業後、選抜を受け聖王騎士団に入団、騎士としてスタンダードな生き方をしてきた彼女は一度も道を逸れることなく、それなりに頑張って普通に生きてきた。

 1855年、修復途中の聖王結界を守るため結成された防衛隊の指揮を任される。

 雄大と迎え討った巨神との戦闘で重傷を負ったが生還、父の腕の中で意識を失う。 

 ……神技「肉体強化」

 紗世の深層は死にたくない、という生存に対する執着心で出来ている。

 死なない為なら何でもする紗世の本質に応えるように、彼女の肉体を強化する神秘。

 自身が修めた速さに特化した流派にプラスして、神技による筋力増強で敵をぶち抜くのが基本戦法であり、あらゆる攻撃から身を守る為に体を固くする、生き残り特化神技。

 やりたい事が沢山ある、ここで死ぬわけにはいかない彼女を生かす万能。



篠塚凱しのつかがい

 聖王騎士団団長、1817年春生まれ

 紗世の実父であり未来の師匠、細剣使いの英雄として活躍した過去を持つ。

 1836年頃、ネームド級との戦闘で大怪我を負い、体は治ったが精神が壊れてしまった。

 神を前にすると身体が硬直してしまうという騎士としては致命的な疾患を負う。

 以降は■■と妻からの勧めで現役を引退し聖王騎士団から統合騎士団へ移り、学舎で教鞭を執っていた頃がある。

 騎士寮生たちに勉強を教えたのも凱であり、雄大と忠明が特に優秀で、未来については色んな意味で印象に残っているそう。

 妻である静利は精神的な不調を抱え一番辛かった時期を支えてくれたひと。

 妻が一番美しく、娘が一番可愛いと思っている、一度懐に入れた相手をとことんまで愛する性格。

 未来のことは一番弟子であり、■■の■である為、気にかけている。

 ライオス王から呼び戻されたことで聖王騎士団長として復帰したが、神と戦うことは出来ないので、前線からは身を退いたまま組織の統制と次世代の育成に尽力している。

 仕える王が行く道を察しつつも止める事が出来なかったのは、己を支配する王令故か、それとも。

 ……流派

 「■■流」……細剣によって繰り出される刺突を主とする速度特化の剣技。

 剣の極みに至る事が目的で、己が眼前の壁を乗り越える為の剣。

 凱はかつて幼馴染たちと共に■■流開祖である師匠に教えを受け、修めた技術をそのまま弟子に伝えている。

 奥義まで振るえる者は師匠の他に■■しか居らず、凱は未来ならば同じ境地に至れるのではと可能性を感じている。


篠塚静利しのつかしずり

 統合騎士団騎士長補佐、1820年秋生まれ

 凱の妻であり紗世の母親、雄大と未来からしてみれば「教官」であり各騎士団における次世代育成を主に任されている統合騎士。

 学舎にて教鞭を執ることもあり、娘は教え子でもある。

 完璧主義で仕事が出来過ぎる為、指導した騎士や部下からは怯えられがち。

 だが深い愛に溢れる女性であり、精神的不調を抱える夫を献身的に支え、娘を始めとする多くの子どもたちの身を案じている。

 翔の補佐役である為、薫とも繋がりがあり旦那の話で良く盛り上がる。

 砂色の髪を揺らす美しいひと。

 自らの役割を良く理解しており、人類守護の為なら何であろうと躊躇わず斬る。

 

【人間】


『カインズ・ローグ』/人類至上主義

 ライオス王国の人類代表、1810年春生まれ

 人類至上主義を掲げて生きる正義の王で、信仰派や擁護派には否定的な態度を取る。

 15年前に妻を亡くし当て所ない妄執に囚われている彼は、生まれつき共感力が乏しく、他者の感情を理解することは出来ても寄り添うことは出来ないという性質を持つ。

 かつては妻が丁寧に彼が持つ人間らしさを育てていたが、一人になってからは誰にも寄り添うことが出来なくなってしまった。

 息子に対しても「母を亡くして辛いだろうから」仕事を与える。「ひとりぼっちで心細いだろうから」義実家に預ける。など彼の解釈では寄り添っている行動でも、息子側から見たら突き放されているようにしか思えない言動を繰り返していて、遂には「理解できない」とまで言われている。

