第14話 勉強

「とりあえずコレ読んでおけば間違いないんだぞ」


そう言ってケイトは立ち去る


……とりあえずで分厚い本が数十冊……




「……魔法は魔力を練り固めたもの…。……練り物かな?はは…」



襲撃の教訓を活かしワシは身を守るため1人で魔界図書館にこもって勉強中だ


みんなは図書館を囲んで見張りをしてくれている


なぜ1人で学ぶか…だって?みんな擬音で魔法を教えるからだ……(ケイトが1番酷かった)


ゴブリンでも分かる初めての魔法……か


「…全然…わからんのだけど」


ワシがゴブリン以下ということは分かった


まあ、2日で魔力の抑え方は大体掴んだし

服にまとわりついていた炎も弱火に出来る!


後は…放出……ほう、しゅつ……?


「こういうのは念じたらできるとかじゃ無いのか…」


よく言うじゃろ?

手に意識を向けるのよ!……みたいな


『魔法陣を意識して魔力を練りましょう』


まほーじん?ナニソレー


「とりあえず魔法陣の本を……ん?」


本が1冊床に落ちている


「赤い、本…?お…魔法陣が描いてある!こう言うのを見本に……つっ」


焦ったせいで紙で指先を切る

魔法陣に血が滴り本が光り輝く


「な、なんだ!?」


眩しい光の中から声が聞こえる


『我を呼んだのは誰じゃぁ〜』


重々しい声、光が落ち着くとそこには…



「ゲホッゲェッボヘッ」



「……トカゲ?」


「ひょっ!だーれがトカゲじゃーい!」


ヨボヨボの小さな赤いトカゲが杖をつき叫んでいた


「で、では貴方は?」


「よく聞いた若造よ!我は四大精霊サラマンダー族元筆頭レオナルド様じゃい」


……偉いトカゲ……


四大精霊……?サラマンダー……は聞いたことがあるな…


「隠居した我を呼び出すとは……なかなかやりおるのう〜若造!む、何しとる正座せい!そしてなお名乗れぃ!」


「は、はい…クロエ……です」


若造……か、懐かしいなこの横柄な感じ…


そして言われるがまま正座をする


「我をなぁ配下にしたくば力を見せてみよ」


「わ、ワシー、魔法が使えなくて…ですな」


なぁにぃ!?


「仕方ない腕相撲で勝負じゃ!我ならお主くらい小指で勝てるぞぃ」


腕相撲!?

小指……ちっちゃ……大丈夫なのかの…?


「ゆくぞ!!れでぃーごぉ!ほあああ!!」


「な!!?」


な、なんだこの力は!!


_____



普通にクロエが圧勝した


折ってしまうかと思った……


「……負けは負けじゃ約束を…。それにしても我こんなにも弱くなっていたとは…我じゃダメだな!」


うーむと考え込むレオナルド


「そうじゃ!我の代わりに現筆頭の孫を配下にさせよう!それがいい!」


懐から大きな丸眼鏡と紙とペンを出し何かを書き始める


……どこから出した?


「これを持って北東の大きな洞窟に行くと良い」


「……これは?」


「契約書じゃ、お主の名前も書いてあるしこれを見せれば我が孫レオンハルトも1発じゃよ」


あ、あと洞窟の罠の位置教えとくぞぃ


「罠の位置?そんなのお孫さんが変えてるんじゃ…」


「無理無理あいつは不器用で馬鹿正直と有名じゃから罠も変えとらんはずじゃよ」


……それって、大丈夫なのだろうか


「まあ、努力家ではあるから魔法を教えるのはピカイチじゃ!良き魔法の練習台になるであろう」


「…!…ありがとうございます」


「ところで、お主……いくつじゃ?」


……歳?なぜ急に


「きゅ、あいや、17ですが……?」


「……若…。我の孫200歳じゃけど仲良くしておくれ」


200歳でも若造…それならお主赤ちゃんじゃん……


そう言って嵐のようなレオナルドは消えていった


「北東……か」


精霊の住む土地……


「とりあえず、ヴェルデ達に相談しよう」

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