第50話 光と闇の戦い~ルシファーとウィルヘルム卿

 その頃、マルデクでは大きな異変が起きていた。

 ウィルヘルム卿はその変化の兆しを、遠く離れた地球にいたにもかかわらず、敏感に感じ取っていた。


 マルデク総統ユリウスの中で、長い間、心の闇に閉ざされ、深い眠りの中に埋もれていた理性と希望の光が覚醒しようとしていた。

 暁の明星が、その光を取り戻そうとしていた。

 

 しかしウィルヘルム卿には、もはやそれはどうでも良いことだった。

 闇の帝国でまばゆいばかりの光を放つ新しい超新星、新しい宵の明星をすでに見つけていたし、そのターゲットを捕獲する準備はすてに出来ていた。


『あのときは、油断してお前を取り逃がしたが、今度は決して逃がさない』

 ウィルヘルム卿はルシファーを見ながら、心のなかでそうつぶやいていた。

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