 自分とは真反対の事を考える息子に、奇怪なものを見るような感覚を抱いており、自分はこの子を理解できないし、この子も私を理解しないだろうと悟っている。

 騎士は兵器であり、兵器に人格などあってはならないと考えていて、特に主人公たち第五世代の事を警戒している。

 リナリアは王になる前、軍人だった頃の上司にあたり因縁がある。

 15年前に亡くしたのは妻だけではない、そのはずだ。



『ライアン・ローグ』/騎士共生派

 ライオス王国担当軍人、1838年春生まれ

 カインズの実子、母親はリーテ王の次女である為、ライオスの王子であると同時にリーテ王の孫にあたるという少々複雑な立ち位置にいる。

 国民投票か先代の指名によって次の王が決まる人類圏では、血縁関係は重要視されない。故にライアンがカインズ亡き後の王位を継ぐかどうかは確定出来ない。

 彼は「王子」として民から慕われているが、その肩書き自体には意味がないと思っている。

 母親に似て他者に強く共感し寄り添うことができるので、父のことが理解できない。

 軍人としての職務を優先しており、ライオス王国に配属された人類軍の統率をリナリアから任されている。

 騎士に対する差別意識は全くと言って良いほど無い、騎士も人間も平等に幸福に生きていける国を夢見ている。

 母親を亡くした後は、リーテ王国に預けられて幼少期を過ごした。

 騎士も人間も関係なく、親を亡くした子どもたちが笑い合う、そんなリーテで過ごした事が彼の人生に大きな影響を与えている。

 1850年、軍人としてライオスに戻り未来と雄大に出会った。

 未来とは主従の関係であり(ライアン自身は友であることを優先している)自分を守護してくれる剣である彼女の言動に背中を押されることも多い。

 自分が才能のないただの人間であることを強く理解しており、責任感が強い彼は人と騎士、どちらの期待にも応えられるよう己を鼓舞している。


『リナリア・ツォイトギア』/騎士共生派

 人類軍総統、1820年秋生まれ

 治安維持や災害救助を目的に各国に派遣される武装組織「人類軍」を率いる人間。

 王でこそないが人類代表の一角であり、統合騎士団と全面的な協力関係にある。

 増え続ける犯罪組織を追い回し、復興作業に尽力し、死者を数える。

 汚れ仕事を担う故に一枚岩ではない組織の総統として働く傍ら、人類の絶滅を回避することは不可能ではないかとも考えている。

 「騎士」の事を好きだ、と語り強い興味がある。

 15年前に──■■を亡くした。

 欠落した真実を突き止める為に、彼女は動き始めている。



【世界観用語解説】(ざっくり)


「原初の聖王」

 ……白光の中から聖剣と共に箱庭に降りた騎士王、正義を司り、悪を裁く瞳を持つ。

 魔王のカウンターとして創造主に作られた存在で、情動は薄く兵器として理想的。

 魔王と相打ちになって死亡している。

 王石柱になった後は聖王騎士団を管理し、聖王領域を守っている。


「五代目聖王」

 ……世界暦1838年に聖剣を抜き、凡そ38年ぶりに聖王を継承した少女。1843年に死去。

 原初の聖王が有していた権能を全て引き継いでいた他、自身が扱う神技では「未来予知」を可能とする(己が王化することも予知した)

 雄大の師匠で母のような役割もしていた、彼が「聖王になる」と予言を残している。

 



