第30話
お風呂を出てから小夏の部屋をノックした。小夏から「いいよー」と言われたので僕は小夏の部屋に入った。
小夏の部屋は凄く女の子の部屋って感じでイメージと違った。僕が小夏の部屋を物珍しそうに見ているのを感じ取ったのか小夏が
「……やっぱ、似合わないよね?私には」
付き合ってからなんだかしおらしい感じになる小夏。もしかしたら本来な小夏の性格は意外とこっちなのかもしれない。僕は
「そんなことない。ただイメージと違っただけでこれも俺はいいと思う。こういう女の子らしい小夏もすきだよ?」
最近の僕はくさいセリフを平気で言えるようになってることに心の中で少しおかしくて笑った。
そんな僕のくさいセリフに若干恥じらいながら「ありがと。そんな優しい秋が私も好き。」と俯きながらそういった。
普段ならすぐにでも抱きついてきそうな感じなのにそれがなかった。なんだかいつもの小夏と違い僕は少し戸惑っているとそれも察知したのか小夏が
「少しおしゃべりしよ?こっち来て」といってベットに腰かけ小夏が自分の横に来るようベットに手を叩いた。
それから僕たちは他愛もない話をした。ホントに他愛もない話だった。だがなんだか心地がよかった。自分の考えてる事や小夏の考えてる事が手に取るようにわかる。いままでこんな機会がなかったので知らなかった。やっぱり僕たちは腐っても双子なんだと実感した。その後も趣味や最近ハマってるものなんかについて話をした。
もうそろそろ12時を回る頃に小夏が
「……じゃあそろそろ寝よっか?」と言ったので僕も「そうだね。」といい、部屋の電気を消した。僕はてっきりセックスをするんだと思っていたが小夏から
「今日は抱き合って寝たい。だめかな?」
内心驚いた。僕と小夏の関係はそこありきだったから。初めてだ、何もせずただただ抱き合うだけで終わるなんて。僕は驚きを顔には出さず
「いいよ。じゃあ今日は抱き合って寝よう」
僕の返事に笑顔で頷いたあと優しく抱きついてくる小夏。なんだこの感じ、これが小夏?僕は自分の中にある小夏のイメージが壊れる音がして少し焦った。
だって今の小夏はいままでのが嘘のように魅力的で可愛かったから。僕は目の前の小夏を直視できずにいた。どうした、なんなんだ。訳がわからない。ただ今は小夏を少しでも感じていたいと思ってしまっている自分に言い知れない感情が渦巻いた。
気がつくと無意識に僕は小夏を優しく抱きしめていた。
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