第5話何ですかその気合充分な感じ

「さてとやりましょうか」

 何でそんなやる気なの。

 しかも何でグローブ持ってるの。

「今日はよろしくお願いしますね」

 愛想全開で崇答えてるし。

 待て待て待て待て。

 正道さんあなたはどこかのメジャーリーガーですか。

 バットを持ちバッターボックスで凛々しく構えている。

 お前もやる気充分だな。

 後、キャッチボールなのに何でバット持ってるのよ。

 思ったけどこれじゃZ作戦無理じゃん。

 ツッコミ所満載過ぎやろ。

『みんな配置について』

 崇の号令でみな各々配置に着いた。

 遠いのと暗かったので良く分からなかったけど、みんなガタイがそれなりにいいぞ。

 この前の相撲やってる人達に比べたら華奢だけどな。


『バシバシ』

 正道は既にキャッチボールをしていた。

 しゃあねそろそろやるか。

 正道から借りたミットを構える。

「それじゃあお願いします」

 向かいの女の子に頭を下げた。

「それじゃあ行きますよ」

 中々本格的に構えですね。

 オーバースローから、球が飛んできた。


《ビューン》


《ガシャン》

 

 あれ今何が起ったの。

「それじゃあもう一球いきますね」


《ビューン》


《ガシャン》


 今度は確かに見えたぞ。

 た……球が早すぎる。

 風切り音とフェンスに当たった時の音が凄まじい。

「まだまだいきますよ」

「ちょっとたんま」

 殺される。

 こんなん絶対殺さる。

 こいつプロじゃん。

 絶対プロじゃん。

「俺が投げるから捕球しともらってもいいかな?」

「はい」

 女性はどっしりと構えた。

 あの大きいお弁当を食べる人のように。

「いきますよ」

 俺はアンダースローで投げた。


《バシ》


「ナイピ」

 何この安定感。

 どこ投げても大丈夫な感じが半端ないわ。

 しかも「ナイピ」って久しぶり聞いたぞ。

「ありがとうございます。野球経験者ですか?」

「はい」

「どうりで上手いと思った」

 それから俺達は無心無言のキャッチボールをしていた。

『チェーンジ』

 崇の言葉で全員が席替えに似た交代をした。


「お願いします」

 俺は女の子が代わり誰よりも早く挨拶をした。

「オッス」

 体育会系やな。

 だが見た目てきには先ほどと違い体系は華奢まではいかずとも、普通だろ。

「それじゃあいくよ」

 俺は先ほどと違いボールを山なりに投げた。

 女の子はグローブを構えて捕球使用としたが、頭に当たりボールは地面に転がった。

 確認の為、俺はもう一度山なりにボールを投げ野球経験者がどうか試したが、やはり捕球が出来ない。

「あれ野球経験者じゃないの?」

「経験者ですよ」

「そうなんだ」

 この人ならワイワイキャッチボールが出来そうだな。

「いい忘れてたんですけど私打つ方が得意何ですよ。ノックに付き合ってもらってもいいですか?」

「いいですよ」

 正直そんなにたいしたことないだろ。


「それじゃあ行きますよ」

「はいよ。きな」


『ガキーン』


『ドコ』


 何か足に当たった気がしたので下を見ると、くっきりズボンの上から分かる位球の後が付いていた。

「いてー」

 あまりの速さに痛みが後から押し寄せてきた。

「もういっちょいきますね」

「ちょたんまたんま」

 ダメだこれ以上ノック続けたら死ぬ。

「そろそろいきますね」

 俺の制止は聞かずに地獄のノックは続いた。


 その後ノックはたんたんと続き俺の身体はあざだらけになり倒れた。

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