第20話文化祭10

さらに一通り思考回路を回したが辛くなって辞めた。

疑い過ぎると動きがぎこちなくなる。

それにより相手が感づくと何を起こしてくるか分からない。

唯一俺が見えると知っている人間を手放すのは惜しい。

これからはさり気なく探ることにしよう。

晴明達はどうしているだろうか。

「今日は空達と見回りに行く。任せておくのじゃ!」

そう威勢よく言っていたけれど大丈夫かな。

空達に迷惑をかけていなければいいけれど。

でもこういう時はしっかりしてるし大丈夫か。


一方その頃。

「しゃけをもってこ~い!」


「晴明様、流石に呑み過ぎですよ!」

雪が必死の形相で晴明を止めている。

何故こうなったのか。私、空が説明します。


これは隆が家を出た三十分後。

晴明様が見回りに行くぞと急かされる。

見回りに行くという言葉を信じてついていくと御香宮に辿り着いた。

一杯だけこの前の酒をくれと説が頼まれていたが流石に出さないだろうと境内を見回っていたら楽しげな声が聞こえてくるではないですか!


「これは?」


「空……ごめんなさい」

ただただ頭を深く下げる雪。


「さけ~~!」


「なんで鮭なんて出したんだよ!」


「一杯ぐらいなら大丈夫だろうと思って」


「そんなわけあるか!雪が初めてこの猫と会った日を忘れたのか!」


「そうだけどさ!えっと。本当にすいません」

何かを言い返そうとしたように見えたが思いつかなかったのかより一層大人しくなった。

ということがあったのだ。

隆になんて言い訳しようか……

隆の事だから俺達を責めることは無いと思うけど。


「なぁ雪。隆になんて言い訳しようか?」

落ち込んで下を見ている雪に問いかける。


「正直に言おう!俺がお酒を晴明様に出したって……」


「それが確かにいいかもな。俺は悪くないから任せる」

我ながら雪一人に責任を被せるのはどうかと思ったが今回ぐらいはいいか。

そんな最低なことを考えながら残りの時間どうするのかを今考えている。

俺達が見回りしてもいいけれど何かあったとき応戦できる力を俺達は持っていない。

かといって晴明と一緒にどんちゃん騒ぎをするのはもってのほかだ。


「悔しいな……俺達だけじゃ無力だ」


「そうだね」

そういうと雪がふと考えこんだ。

これから何をするのかを考えているのだろうか?


「ねえ空!修行しようよ!」

ジャン〇漫画の様に修行でどうにかなると思ってるのか?

手からカメ〇メ波とか出せないからな俺達は。


「は?何言ってんだ?」

突然訳のわからないことを。

俺達が二人で何かしても基礎を教えてくれる人がいないから意味無いだろう。

だがそんな事は無かったのだ。


「だから……天狗に稽古をつけてもらうんだよ!」


「それいいな。ごめん雪の事馬鹿だと持ってた」


「どういうことそれ!」

そんなこんなで漫画の様に修行をする事に俺達は決めたのだ。


「だから!修行するんだよ!」




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