第5話 最終決戦!

 その姿をリィカの視覚から見ていたセバスちゃんは「きゃああ! ロマンよ! ロマン!」と言って歓喜の声を上げている。


「な、何ダト!?」

「いクゾ!」


 スーパージャスティス8はビッグブラック8の方へ向かい加速するとあっという間に懐に潜り込む。ビッグブラック8はその機動力に完全に反応出来ない。対するスーパージャスティス8は右拳を強く握り天に向かって突き上げると見事なアッパーが顎を貫いた。


「グアア!」


 ビッグブラック8の大きなボディは後方へ大の字に倒れ込んだがすぐに立ち上がる。



「こしゃクナー!! 出力120%!!」

「コイ!」


 そうして始まった肉弾戦、互いにスレスレの所で避けたかと思えば、鋼鉄のパンチやキックがヒットする。徐々にヒートアップしながらも攻防は防均衡を保つ。


「うう、どうなってるの?」

「エイミ! 良かった! ジャスティス8が遂に合体してスーパージャスティス8になったんだ!」

「本当に合体出来たのね!」

「今は応援するしかない!」

「そうね! いっけー! スーパージャスティス8!」


 その声援を受けてか、スーパージャスティス8の目元がキラリと光る。


「ウオオオオ!!」


 雄叫びと共にスーパージャスティス8の強烈な右パンチがヒットするとビッグブラック08は吹き飛ばされる。だが、吹き飛ばされながらビッグブラック08は目からビームを発した。


「ヘルアイズビーム!!」


 それに対してスーパージャスティス8は胸のハッチを展開し備わっている主砲で迎え撃つ。


「ジャスティスキャノン!!」


 発せられたエネルギー波がヘルアイズビームを打ち消しそのままビッグブラック8を飲み込んだ。


「ギャアア!!」


 ボカーン! と爆発しビッグブラック8はその場で活動を停止した。


「正義は勝ツ!」

「やった!」

「凄いわ!」

「かっこ良い!」

「美しい装甲デス!」

「お見事!」


 勝利の歓喜に沸き、アルド達がスーパージャスティス8に駆け寄ろうとした時、バチバチとショートしながらビッグブラック8が立ち上がる。


「マサカ、こ、これ程トハ……かくなる上ハ!」


 するとビッグブラック8は深層区画の壁にビームを放ち、開いた穴から外に出た!


「あ! 待て!」

「後を追いマス! 皆さん私に乗って下サイ!」


 そしてアルド達はスーパージャスティス8の背中に飛び乗りゼノ・ドメインを離脱した。するとレンリからの緊急通信をキャッチする。


「緊急通信キャッチ! 繋げマス!」

「アルド! たった今エルジオン上空に超高温エネルギー反応を感知したわ! 何か分からない!?」

「恐らくビッグブラック8だ! 何をするか分からないが食止めてみせる!」

「お願い! 頼んだわよ!」


 そしてエルジオンに到着すると上空で光り輝くビッグブラック8を捉える。その状況にエルジオンの住人は困惑していた。


「怖いよ〜」

「大丈夫、大丈夫よ」

「一体に何が起こるんだ」


 そしてビッグブラックは高らかに宣告した。


「フハハハ! ミグレイナの住民共! 今日がお前達の最後の日ダ! これから全エネルギーを放出し大破壊を実行する! おっと、今私に触れるナヨ、やっとの事で制御しているンダ。変なことをしたらドカン! と大爆発してしまウゾ! まぁどっち道お前達の運命は同じことだガナ。フハハハハ!」

「何だと!?」


 住民はパニック状態に陥った。


「どうすればいい!?」

「何か方法は無いの!?」


 途方にくれているとスーパージャスティス8が名乗り出る


「私に任せて下サイ!」

「何をするんだ!?」

「最後の力を使用シマス!」


 するとスーパージャスティス8は右手を掲げ高らかに叫んだ


「集エ! 8つの勇気!」

 

『バスターモード起動』


 そしてスーパージャスティス8のボディからヌーム達の武器が排出、それは形を変え、交わると一つの大きなキャノンになった。


「完成! アルティメットブレイバー!」


 アルティメットブレイバーを構えスーパージャスティス8に接続されるとパワーを充填していく。


「10%……20%……」

「今更何をしようが無駄ダ!」

「80%……100%……」


 充填率が100%を超えた時、スコープが出現しスーパージャスティス8はビッグブラック8に標準を合わせる。


––そして時は満ちた。


「これで終わりだ! ダークデストロイヤー!!」

「120%!! 解放!! シャイニンググローリー!!」


 超光速で放たれた黒と白の光のエネルギーは激突する。その凄まじい衝撃にエルジオン全体は揺さぶられ人々は平行感覚を失った。上空では強烈に光ぶつかり合い鬩ぎ合っている。


「中々の威力ダナ! しかしこれでドウダ!!」


 ビッグブラック8は更に出力を上げると黒い光は勢いを増して白い光を押し込んでいった。それに何とか耐えようとするスーパージャスティス8のボディは次第に悲鳴を上げ装甲に亀裂を重ねていき至る所にショートが発生する。


「スーパージャスティス8! 体が!?」

「心配ありまセン! 私は守護者、ミグレイナを守りマス!」


 それでもボディの崩壊は止まる事はなく、黒い光は今にもスーパージャスティス8を飲み込もうとしていた。だがその時


「頑張れ! スーパージャスティス8!」

「負けないで! スーパージャスティス8!」

「君が希望だ!」


 先程まで怯えていた人々恐怖を勇気に変え、声援をスーパージャスティス8に送った。


「そうだ! 頼む! スーパージャスティス8!!」


 スーパージャスティス8の目元が光り輝く。


「出力150%!!!」


 すると白い光は息を吹き返し黒い光を巻き返す!


