遠い記憶と始まりの場所

深月は……

神様っていると思うかい?



いるよー!

だってがさがしものしているときはね

神さま助けて!!

っておねがいするとみつかるもの。



ハッハッハー。

それは良い神様だねー。

今度そんなお話し書いてみようかな。

お父さんちょっとお仕事で、

神社の人とお話しして来るから、

この社務所で少し一人で待てるかな?


中から巫女さんの服を着た女性がニッコリと笑いながらお茶とキレイな和菓子を持ってくる。


うん!

ながくかかる?


そうだなー……。

一時間くらいかな?


わかった。


ソーダ味のゼリー?の中に

金魚の形した餡が入っていて、

とてもかわいい和菓子。

こんなの見た事ないし、

かわいいからしばらく眺めて、

それからゆっくりと味わった。

おとなしくお菓子を食べてお茶を飲んでいたけれど、退屈すぎて勝手にオモテにでる。



思い切り深呼吸すると、

杉の木の香りがした。



社務所を出て木々の茂る森を歩いていくと、小さな祠があった。

榊が立てられてお神酒を入れるキレイな焼き物のお猪口がおいてある。

その前を髪の長い澄んだ水の様に透き通る程白くてきれい女の人が、

困った顔をして行ったり来たりしている。



どうしたの?



ん?

こまった顔が私を見てやさしく微笑む。



大丈夫。

なんでもないわ。



でも……、

でもおねえさんこまったかおしてるよ。

こまっている人がいたらたすけてあげないといけないって、お母さんが言ってたよ。



良いお母さんね。

ありがとう。

あなたは優しいのね……。

本当の事いうとね

探し物をしてるの……。



なにをさがしているの?



小さな石よ。

丸い雫型の

キレイな小さな石。



へー…。

それなに?

ほうせき?



うーん…翁様……知り合いのお爺様からいただいたの。

だけど何処かに忘れたか、

落としてしまったみたいで……。



わたしも見たいなーキレイな石。

いっしょにさがしてあげる!



女性は首を横に何回もふりながら、


もう長い事探してるの。

それはもう……

とてもみつからないわ……。



じゃーが神さまにお願いしてあげようか?

わたしね、こまったときは

「神様たすけて」

ておねがいするんだよ。

そうしたらだいたいのものはみつかるの!!



本当に?


キレイな顔で微笑みかける。


じゃーお願いしてみようかしら?



うん!!

じゃーね……

おねえさんもこうして手を合わせて

それから目をつむって願うの……。


かみさまどうかこのおねえさんの

さがしものがみつかりますように、

お願いします!!


しばらく目をつむってお願いする。



あれー?


目をあけると女性はいない。



みつきー?

みつき?!



あっお父さんかな?



……つきさん

みつきさん!!


??

お父さん?



深月さん?!

大丈夫?朱い糸につながったの?



まだハッキリしない意識。

優美が心配そうに顔を覗き込んでいる。


あっ……うん大丈夫。

朱い糸……?なのかな?

先生とは関係ない気がするけれど……。



私はこの場所に間違えなく来た事がある。

すっかり忘れていたけれど、

幼稚園くらいの頃だった…かな?

今思えばおそらく父は書物の取材の為に訪れたのだと思う。母はフルタイムで働いていたので父と二人で来たのだ…多分。


あの時のちょっと不思議な?体験。

すっかり記憶から抜け落ちていた。



緑郎が参道のら方から歩いてきた。



あっ深月さん大丈夫ですか?


うん。大丈夫。


ここから1キロ程歩いた所の

鳥居をくぐって左手側に御守り売り場があって、そこの裏手に社務所があるみたい。

そこで話を聞いてみようか?



どうやら私が糸の記憶?

とつながっている間に一足先に神社への道を調べてくれたみたいだ。


うん行ってみよう。


今回の本題は先生に会って、

真相を明らかにして、

自分の宿命をあきらかにする事だから。















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る