第12話 さばんなちほー

 目が覚めた、ということはもう朝なんだろう。ここからでは外は見えないから閣僚は無いが。隣で眠っていたアオとリンがいない。先に起きて紅茶でも嗜んでいるのだろう。


 そういえば風邪の調子はどうだろうか。寝転がっている今の状態ではわからないので体を起こす。


 かなり楽になっている。紅茶がいい感じに聞いてくれたのだろうか。しかしまだすこし倦怠感がある。無理はしないほうがいいかもしれない。


 ともあれとりあえず下に降りるか。


 俺は布団からでてそれを畳み、階段を降りる。降りきってみんなのほうを見ると紅茶に口をつけているアオと目が合った。


「おはようアオ。」


 アオは口から紅茶を離してそのコップを机に置いた。


「おはようグン、体調はどう?」

「だいぶ良くなったよ、でもまだちょっとだけ倦怠感がある。あれ?」


 そこにはアルパカさんとアオしかいなかった。あたりを見渡してもやっぱりいない。


「リンとトキさんは?」

「その2人ならテラスのほうにいるよ。」


 なんでわざわざトキさんと2人で?まさか…俺の愚痴?いやいやそんなはずはない。とりあえず俺も紅茶でも入れてもらって優雅な朝を過ごすとしよう。


「アルパカさん、俺にも紅茶もらえるかな?」


 アオと向かいの席に座ってアオのほうを見る。目が合うと軽く笑顔を作ってくれた。


 最高にかわいい。


 いかんいかん。やはり朝は感情が動きやすいな。


「そうくると思って先に入れてたんだよぉ。でも安心してぇ、今ちょうど入れ終わったところだから。はいどうぞぉ。」


 アルパカさん気が利くじゃないか。とりあえずこれ飲んで頭冷やすか。


 目の前に置かれた紅茶に昨日と同じように口をつける。


「あっつ!!」


 拭きこぼさないように俺は紅茶入りのコップを机に置く。


 なんでこんなに熱いの?そうか、昨日は3つ同時に出されたからその分冷めてたんだ。くっそ冷めるまで待つか。


 今のうちにリンのところに行こうかな。いや、出されたお茶を目の前にして席を立つなんてアルパカさんに失礼だ。


 冷ましながら飲むか。まあ簡単に言えば息を吹きかけながら飲むと言ことだ。


 そんな様子を見兼ねたのだろうか。アオがこんなことを提案してくる。


「私のと交換するかい?飲みやすい温度まで冷めてるよ。」

「え?ありがt…いやいいよ、自分のやつ飲むよ。」


 あぶない、交換してしまうところだった。ようするにそれって間接キスだしな。


 それから俺が飲み終わると同時にアオも飲み終わった。俺より早く飲み始めていたはずなのになんでだ?合わせてくれたのだろうか。


「ごちそうさま、アルパカさん。」


 アルパカさんにこう告げて俺はリンとトキさんがいるテラスに向かう。


 テラスのドアに手をかけると何やら会話が聞こえてきた。


「最近先生とグンがけっこういちゃいちゃしてるのよねぇ。」


 は?おいちょっとまて俺らそんな風に見られてたのか?ん~よくよく考えてみたら無理もないな。


「あらそうなの?」

「そうなの、私にももっと構ってくれないの?って思うのよねぇ。」


 そんなこと思ってたのか、じゃあこれからは構ってあげるようにしよう。


「グンが好きなのね。」


 はっ。まさか、そんなはずない。俺が男ということはアオ以外知らないはずだしな。


「でも多分グンは先生に夢中だし、先生もなんでか知らないけどグンに夢中だし。なんか蚊帳の外って感じがするのよねぇ。」


 否定しないのか…、好かれてるって思うとなんか照れるな。でも蚊帳の外にしているつもりはないんだが、ちゃんと構ってあげないとな…。


「そんなこと無いと思うわよ?彼はちゃんとみんなと平等に接してる、そんな風に見えるわ。」


 そうだよ、ちゃんと平等に接してるよ!…接してるよね?


