貴族の終わり、武家の始まり

抜群の力量を持ちながら、覇権を握れぬ英雄は案外と多い。平知盛もそうだろう。
もし、清盛没後の平氏の総帥が知盛ならばと多くの人が思う。しかし、時代は長子相続が当たり前の時代。それはあり得ないのだ。平宗盛の器量が低かったのは確かだ。しかし、平氏一族は厳密に言えば、武士ではない。あくまでも貴族だったのである。つまりは古い時代の一族。武士という新しい時代を切り拓いた源氏に敗れ去るのは宗盛のせいでも当然知盛のせいでもない。時代の流れの宿命だったのだと思う。

その平家滅亡までの哀愁を平知盛を中心に、平家のオールスターを登場させ、時に男らしく、時にたおやかに描いたこの作品はいままで読んだ、どんな源平合戦の小説よりもストレートに面白かったです。

わたしは源氏より平氏の方が好きです。
ありがとうございました。

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