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 瞬間、耳が痛くなるような爆音が轟いた。しろいと思っていた視界はよりまぶしい光に包まれて、たったひとつくろいものは神々しかった。

「雷だ!」

 智子が叫び、あたしたちを庇いながら床に倒れ込む。磔のマリアが落雷を浴び、怒り狂ったように激しい炎を立ち上らせる。

 炎はあっという間に聖堂の天井に延焼し、赤く明滅する木材が不気味な音をきしませながらいくつも落下してきた。

「ちょっと智子、大丈夫!?」

 あたしは慌てて智子の身体を起こす。木片が当たったのか、額から血が流れていたが、幸い意識はあるようで、瞳をにじませたまま何度か頷いてみせる。

「……神様の葬式や」

 恵子が立ち上がり、あはははとわらった。

 ああそうだ、この景色をあたしたちはよく覚えている。最後、マリアは燃え尽きる。棺のなかのヤスさんとともに。それがあたしたちの作った「神様の葬式」だ。みんなに茶化されたように、先生に怒られたように、罰当たりだとあたしたちは思っていない。あれこそあたしたちの信仰だった。そのことを、ババアも分かってくれていたんじゃないか。そしていま、あたしは、あたしたちは、自分が信じたもののなかに燃え尽きようとしていた。あたしたちのなかに、確かにババアもいた。絶望とよばれる姿で。

 意識を失う瞬間、あたしは見た。棺のふたが開き、そこから見たこともないぐらい可愛らしい女の子が姿を見せるのを。ああ、ひかりの子どもだ。そう思うと同時に、あたしの意識は、落ちた。

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