 ん?ちょっと待て、今トキさん彼って言ったか?なぜだ?俺を男として認識しているのか?どうやって?


 いや、ちょっと頭を働かせれば分かる話じゃないか。この出で立ちでさらに声まで低いとすぐに男ってわかってしまう。


 でもフレンズは「男」って言うのが何か知らないはずでは?そんなことは無いな。もしこれが正しいとすればアオに俺が男って伝えた時にアオは理解できないはずだ。


 だが全員がそうではないはず、アオは漫画家なんだ。男というものを知っているのもうなずける。あとはコノハ博士とミミちゃん助手とか。PPPのみんなも知ってそうだな。


 あれ?意外とみんな分かるもんなのか?なんだよ、隠す必要なかったのかな…。


「そうしようかしら…ありがとうトキ、話に付き合ってくれて。私は中に戻ろうかしらね。」


 俺が思考を巡らせている間にリンとトキさんの会話が終わったみたいだ。俺が出るにもちょうどいいタイミングだろう。


 俺はドアを開ける、リンと目が合う。


「おはようリン。そろそろ出発しようかなって思って呼びに来たんだ。」

「分かったわ。」


 リンとトキさんが中に入るのを確認して俺はドアを閉める。


「ごちそうさま、おいしかったわ、アルパカ。」

「そういってもらえると嬉しいねぇ、もう行くのぉ?また来てねぇ!」

「トキさんもまた歌聞かせてよ。」

「私はいつでも歌ってあげるわよ。また聞きに来てね。」


 お別れの挨拶をして俺たちはカフェを出る。


「あ、ロープウェイどうする?」


 完全に忘れていた問題だった。これまで2人が漕いできたわけだからここは必然的に俺の出番になる。まあ嫌ではないが。


「う~ん。そうだ、グンは空の旅なんてどうだい?」


 へ?空の旅?いったいどうやって?


「かばんさんはここに来るとき時に飛んで連れてきてもらったらしいわ。あなたも頼んでみたら?ってことですよね!先生!」


 ふむ、なるほどな。でも2人はどうするのだろうか。


「仮に俺がトキさんに連れて行ってもらうとして、2人はどうするの?」

「私たちのことは気にしないで、大丈夫だから。」


 そういうことならそうさせてもらおうかな。正直空の旅ってちょっと気になるし。


「じゃあそうさせてもらうよ、なんかごめんね?」

「気にすることは無いさ。」


 返事をきいた俺はまたカフェの中に入る。


「いらっしゃぁい。ようこそ…ってグンじゃない、ずいぶん早い再来店だねぇ。」


 まあそうだよな、さっき分かれ済ませたばっかりだもんな。


「まあね、ちょっとトキさんに頼みがあって。」

「なにかしら、できることならやってあげるわよ。」


 空の旅について説明する。


「かばんさんの時みたいにすればいいのね。ちょうど私も帰ろうと思ったところだし。いいわよ。」


 やったぁ、前は縦に空の旅をさせられたが今回は横に空の旅だ。どんな景色が見れるかな?


