第6話:アリスの誤算

私はアリス・ローリー、乙女ゲームのヒロインで主人公の男爵令嬢です。実は私は転生者であり、前世は乙女ゲームが大好きな喪女です!ひょんなことから突然、私は飲酒運転の暴走車に轢かれて死にました。死ぬ間際に私とともに暴走車に轢かれた女性がいましたが、その後は知りません


その後、私は大好きな乙女ゲームの主人公でありヒロインのアリス・ローリーに転生しました


私はクラーク王国の王子のリオン・クラーク様と結ばれて幸せになるのね。私がハッピーエンドを迎えるにはある障害がありました。リオン様の異母兄のアーノルド・クラークとリオン様の婚約者のマヤ・ユライザ公爵令嬢である


リオン様の父である国王の死後、あの二人が謀反を起こし、私とリオン様が協力して二人の謀反を防ぐことである


私はこのゲームをやり続けて攻略方法を知っている。悪役王子やら悪役令嬢なんか怖かねええええ!


まあ、悪ふざけはこの辺にして、続きに戻ります


私はローリー男爵令嬢として生を受け、何不自由なく育ち、10数年の歳月が経ちました。さて、リオン殿下の現れる場所で待ち伏せを開始


【アリス・ローリー】

「ん、出た!」


そこに飛んで火にいる夏の虫・・・・リオン・クローリー殿下が現れました。ゲームではここでヒロインとリオンが出会う


【アリス・ローリー】

「きゃっ。」


私はリオン殿下の見えるところでわざと転んだ


【リオン・クラーク】

「大丈夫か。」


リオン殿下が駆け寄ってきた


【アリス・ローリー】

「ありがとうございます。」


【リオン・クラーク】

「それはよかっ・・・美しい。」


よし、シナリオ通りね


【リオン・クラーク】

「君の名は?」


【アリス・ローリー】

「アリス・ローリーと申します。」


そこからはシナリオ通りにリオン殿下との交流が始まりました。しかし予想外なことも同時に起こりました。悪役王子のアーノルド・クラークと悪役令嬢のマヤ・ユライザと一度も会っていないのです。おかしい、シナリオ通りにいけば、会えるはずなのに・・・


【リオン・クラーク】

「どうしたんだい、アリス。」


【アリス・ローリー】

「いいえ、オホホホ。」


おかしい、おかしすぎる、これではシナリオ通りに進まない


【アリス・ローリー】

「こうなったら、自分で動くしかないようね。」


私の中に邪悪な意思が芽生えた。私はマヤ・ユライザのせいにしようと、ドレスを汚したり、本を破ったり、マヤ・ユライザの悪口を言ったりしてマヤ・ユライザの評判を悪くした


【リオン・クラーク】

「大丈夫か!アリス!」


【アリス・ローリー】

「心配してくれてありがとうございます。私は大丈夫です。」


【リオン・クラーク】

「おのれ、あの女、私の婚約者の分際で図に乗り追って!私の大切な人を傷つけやがって!許さん!」


よし、シナリオ通りに進んでいる。このままいけば、あの女は悪役令嬢まっしぐら!あとは悪役王子をどう料理してくれようかしら。リオン王子もアーノルド・クラークを兄とは思わず、下賤の女が生んだ子供と見下しており、好都合です。しかし予想外なことが起きた


【アリス・ローリー】

「アーノルド・クラークとマヤ・ユライザが失踪した!」


何と悪役王子と悪役令嬢が失踪した。どうなっているんだ!


【アリス・ローリー】

「リオン様、アーノルド様とマヤ様がいなくなったのは本当ですか?」


【リオン・クラーク】

「あぁ、まぁ所詮、父と下賤の女との間にできた奴だし、兄と思ったことはない。婚約者も父が勝手に決めた女だからな。いなくなってくれたのは私にとっては好都合だ。」


何、のんきなこと言ってるんだよ。私はどうなるんだよ


【アリス・ローリー】

「リオン様、お気をつけください!アーノルド様とマヤ様は謀反を画策しています!」


【リオン・クラーク】

「何?それは本当か!」


【アリス・ローリー】

「はい!私は夢を見たんです!アーノルド様が国王陛下が亡くなったと同時に謀反を起こす夢を!」


【リオン・クラーク】

「アリス、それは夢の中の出来事だろ。」


くっ、こうなったら泣き落としだ


【アリス・ローリー】

「いいえ!毎夜、見るのです!どうか信じてください!」


【リオン・クラーク】

「うーん。」


もうひと押し・・・


【アリス・ローリー】

「リオン様、私はリオン様のためを思って申したげているのでございます!そうでなければ私は・・・」


お前のためじゃない。私のためだ!


