第11話 カズマ
カズマが騎士団を目指したのは何歳の頃だったろうか。
物心ついた時にはもう騎士団ごっこをしていた。
学校の成績も悪くなく、武術もある程度はできていた。
初めて受験したのは18歳の時。
点数は筆記が25点、実技が30点、合計55点。
合格点まであと15点だった。
それから、ギルドに入り冒険者をしながら毎年受験をしていた。
ある年は合計点が68点、ある年は45点、なかなか合格点の70点に届かない。
今年は25歳になり規定上最後の受験となった。
学校の同級生で騎士団になれた者はいなかった。
同級生で騎士団を目指していた者は家業を継いだり、公務員になったり、ギルドの冒険者になったりしてそれぞれの道を歩き始めていた。
カズマには不安に
このまま今年受からなければどうするか、冒険者として生きるとしても中途半端な自分にできるのか、そもそもなんで騎士団を目指したのか、諦めろとしか言わない親とはもう何年も口をきいていない。
受験番号は3組の5番。
1日目は筆記試験だ。
筆記は得意な方だが、騎士団の試験は暗記すれば解けるような簡単な問題ばかりではない。
それでも、一般教養問題はパーフェクトに近い手ごたえだった。
問題は志望理由。
筆記の配点の内訳は公表されていないが、おそらく一般教養20点、志望理由が20点だと推測していた。
ペンが止まる。
「小さい頃に見た騎士団の後姿がかっこよかったからです」
短くそう書いて終わらせた。
2日目は実技だった。
模擬戦。
3組の100名が入り乱れての模擬戦が行われる。
時に死者すらも出る本気の戦い。
カズマはちらりとだけ本部の方を見た。そこにはガラナ団長が試験会場全体を見渡せる位置にいた。
受験生3人を倒すことができた。
4人目と狙ったところで、後ろから模擬刀を受けてしまい、失神してそのまま受験日は終わってしまった。
合格発表は1か月後。
カズマはどう転んでも最後となる合格発表を見に行った。
何年も話していなかった両親が出発前に「今日だったな」と軽くカズマに声をかけた。
「ああ」それだけ言って家を出た。
掲示板には今年の合格者の番号がずらっと並んでいた。
そして、その中に 3組の5 そう、カズマの番号も掲載されていた。
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