第12話【ヴィルデとお茶会?】

エレナの部屋に戻るといつの間にかいい感じの椅子と机が出されていた。

そして、用意されていた椅子に座ったエレナとヴィルデはお互い何を話したらいいかが掴めず、数秒無言で見つめあっていた。


「あの〜エレナ様?」


その重い空気を破り恐る恐るといって感じでヴィルデがエレナに声をかける。


「はい、どうしましたか?」


「何故私はずっとそこのメイドに凄い形相で睨まれているのでしょう?」


「このメイドは私の専属メイドのロゼです」


「ロゼです。

よろしくお願いいたします」


エレナに紹介されたロゼは軽く自己紹介をしてヴィルデに頭を下げる。


「よ、よろしくお願いします」


「あー、ロゼの事は気にしなくていいですから。

もし、気に障るようでしたら出ていかせますので」


「出ていきませんが?」


(いや、出ていけよ)


「ヴィルデ様。

貴方様が優秀なのは重々承知です。

ですが私が重視しておりますのは能力よりも忠誠心でございます」


「あの〜。

エレナ様?」


ロゼの釘を刺すような物言いにヴィルデは困惑し、エレナに助けを求める。


(まぁ、普通そうなるよね〜。

初対面の人に対して忠誠心とか持てるわけ無いわな〜)


「あーもう。

ロゼは本当に黙ってて!

話が進まない!

これ以上騒ぐようなら本当に部屋から追い出すよ!」


「失礼致しました」


「よし!」


「えっと、それでは改めまして、私の名前はエレスティーナです。

長いのでエレナって呼んでください。

本日は忙しいなかわざわざありがとうございます」


「ご丁寧にありがとうございます。

私の名前はヴィルデです」


「それでは私はお菓子と紅茶を持ってまいります。すぐに戻ってまいりますが、ヴィルデさん、くれぐれもお嬢様に変な事をしないようお願いします」


「ロゼ!

一言多いの!

さっさと行きなさい!」


「本当に申し訳ありません」


「いえいえ、仲がいいんですね」


「あははははっ」


仲がいいと言われる事はとても嬉しいことなのだが、さっきのやり取りを見られている以上、別の意味に聞こえてしまう。


「えっと、ご趣味は?」


エレナは変に緊張してしまいお見合いみたいな事を口走ってしまう。


「趣味ですか?

趣味は、剣を振る事ですね。

鍛錬にもなりますし、剣を振っていると嫌な事を忘れる事も出来ますからね。

女子力のかけた、面白くも無い趣味で申し訳ありません」


「いえ、そんなことはありませんよ。

趣味は自分自身がしたいと思う事をするものです。それに人の目を気にしてするものは趣味とは言いませんよ」


「・・・そうですね。

ありがとうございます、少し気が楽になりました」


ヴィルデは今までもっと女の子らしい趣味を持ちなさいと周囲に口酸っぱく言われており、どうしたものかと心の奥で悩んでいたのでエレナの言葉はとても心に染みた。


「いえいえ、誰でも思っていることですよ。

それより、何か私に質問があったりしますか?」


「それでは一つ質問させてください」


「はい、なんでも聞いてください」


「エレナ様が剣や魔法の訓練をしたいとブレイン様に仰ったと聞きました。

何故、エレナ様は剣や魔法の訓練をしたいと思ったのですか?」

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悪役令嬢の姉、我が道を行く! 栗音 @snarou

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