第7話

 私とアユの前に現れた二人の大学生風な男性は私達に相席を申し込んできた。

 最初、私とアユは警戒をして拒んだが、一人の男性が爽やかな笑顔で、「君達が可愛く見えたから」と言って来た。

 するとアユが私の耳元で、小さな声で、「今時、歯の浮く様なセリフ」と。

 けど、アユは満更でもない表情をしているのを見て、私が「相席ぐらいならいいんじゃないの?」と言うと、アユが「ユリが言うなら」と返答した。


 「ありがとう」と二人の男性は席に着くと、先程の爽やかな笑顔の男性が私に笑顔を見せながら、軽くお辞儀をした。

 それを見て私は一瞬、ドキッ!と気持ちが鳴った。

 


 ーーーこれって私‥‥‥この人に‥‥‥。いえ、私はヒロ君が好き!。けど‥‥‥、なんなの、なんなの!この気持ちは!私の浮気者!‥‥‥ヒロ君‥‥‥。ーーー


 

 私の前に座った男性は、私に優しそうな笑顔を見せるが、その心の中では‥‥‥



 "恋愛経験の浅い子とみた。この子なら然程時間も掛けずに落とす事ができるな。まったく、あの女はしつこいんだよ!。俺はまだまだ遊ぶんだよ!この女も飽きたらポイだな"


 

 男性は笑顔を見せながら、心の中ではそう考えていた。そんな男性は、私とアユに笑顔を見せ、時には真剣な表情をして私達を褒めたり、笑わせたりした。そして‥‥‥

 私とアユは、二人の男性の言葉に‥‥‥

 偽の笑顔とは知らずに‥‥‥

 いつの間にか、楽しく談笑をしていた。

 

 そんな時だった。



 「アキラ!」



 私達に、女性の声で怒る様な感じで叫ぶ声が聞こえた。怒鳴る声の方を向くと、一人の女性が、鬼の形相の様な表情で立っていた。その後ろには、涙を流す女性の姿が見えた。


 「な、なに?アキラ?‥‥‥アキラって、もしかして‥‥‥」



 「まったく」と言うと、ため息をして席を立つと女性の方へと歩いていった、爽やかな笑顔の男性。

 私とアユはそのアキラ?の背中を目で追った。すると私達の前に座っていたもう一人の男性がため息混じりに、



 「はあ〜、またアキラを尾行していたのか〜」


 「‥‥‥えっ?尾行?‥‥‥じゃあ、あの女の人は‥‥‥」


 「そう、アキラの彼女。て、言っても元、だけどね」


 「「元‥‥‥彼女⁈‥‥‥」」



 私とアユは驚きながら互いを見ます。

 私は男性に聞きます。



 「アキラ?さんに何か?‥‥‥元って?」


 「うん、アキラ〈あいつ〉見た目が美男子だろう。学内でも女の子に人気があるんだよ。で、あそこで泣いてる子と付き合っていたんだけど、彼女の束縛が酷くて、て俺から見たらそんなに酷くはなかったんだけど、アキラからしたら‥‥‥ね」



 男性は羨ましそうにそう話した。

 私とアユは、なんだか複雑な気持ちで男性の話を聞いていた。


 その時!



 「ガタッ!」「や、や、やめろ!」



 椅子を倒す音と共にアキラの慌てる声が聞こえてきた。

 


 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

失恋?から始まる恋愛 本田 そう @Hiro7233

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