09

 彼が、わたしを抱き留めたとき。それに、からだが触れた。

 そのとき。

 なぜか、どきどきした。

 いままで、感じたことのない、血の巡り。


「あれ」


 なんか、おかしい。風邪ひいたかな。

 そのまま、彼に抱き留められて支えられながら。服を着て。ベッドに横になった。

 彼。

 出ていこうとする。


「行かないで」


 引き留める、わたし。分からない。なぜ、引き留めたのか。これは。なに。


「熱があるのかな」


 彼の手が、伸びてくる。


「触らないで」


 思わず、声をあげた。

 わからない。自分が。

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