「何ダト!!」


 そして再び均衡状態となった黒と白の光。


 だがそんな極限の中でスーパージャスティス8のシステムはオーバーロード寸前で今にも停止する直前だった。


(このままデハ、このままデハ……)


 停止しようその時、視覚モニターに何かノイズが混じったのにスーパージャスティス8は気がついた。やがてそれは形をなしていき現れたのは”ペールとエール”の姿だった。


「お前達は立派なミグレイナの守護者だ!」

「私の可愛い子供達。後もう少しよ、頑張れ、頑張れ!」

「父ヨ! 母ヨ!」


 そしてスーパージャスティス8の体は強烈な光を放った!


「全出力解放!! 限界突破!! ウオオオオオオ!!」


 膨大なエネルギーが排出され白い光は一瞬にしてビッグブラック8を飲み込んだ!


「そんな!? そんなバカなアアアアアアアアあ!!」


 強烈な閃光にアルド達は目蓋を閉じていたが見開くと青空が広がっていた。


「やった……やったんだ!! スーパージャスティス8が勝ったんだ!!」


 勝利を讃えるためにアルド達はスーパージャスティス8の下に駆け寄ったがその姿は悲惨なものだった。


「しっかりするんだ!」

「損壊レベル10! 危険な状態デス!」 

「早くセバスちゃんの所に!」

「まだ眠ってはならん!」

「頑張って! スーパージャスティス8さん!」


「ワ……ワタ……シ、ハ……ミグ……レイナ……ノ」


 そしてスーパージャスティス8は活動を停止した……



 ……



 緊急メンテナンス室前の赤いランプが消えると扉が開きピンクのツインテールを揺らしたセバスちゃんが「ふう」と息をついて現れる。アルド達は詰め寄った。


「セバスちゃん! ヌーム達は!?」

「そう焦らないで。大丈夫。8体は無事よ」

「良かった……」

「私は天才よ。直せないロボットなんてないわ」


 ミグレイナの運命を賭けた大決戦の後、動かなくなりバラバラになったヌーム達をセバスちゃんの所まで緊急搬送するとすぐ様リペアが行われた。


「ヌーム殿達はもう元気なのでござるか?」

「今はまだリペア中よ。難しい所は私がしたけど後の簡単な構造は自動リペアアンドロイドに任せたから後1時間もすれば元通りになるはず」

「安心デス!」

「良かったぁ」


 セバスちゃんは精神を集中させた疲れから椅子にドカッと腰を下ろす。


「本当にありがとう。セバスちゃん」

「この借りはいつか大きく返して貰うから気にしないで」


 疲れのせいもあるだろうがセバスちゃんの何処か浮かない顔にアルドは気が付いた。


「何かあったのか?」

「回収されたブラック01の残骸を解析して分かった事があるわ」

「それは一体?」

「何となく分かっていたけど、ブラック01達はヌーム達を元に作られたのよ」

「え!?」

「ガルレア大陸を征服する為に生まれたペールとエール。ガルレア大陸だって黙っちゃないわ。ペールとエールがヌーム達を生んだ後、データが何処からか漏洩し、今後ミグレイナからの脅威に対抗する為にあの8体がガルレアで作られたのよ。そしてミグレイナ破壊のプログラムが組み込まれたに違いないわ」

「そうだったのか……」

「けれど、その計画はとうの昔に頓挫してしまって生まれたブラック8は忘れ去られた存在となったの。けれど何らかの理由で活動を再開した彼らは埋め込まれたプログラムをただ実行するしかなかったのね」

「……何だか悲しいな」

「そうね、正義の反対は別の正義って言う所、完全に彼らを否定する事は出来ないわ」


 しんみりとした雰囲気の中、メンテナンス室が再び開いた。


「皆サン、ご心配をおかけしまシタ」

「ヌーム! 皆も!」


 現れた8体はボロボロ姿から見事元通りに戻っている。


「驚いたよ、ヌーム達にあんな力があるなんて」

「私達モ本当に驚いてイマス。ですが、もう合体は出来なくなってしまいまシタ」

「ええ!? 何で!?」

「合体に必要なコアパーツが壊れてしまいまシタ」

「セバスちゃんに直して貰えないのか?」

「それがもう手に入れられない素材が使われていて復元が出来ないの」

「そうなのか」

「ですが、それでも構いまセン。我々は合体出来なくても、このミグレイナを守り続けマス」

「……そうだよな。うん! 頼んだぞ!」

「お任せ下サイ! 我らミグレイナの守護者!」

「ジャスティス8!!」


 8体のポーズがバッチリと決まるとアルド達は笑顔に包まれた。

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汎用戦隊ジャスティス8! 九十九 少年 @999boooy

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