【第一章】僻地の異神

来ない馬車、居ないメンドリ

 きっと、その男はずっと助けを待っていた。

 足元で二十四の炎を焚かれ、冷水に浸した足に花弁を撒かれて。

 何重もの着物と装飾品と、それから、味のない食事。

 照り返す空気が肌を焼き、意識が遠のくたびに裸足の冷たさが牙を剥く──こんなものが幸福だと言うのなら、私は一生不幸でいい。


 拝啓、見知らぬ誰かへ。

 この生き地獄から、どうか私をお救いください。


  ◇


(作者です。急に出てきてすみません。現在、「~をお救いください。」以降の文章を修正中です。このまま次のエピソード『過去回想【1】』へお進みください。大変申し訳ございません。)---2022/6/19 金鶴雨仁

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