第16話 贈る意味 【国王視点】



「なにぃ!?今度はリボンだと!?」

「は、はい・・・」



使いの者から報告を受けた国王であるアレキサンダーは、呆れたような、困ったような・・・、そんな表情をしている。



理由はふたつある。



以前、その少女に贈ったと言う手鏡。

王宮御抱えの銀職人に、こっそりお願いして作らせたそう…。

そりゃあ、王宮が抱えるぐらいの職人だから、品は一級品だろう。



しかしなぜ手鏡・・・。

相手が欲しいと言っていたなら別だが、女性に手鏡を贈るなんて・・・、『自分の顔を見ろ』と嫌味を言われているようなもんだ。


装飾のダイヤは小粒だし、そのくせ、これも小ぶりながら、紫光石をはめ込んだという!




そして今度はリボン。

ただのリボンだ。


今度は装飾も何もない、ただのリボン!


だがその染色は、また紫光石を模した、特別な色・・・。



もうワケが分からない!



誰かに何かを贈ることは別に良い・・・。




しかし何だ!?


贈る品は、意図が掴めないし、

王族であるエリックが、紫光石について知らない訳が無い。


その石を贈る意味が・・・。



理由はそのふたつだった。

アレキサンダーは、その事を踏まえ、少し考えて、ちょっとでも未来に光が見える方向に結論を出そうとした。



相当に、特別な相手なのか・・・



他国の人間・・・?

それなら贈る品の意味も、もしかしたらこの国とは違う考えもある…。



いや、


相手とは泉でしか会わない事を考え、更にエリックが真剣に調べていた妖精や聖霊の文献・・・


相手が人間ではない・・・?




相手の女性は、それはそれは目麗しかったと、使いの者が言っていた。


もし、



もし、仮に、


人ならざる者だったとして、



私はきちんと受け入れることが出来るだろうか・・・




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