第5話「やる気のない派遣」

コンビニは現在、人手不足である。何故、人手不足なのか?

誰もやりたくないからである。ものづくりと接客業は不人気職業だ。

ものをつくるのって面倒だし、接客でクレーム対応するのはもっと面倒。

なので、人気が無いのである。



さて、人手不足をどう補うか? 派遣を使うである。

ただ、この派遣はハズレも多く、当日ドタキャン、無断欠勤、真面目に仕事しないなども多い。筆者もハズレを引いてしまった。そもそも相方の先輩から愚痴のLINEをもらった時点で嫌な予感はしていたのだが……。




21歳のその男はこちらが頭を下げて挨拶をしても頷くだけ。あれ、普通「〇〇です、よろしくお願いします」と言うものなんじゃないの? レジが遅いのは目を瞑ってもいいが、声が小さく、元気もない。お釣りの渡し方も雑。注意しても頷くだけで「すいませんでした」などの言葉もない。筆者が「いらっしゃいませ」と言ってもやまびこを返さない。筆者だけが元気よくいらっしゃいませと言う……。




接客では一人が「いらっしゃいませ」と言ったら、他のスタッフも「いらっしゃいませ」とやまびこのように返すのが一般的だ。コンビニに限らず、飲み屋でもよくあるのはご存じの通り。それを指摘しても彼は頷くだけ。




お手洗い行く時に黙っていこうとするので注意した。普通は相方に一言声をかけてから行くものなのだが、二度も無言で行こうとした。元気よくしてと言っても頷くだけで「はい」「いいえ」すら無い始末。何も言わずに裏に行くことも多々あり(恐らくスマホでも見に行ってるものだと思われる)それも注意したが頷くだけ。親の顔が見てみたいなぁ。




だんだん腹が立ってきて語尾が少し荒くなってきたところ、派遣くんも腹が立ったのか「なんで敬語使わないんですか?タメですか?礼儀が無いんですか?」等々言ってきたので失笑。君よりずっと歳上で先輩ですが? 筆者はおじさんだけど若く見えたのかな? 筆者の年齢を言うと、黙りこくる派遣くん。続いて




「なんで最初に挨拶もしない人間に礼儀正しく振舞う必要があるの? 君さ、普通〇〇です、よろしくお願いしますっていうよね? それすら無かったよね?」とひろゆきよろしく、筆者は言い切った。完全論破に黙りこくる派遣君。




ここから完全に亀裂が入り、勤務終了まで地獄の30分が始まる。相手が「〇〇無いですか?」と聞いてきても「知るか、自分で探せ」と冷たくあしらう筆者。ここで協力するのは間違いだ。




最後にとどめの一撃。




「お前みたいなのは二度と来るな! 仕事舐めるんじゃない!」




筆者は普段怒ることはないが、この時ばかりは怒らざるを得なかった。怒らず甘やかすのは間違いだ。怒る時にはしっかり怒らないといけない。それは大人でも子供でも同じこと。大体21歳って、物の分別ついてるよね? 我々は働いて、お金を貰っている立場なのだから。その原資はどこか?お客さんが払ってくれるお金だ。極端な話、お客さんが一人も来なければお給料は支払われない。




たとえ、うまくできなくとも、一生懸命やっていれば叱責などせず、注意する程度で留めたが、彼の場合はしっかり怒ってやらないといけないと判断した。





「来ませんよ……」




と彼は毒づき、勤務終了と共に去っていった。





店長に即座に状況をLINEで説明し、ストレス大爆発の筆者は一目散にカラオケに向かい、ヒトカラで2時間30分歌い倒す。




ラブライブサンシャインの「未来の僕らは知ってるよ」「ユメ語るよりユメ歌おう」「青空Jumping Heart」「君のこころは輝いてるかい?」



まどかマギカの「コネクト」



アイカツ!の「カレンダーガール」「アイドル活動!」



スイートプリキュア「ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪」



ラブライブ「それは僕たちの奇跡」「START:DASH!!」




などを熱唱し、終えた後でラーメン屋でがっつり食べてストレスを解消。言葉は選んだつもりだが、愚痴に近いLINEだったので苦言を言われるかと思いきや、今後は彼はブロックするとの返答を店長から得られた。俺だけじゃなく、途中まで入ってた相方の先輩もLINEしていたので、これが功を奏したのだろう。




いずれにせよ、やる気のない人間は二度と来てほしくない。

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