「聖剣」

 ……原初の聖王が扱った象徴武器で、現存し次の聖王を選ぶ意志を持つ存在。

 「悪を斬る」ことに特化しており、選ばれていない者が触れると死に至らしめる事もある、魔剣と対に設計されたもの。

 伝承では「惑星の端まで届く光の刃」を放つとされている。


王権レガリア

 ……かつて原初の騎士王たちが、人類が怯えず安心して暮らしていけるように設計した「騎士を支配する」為の器、全部で五つ。

 対応する王石柱の許可があれば発動する、人類が振るえる唯一の万能。


「騎士階級」

 ……騎士の性能に応じて与えられる、第三から第一までの階級。

 単純な戦闘性能の優劣ではなく、どれだけ大規模な殲滅行動を行えるかを示すもの。

 戦闘向きの神技を持たない騎士は第三階級、大抵は第二階級止まりであり、「第一階級」は歩く災害と呼ばれ、頼りにされると同時に恐れられる。


「ネームド級」

 ……神を示す種別の一つ、騎士が主に相手取る神々は自身の特性や役割に従って侵攻する存在で、パターン化された行動をする。

 故に「天候神」や「獣神」といった特徴に合わせた種類分けで、騎士は神を識別する。

 しかし唐突に現れるネームド級には全ての常識が通用しない。

 強い自我を持ち独自の感性で気まぐれな行動を起こす、予測できない存在である彼らには王石柱が個別の名称をつけて伝達する。

 ネームド級に分類される基準は「異質さ」にあり単純な強さではない。


 *第一章において聖王の王石柱は機能不全を起こしている、その為、ネームド級の名称が騎士たちに伝達されることはなかった。

 これは異例中の異例である。


「天使の種別」

 二枚羽……尖兵、最も数が多く群れを主だって形成する、知能低め。

 四枚羽……指揮官、二枚羽から成長、もしくは神から干渉を受けて成熟した状態で孵化する、核を守る行動をし群れを統率する知能がある。

 奇数羽……特異個体、三枚羽や五枚羽の事を指す。

 共食いなどの異常行動を繰り返し、群れから外れて単独行動する個体も多い。

 生き物の殺し方に「美学」を持ち、死体を飾ったり生きたまま遊んだりする事がある。

 巣が成熟し始めた頃に生まれたり、ネームド級が回遊する領域に生まれる確率が高い。



【人類圏(王国)の紹介】


聖王領域

『ライオス王国』

 ……人類圏の北側に位置し、聖王騎士団が守る場所、聖王の王石柱が管理している。

 最先端の科学技術により発展した王国であり、人類至上主義を掲げる国民性。

 ライオスでは騎士は「兵器」であり生き物としては扱われない。

 保有する王権は「絶対王令権」である。


竜王領域

『アルメリア王国』

 ……人類圏の東側に位置し、竜王騎士団が守る場所、竜王の王石柱が管理している。

 広大な山岳地帯を有し「竜」と共に生きる国、竜王信仰が強く残っており、アルメリアでは騎士は信仰対象である。

 人類圏における学問発祥の地で、教育機関が多く存在している。

 保有する王権は「絶対隠蔽権」である。


冥王領域

『コウラン王国』

 ……人類圏の西部陸側に位置し、冥王騎士団が守る場所、冥王の王石柱が管理し銃火器を製造する武器の王国。

 冥王信仰が強く残り、国民は夜と火を聖なるものとして崇める。

 隣接するリーテ王国とは同盟関係であり、人類軍とも密接な関係がある。

 保有する王権は「絶対支援権」である。


医療王領域

『リーテ王国』

 ……人類圏の西部海側に位置する、医療騎士団が守る場所。医療王の王石柱に管理されているが、騎士王結界が縮小傾向にある。

 医療王に縁深き土地であり、医療国家として名高く、人類圏で唯一漁業が行える。

 孤児院が多く存在し騎士も人間も同じように扱われる国であり、医療王信仰の一環として音楽が盛ん。

 保有する王権は「絶対発言権」である。


精霊王領域

『サザル王国』

 ……人類圏南部に位置する、精霊騎士団が守る場所、精霊王の王石柱に管理される。

 森林地帯を多く有し、精霊が生きる土地、原初の精霊王の没地でもある。

 魔術発祥の地であり、歴史研究も盛んで古からの伝承、歴史的建造物が多く遺る国。

 騎士を第二の人類として受け入れる動きを見せている、アルメリアと協力関係。

 保有する王権は「絶対融和権」である。


 *原初の魔王と英雄王は人を導く者として設計されなかった為、王石柱として機能はしているが、騎士団を管理したり騎士王結界を展開したりなどの動きは見られない。

 彼らなりのやり方で人類守護と、己が後継となる騎士の生産、管理を行なっている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る