【リオン・クラーク】

「ああ、分かった!君の言う通りにするよ!」


【アリス・ローリー】

「ありがとうございます。リオン様。」


やっと言うことを聞いたか。この愚図!


【リオン・クラーク】

「父上が病がちになられている以上は私がしっかりせねばな!」


死にぞこないの親父なんかどうでもいい、私のために働け!それから数日が経ち・・・・


【リオン・クラーク】

「アリス、二人は他国へ逃亡した可能性がある。」


あの2人が国外逃亡ですって!これじゃ、シナリオ通りに進まないじゃない!


【アリス・ローリー】

「まあ、もし本当なら大変ですわね。」


【リオン・クラーク】

「何が大変なんだ?」


【アリス・ローリー】

「もしアーノルド殿下とマヤ嬢が他国に我が国の内情を話をしたらどうします。」


【リオン・クラーク】

「我が国の機密情報が洩れる!」


【アリス・ローリー】

「ええ、国内よりも他国を味方につけ謀反を画策しているのです!」


【リオン・クラーク】

「うむ、許せん!何としても見つけ出さなければ!」


そういうとリオン様は部屋を出て行った


【アリス・ローリー】

「うーん、二人が国外逃亡したということは、まさか転生者!」


もし二人が転生者だったら、謀反も断罪も起きず私はリオン殿下と結ばれない。しかもまだリオン殿下はマヤ嬢と婚約破棄していない、しかも国王陛下はまだ生きている。このままではマズイ、マズすぎる


そこから月日が経ち、ようやく見つけた。どうやら二人はサカイという町にいるらしい。リオンはお付きの騎士に命じて、二人を連れ戻すよう命じた


【アリス・ローリー】

「殿下、お二人を連れ戻して、どうするのですか?」


【リオン・クラーク】

「決まっている。国外逃亡と不貞の罪で2人を裁くのよ。」


【アリス・ローリー】

「まあ、何て素晴らしいお考えでしょう。これで謀反を起こせなくなりますね。」


【リオン・クラーク】

「そうだろう、なかなかの名案だろう、あの二人の絶望に満ちた顔が目に浮かぶは!アハハハハ!」


リオンは高笑いをし、私もやっとシナリオ通りに行くと思っていたが、事は思わぬ方向へと向かった


【側近】

「リオン殿下!なぜ勝手に兵を差し向けたのですか!」


【リオン・クラーク】

「いや、私はただ、アーノルド兄上とマヤ譲をお迎えに向かわせただけだ。別に他意はない。」


【側近】

「そういう問題ではありません!貴方のしたことは完全にサカイに宣戦布告をしたのです!現時点で諸国からの非難が殺到しているのですよ!」


【リオン・クラーク】

「それは・・・」


【側近】

「おかげで我が国はサカイの国民を拉致しようとした犯罪国家としての烙印が押されました。どうするのですか!」


【リオン・クラーク】

「うっ・・・」


側近に叱責されるリオンの姿を物影に隠れながら見ていた私は・・・


【アリス・ローリー】

「あぁ、失敗したのね。マジで使えないわね。もうこの国も終わりね。さっさととんずらしますか。」


私はリオンに見切りをつけ、クラーク王国から脱出する手立てを考えていた時だった


【クラーク王国兵士】

「申し上げます!」


【側近】

「何じゃ!」


【クラーク王国兵士】

「陛下が、陛下が・・・」


【側近】

「陛下がどうされたのだ!」


【クラーク王国兵士】

「陛下が御自害されました!」


【側近】

「何!」


【リオン・クラーク】

「ちっ父上が。」


あぁ、神様はちゃんと見ているのね。ちゃんと罰を与えてくれたのだから・・・

その後、リオンは急遽、国王の位に付いた。私は自動的に王妃にされた。リオンの母である王妃はかつての実家は国交を断絶した同盟国に含まれており、王妃は絶望し、服毒自殺した


【リオン・クラーク】

「くっ、父上の次が、母上が死んだ。アリス、お前だけでも私を見捨てないでおくれ!」


【アリス・クラーク】

「もちろんですよ。陛下。」


冗談じゃない!私が望んだのはこんなことじゃない!早く逃げ出さないと・・・・

その後は反王政派の貴族と国民たちが反乱を起こし、私はリオンとともに秘密通路を通っている最中です

ああ、神様、お願いします。リセットボタンがあったら押して下さい

そして私の目の前には全裸の男たちが私の前に立っている。あぁ、終わった。私はこれから起こる事態をやり過ごすしかなかった


























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