 俺はアルパカさんへ2回目の別れを言って俺とトキさんが外に出る。それから俺の腰とトキさんの腰をロープで結ぶ。


「それじゃあお願いするよ。」

「わかったわ、いくわよ。」


 掛け声とともに体が浮いていく感覚がした。少し高度が上がったところであることに気が付いた。


「あれ?ここの草ってこんな生え方してたの?」


 そう。少し薄れてはいたが大きなカップの地上絵が書いてあったのだ。


「あぁ、これの事?これはかばんさんがこの形に草をむしっていったのよ。おかげで空を飛んでいてもわかりやすくて助かってるわ。」


 もう頭が上がらないな。天才すぎる。いったいどこで何をしてるんだろうか。会ってみたいがどこにいるのかなんてわからないからな…。


 ま、考えるのはやめだ。どうせ俺はこの旅が終わったらミライさんのもとに行くことになるんだし。かばんさんのことは忘れたって変わらないだろう。いまは景色を楽しむんだ。


 この空気が頬と伝っていく感覚。あの時もそうだったな。尤も今は横に飛んでるがな。


 ふと顔を横に向けると山の頂上に大きく結晶ができているのが見えた。


「トキさん。あれなんだ?」

「あれは私もよくわからないわ。コノハ博士が侵入を固く禁じているから知ってるフレンズはいないと思うわよ。」


 見ている分にはかなり綺麗だ。だが何か胸騒ぎがするのはなんでだろうか。


「もうそろそろ着くわよ。」

「え?もう着くの?」


 下を見ていると麓のロープウェイがすぐそこにあった。もう数秒で着くだろう。


 アオとリンに申し訳ないな。


 それからロープウェイの上空にたどり着くとゆっくりと高度を下げてもらい、やがて地面に足を付ける。


「ありがとうトキさん。いい景色が見られて楽しかったよ。」

「それは良かったわ。それじゃ、またどこかで会いましょう。」


 そう言い残してトキさんは飛び立っていった。俺はそれを見送ると2人が到着するのを待つ。


 壁に寄りかかって待っていると草が揺れる音がした。おそらくフレンズだろうと思って無視していると「それ」は俺のほうに近づいてくる気配に気づく。


 フレンズだと思っていた俺はそれに目を向けて柄にもなくビビる。まあ柄にはなくないかもしれないが今はそんなことどうでもいい。


 非常事態だ。


 とっさにナイフを鞘から取り出す。見えにくいようにはしていたが腰につけておいて正解だった。


 俺の目の前にはセルリアンがいる。話しか聞いたことないがこれはおそらくセルリアンだ。


 真っ黒い球体に目玉が付いている。大きさは直径2メートルくらいだろうか。


「なんでこんな時にっ!」


 最悪のタイミングだ。周囲に戦えるフレンズもいなければアオとリンも今はまだロープウェイに乗っているはずだ。


 セルリアンは石を壊せば倒せるらしいがこいつはどこについてるんだ?前から見た感じ石は見当たらないから背中についているんだろうか?


 ドン!


