幻想ノ七 マユの過去

 私はいづれ殺される。


 私は本当に殺される。


 運命さ……それでもその運命に抗って見せる。


 マユじゃないころの私は赤ん坊のころから、山でお父さんとお母さんと一緒に兄弟たちと共に暮らしていた。


 私は兄と妹に挟まれるように三人兄弟の真ん中の長女だった。


 兄さまはまだ、ひよっこで餌の取り方もろくに知らない頼りない兄だった。


 私は妹が心配だった。兄も心配だったが、それでも妹は片目が見えないでいた。


 そんな五体不満足な妹が一人で生きていけるのか心配だった。


 でも、それでも。私はこの用の中でも、世の中を知らないでいた。


 ニンゲンってみんな良い人だよねってお母さんに聞いた。


「そうだよニンゲンは私たちにゴハンをくれる、良い人たちが多いよ」


 お父さんが言った。


「でもあいつら油断すると俺たちを殺しに来るから人里に降りるときは、あなたたちでこっそりゴミ加護から、籠にある果物とか野菜を貰うときにお金を置いてきなさい」


 お父さんのいうことを聴いた。聞いたけどわからないことがあった。


 でもでもそれは杞憂に終わった。


 次の日、雨が降った。


 ザァザァ…………ザァザァ………………………………ザァザァザァザァ…………


 一人でといわない妹のナユコと共にお留守番。


 洞穴ではやることがないから言葉遊びしている。


「りんご……」


「ごりら!」


「ラッパ!」


「パイナップル……」


「ルビー……」


「ビール!!」


「ルビー……」


「びびびっ……びっくり!!」


「リラックス……」


「スイカ!!」


「カエルさん……」


「んがついたお姉ちゃんっ☆ ☆ 楽しいねお姉ちゃん……どうしたの…………?」


「なんか遅いね……お母さんとお父さんとお兄ちゃん……」


「いつものことだよ、それよりもっとしりとりしようお姉ちゃん」


「そだね……そうだねしりとりくらいしかできないよねここでは暗いから……」


「楽しいねお姉ちゃん……楽しいよお姉ちゃんと入れることが真の幸せだよ……お姉ちゃんなんか眠くなってきたよ……」


「寝ようか……ナユ……おやすみ」


 ナユを寝かしつけて、わたしは人里に降りた。するとお母さんが……死んでた。


 お父さんが最後の抵抗として、人に襲い掛かっていた。


 兄ちゃんがいない……兄ちゃん!!



 私は急いだ……駆けた。駆けた全力でお兄ちゃんを探した。


 お父さんのことは見捨てられないでも今はわたしたちの家族を逃がすのが先決だ。


 熊の一族として兄を逃がさないと終わる。



 私はまだ大人じゃない……だっから死ぬわけにはいかない……これから冬だ。


 冬を乗り越えるために、今から食料を保存しないといけない。


 食糧を食いだめして、冬眠の準備をしないといけない。


 でもでも私は冬眠体質ではない。


 冬眠をするために、食料を保存しないといけない。


 だから今こそ……兄が助かるために……見つけた!!



「兄ちゃんどうしたんだよ! こんなところで体が足が……」


「俺を喰えマユ……」


 兄から衝撃的な言葉が発せられる。


「いやだよ友喰いなんて……それだけは…………」


「いいから俺の贓物を喰えそうしないとお前は殺される……!!」


「嫌だよ!!! 兄ちゃん死んじゃヤダ!! ヤダ !! やだやだだ…………やだっ……」


「ならば俺をおぶってどこまで逃げられるんだ……」


「逃げて見せる……!!!」


 そしてわたしは死ぬほど兄をおぶって人里をあとにした。


 幸いにも兄はまだ大きくなく、大人になる前だった……だから……盗んだ果物とか野菜を盗んだ初めて盗んだ人さまから……物を盗んだ。


 それが最大の罪だった私のそして帰ってきたらナユがいない。


 ナユがいなくなっていた。


「はっはぁあああ……糞傷が痛む……ダメだよ俺はもうだめだナユはどっかいってるし……もうだめだ」


「あきらめんなよ!!! 兄ちゃんだろわたしの最愛の兄だろ!!」


「あきらめんなんよあきらめんなよ!!! あきらめんなよ!!!」


「あきらめたくないよぉ……うえええんいお母さんとお父さんは……?」


「もう殺されてるよ……」


 マユはこの時ヒトに復讐することを誓った。

 兄を助けてもそのあとは私がニンゲンに復讐すると誓った。

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