じゃいあんとぴんく♪ ☆ユウの もふもふ 生き物大図鑑☆

古森 遊

じゃいあんとぴんく♪ ☆ユウの もふもふ 生き物大図鑑☆

 北アジア大陸に生息する大桃熊(じゃいあんとぴんく)は、全体的に白に近いクリーム色のもふもふした毛で覆われているクマです。

 そして、皆さんご存知のように、体の決まった部分だけが、鮮やかなピンク色になっています。


 丸い耳、同じく丸くて毛糸のボンボンのような尻尾、四本の足先もピンクの靴下を履いているようです。頬の部分にも、うっすらと丸くピンク色が入っています。つぶらで宝石のような碧い瞳と相まって、まるでいつも恥ずかしがって頬を染めているように見えるのです。性格も大人しくて動作もゆったりで、好物はよくある桃風味の笹。可愛らしくていかにもほのぼのした気持ちにさせてくれる、癒し系の動物ですね。

 けれど、その可愛らしい見た目と穏やかな性格は、大桃熊のほんの一面でしかありません。大桃熊は、時にとてもアグレッシヴな生き物であることを、私達に教えてくれるのです。


 例えば、あなたが道路脇の歩道で一匹の年若いメスの大桃熊に遭遇したとします。そして、良く見れば道の反対側の歩道では、年若いオスの大桃熊がバスを待ってベンチに腰かけています。


彼女はこのオスの横に、ごくごくさりげなく座りたいのです。


 まず彼女はあなたとすれ違おうとします。しかし、あなたが避けようとした方に彼女も体を動かし、なかなかすれ違えない、という状況を作り出します。そして、いかにも(なに、この人間嫌がらせかしら?)という困った表情で道の反対側に逃れるのです。そのまま、オスの座るベンチの端ににおずおずと座ります。まるで、困った人間から逃れて、頼りがいのある同種のオスのそばに身を寄せました、という風に。当然、年若いオスは悪い気はしません。彼女に“嫌がらせ”をした悪い人間を睨み付けて威嚇したりします。それを見た彼女は、もともと染まってる頬をさらにピンクにして、彼にお礼を言うのです。


ピンクの癖に青い春です。まあ、その場のあなたは犬ですね。人間ですが、完全に噛ませ犬です。


そういう時には、下手な言い訳などせずに寄り添う二匹の姿を眺め、癒しとしましょう。そうすれば、あなたは犬から天使、つまり恋のキューピッドに格上げされるのです。


犬だったり天使だったり、人間とはなんと多彩な生き物なんでしょうね。


そう、次回はこの「人間」について特集いたします!

では、また来週この時間にお会いしましょう☆

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