 目の前のセルリアンが腕のようなものを作り出して俺に向けて叩きつけてくる。


 とにかく今はこいつの攻撃をよけつつ石を探すことにしよう。


 こいつ結構鈍いな。ヘラジカさんに比べれば攻撃も遅ければ動きも遅い。とりあえず後ろに回って背中に石があるか確認しよう。


 俺は次に飛んできた攻撃を避けてその隙に後ろに回る。


 あった。黒すぎて見えにくいがおそらくあれが石だろう。だがかなり高いところにある。俺の身体能力じゃ届かない。


 クッソ、どうしよう。とりあえずアオとリンが来るまで耐えるしかないな。


 一応こいつの背中がロープウェイのほうに向くように立ち回るか。


 しかし本当に単調な動きしかしてこないな。試しにナイフで切ってみるか。


 スッ。


 切れた感触がしない。たとえるなら豆腐を切ったときみたいだ。しかも傷口はすでに閉じている。こりゃ俺には相手できないな。


 そう思った時。セルリアンの後ろから飛び上がる何かが見えた。


 アオだ。彼女は一直線に飛んできてセルリアンの石をたたき割ってくれた。


 セルリアンが弾け飛ぶ。


「ありがとうアオ。俺の力じゃ倒せなくて困ってたところだったんだ。」

「大丈夫か?」


 いつになく真剣な顔で俺に語りかけてくる。前にもこんなことあったな。まあ理由は全く違うが。


「大丈夫だよ。俺は死んでない、それにあれくらいの攻撃なら避けれる。」

「良かった…ロープウェイに乗ってるときに物音が聞こえた時はかなり焦ったよ。本当に良かった…。」


 リンが奥で仰向けで額に腕を乗せた状態で寝転がってる。おそらく彼女が急ぎでここまで漕いだのだろう。


 俺はリンの傍まで行ってしゃがみ込む。息が上がっている。俺たちがカフェに着いた時よりも。


「ありがとうリン、急いでここまで来てくれたんだよね?返事はしなくていいよ、今は休んで。」


 そう言うとリンは静かにうなずく。


 リンが復活したらさんばんなちほーに向かうか。


_____


 あれからしばらくたってリンが回復したのでさばんなちほーに来た。さばくちほーほどではないがここもかなり暑いな。どこかに水場でもないものか…お?あるじゃないか。


「あそこの水場によっていかないか?暑くてちょっと…」

「そうだね、私もちょうどのどが渇いてきたところだったんだ。」


 蜃気楼じゃないことを祈りつつその方向に進む。近づいてるように見えるし多分あれは蜃気楼じゃないな。


 着いた。蜃気楼じゃなくてよかった。それじゃあ早速のどを潤わせていただこう。


 おいしい、この水汲んで持っていこう。


 ザバアアアアアン。


「だぁれぇ?」

「うわあ!」


 びっくりした…登場の仕方派手すぎるでしょこのフレンズさん。


「あら、タイリクオオカミとアミメキリンじゃない。どうしてこんなところに?あぁ、そういうことね。私はカバよ、あなたは?」


 俺を見て察してくれたのか。でもなにか言いたげな顔だな。


「俺はグン、よろしくカバさん。」


 え?めっちゃ凝視してくるじゃん。俺なんか怒らせたのかな?


「あなた、ヒトね?」

「そうですね。」


 隠してないので普通に答える。するとカバさんは目を閉じて息を吸い込んでから真剣な目で俺を見てきた。


「かばんさんにも言ったけど、ジャパリパークの掟は自分の力で生きること、自分の身は自分で守るのよ?タイリクオオカミ任せじゃだめよ?」


 そんな掟があったんですか!?ミライさんはそんな話したことなかったが…いや、話す必要が無かったのか?もともと俺はすぐにミライさんのもとに行く予定だったし。


「肝に銘じておきます。」

「それじゃあ喉も潤ったし先に進むかい?」

「ちょっと待って、かばんさんについて知ってること教えてくれないかな?」


 カバさんはいろんな情報を知ってそう。そんな気がしたから聞いてみた。


「かばんさんはこのさばんなちほーで生まれたのよ。なにやら帽子に残っていた誰かの毛からフレンズになったらしいわ。」


 誰かの?たしか博士はミライさんの毛髪って言ってたよな。ミライさんの存在を知らないフレンズって結構たくさんいるのかな?


 ともあれこのちほーでかばんさんが生まれたということはサーバルさんやアライさん、フェネックさんもここにいたということになる。


「教えてくれてありがとうカバさん。じゃあ俺たちは行くか。」


 こうして水場を背に先に進みだす。


「最近またセルリアンが増えてるって聞くから注意するのよー。」


 忠告をくれたので振り返って返事をする。


「気を付けまーす!」


 そしてまた歩み始める。


「さっき汲んでたみたいだけど、ちゃんと道中でも補給していくのよー!」


 また呼びかけられたので振り返って返事をする。


「はーい!」


 で、また歩き始める。さすがにここまで離れれば大丈b


「それから上り坂と下り坂で挫かないように気を付けるんですのよー!」


 もうもはや何を言ってるのすら分からない。が一応返事はしておく。


「分かりましたー!」


 さて、今度こそさすがに話しかけてはこないみたいだ。安心安心。ところでこれからさばんなのどこに行こうか?


「ねえ、さばんなって他に見るところある?」

「うーん、あ!あそこにシマウマがいるわ!」


 えっ!どこどこ?指を刺されたほうを見るがもしかしてあれのことか?


