第3章 王国騎士団

第10話 入団試験

 王国騎士団の演習は厳しい。


 毎年100名前後新規入団者がいるが1年残る者は5名程度だ。


 それでも、15歳~25歳の入団試験には毎年1,000人ほどの応募がある。


 現在王国騎士団の総勢は152名。


 団長の名前はガラナという、45歳の男性で身長は185㎝ほどある。


 副団長は2名おり、29歳の女性シュリナと25歳の男性メッシュである。


 今日は3人が揃って入団試験を視察に来ていた。


 3人は無言で見ているがそれでも受験生は相当なプレッシャーを受けていた。


 入団試験は1組から10組に分かれて行われる。

 1日目は前半1組から5組までが筆記テスト、後半の6組から10組が実技テスト。

 2日目はそれが入れ替わると言った方式で行われる。


 筆記試験は国語、数学、理科、社会といった一般教養と志望理由の論文が行われ、実技テストは模擬刀を使った受験生同士でそれぞれの組内での総当たり戦になる。


 キルリアン王国では王国騎士団に入団することは大変な名誉であり、小さな子どもたちが騎士団ごっこをするほどに浸透している。


 初任給は王国の他の公務員よりも3割高い程度であったが、2年目、3年目と勤続年数が長くなるごとに加算される給与額が他の公務員に比べるとかなり高かった。


 入団試験の評価は筆記試験が40点満点、実技試験が60点満点それぞれに足切りはなく、合計点が70点以上であれば合格である。


 また、この一般入団試験とは別にギルドで評価Aの者には特別枠で面接試験のみで入団が認められるが、ギルド評価Aの者が騎士団に入ることは稀であった。



 ガラナ団長たちは初日、二日目と無言で実技試験会場の実技試験の様子を見ていた。


 全ての日程が終わり、受験生たちはほっとした表情になって帰る。


 入団試験の試験官はほとんどが2年目から5年目の新人騎士団員だ。


 数年前の自分を投影しながら、そしてリタイヤして退団してしまった仲間たちを思いながら任務についている。


 

 試験の後処理まで終わったところでガラナ団長が試験官たちを呼び、打ち上げをしようということになった。


 入団から日が浅い団員にとって団長は神様のような存在であり、打ち上げの席ではみんながかたくなっていた。


 シュリナとメッシュが団長と団員の間を取り持ちながら、打ち上げは夜中まで続いた。

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