 なんだろうなんでか知らないけどこの言葉が浮かび上がった。


「サバンナシマシマオオナメクジ…」


 本当になぜかは分からない。(作者のいたずら)


「え?今何か言った?」

「いや、何も言ってない。あれ?いなくなった?」


 もう一度その方向に目を向けるがその姿はなくなっていた。


「他は…いなさそうだね。時間もいい感じだしこの辺りで休むかい?」

「そうしようか。」


 ちょうどここはさばんなの端のほうだ。この先の遊園地の横を通っていけばロッジに戻れるだろう。明日でお別れか…寂しいな。


 だがまだお別れではない。ロッジに帰るまでは一緒だ。


「明日は…ミライさんのところに行くんだよね。楽しい旅だったよ。」

「まだ旅は終わってないよ?帰るまでが旅だよ。」


 こう言うとどこか哀愁ただよう笑顔を見せてきた。俺だって離れたくない。ずっとロッジで暮らしていたいくらいだ。


「お、最後にいい顔頂いたよ♪」


 俺の目から零れ落ちる物があった。やっぱり離れたくは無いが行かないといけない。それにミライさんのところに行ったって帰ってこれるかもしれない。


 一旦お別れするだけだ。心配はいらないさ。


「最後なんて言わないでよ。また会えるし戻ってくるさ。約束しよう。」

「うん。絶対だからね?私の約束も忘れないでよね。」


 アオが顔を上げた。彼女目からもしずくが流れているのが見えた。


 これ以上泣いているとジャパリマンがしょっぱくなってしまう。


 俺は目を閉じて涙が引くのを確認してジャパリマンを食べ進める。


 食べきったので寝る準備をする。


「今日はちょっと早いけどもう寝ようか。ってもう寝てるし。」


 おそらく泣き疲れてしまったのだろう。俺もかなり眠い。もう寝るか。


 リンは…俺のほうをガン見してるな。


「今日は3人でくっついて寝よう?」


 そう言うとリンは黙って俺の横に来てすやすやと眠りだした。


 早いな。少し見える横顔が笑っているような気がした。


 2人に挟まれて寝るのは初めてだ。そして最後になるかもしれない。ゆっくり寝るとしよう。


 空を見上げるとまだ星も出てないような明るさだったがもう日は沈み切っている。


 2人とも寝てるし俺ももう休もう。


「お休みアオ、リン。」


 2人の頭を軽くなでて2人の間に寝転がる。それから目を閉じた俺はすっと眠りに落ちた。


_____


 俺は違和感を覚えて目が覚めた。隣にいたはずのアオがいない。


「アオ?アオ!!!」


 なんでだ?まだ暖かい、そう遠くには行っていないはずだ。


 俺は反射的に体を起こし、周囲を見渡す。すると遠くにどす黒い大型のセルリアンがいるのが見えた。


 俺はそこに向けて走り出す。何故だか分からないがアオは絶対そこにいるという確信があった。そこまで距離も離れていない。


 すぐにつくはずだ。


 着いたのだが…嘘だ。この景色…ロッジで見た夢と変わらない。まだ日も登らず真っ暗な夜空にセルリアンにつかまっているアオがいる。


「嘘だ…どうしてなんだよアオ!!!!」

「ごめんね…こいつの気配こっちに近づいてきているのを感じたからハンターが来るまで耐えようと思ったんだけど、力足らずだったよ。」


 何言ってるんだよ。なんで逃げないんだよ。なんで戦うことを選んだんだよ。どうして…


 頼ってくれなかったんだよ。


 でもそんなことを言ってる暇はない、早く助けないと。だがどうやって?俺には戦う手段なんて無い。


「うっ、もう長くないみたいだ。おそらく私はこいつに食べられてしまう。」


 は?そんなことはさせない。絶対にだ!


「グン、私は…」


 おい、やめてくれ…。


「君と出会えて…」


 嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


「良かったよ。」


 その瞬間セルリアンにアオの体が飲み込まれた。


 それと同時に俺は何もできない自分への怒りとアオを食べたセルリアンに対して怒りが湧いてくる。


 そして俺の意識はそこで途切れた。

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