第2話告白たーいむ?

 夕暮れになり茜色あかねいろに空を染めるころ青春の一ページを飾るはずのこの教室はいきなり修羅場戦場と化していた。



 「菊池健一きくちけんいち、よく待っていたわね!」


 「菊池君ごめんねこんな時間に」


 「菊池くぅん、僕ね、ずっと君が気になってたんだよ!!」



 いや、最後は要らんだろうという顔をしながらやっと名前の出てきた彼、菊池健一きくちけんいちはやって来た彼女たちを見る。


 そして大いに驚く。


 一人は豊田涼子とよたりょうこ、一つ学年が上の三年生で生徒会長。

 一人は本田明美ほんだあけみ、同学年で隣のクラス、学園のアイドル。

 一人は誰だかよくわからんしヤロ―など覚える気にもならない。


 幼馴染の彼女、鈴木麗菜すずきれいなも大いに驚く。

 それもそのはずうち二人は通常花高嶺の花だったからだ。

 しかし何かの奇跡でどうやらラブレターの差出人で有るようだ。


 後、見た事もない男子は語る必要もないだろう。




 「菊池健一、私はあなたが気に入ってるわ! 私と付き合いなさい!!」

 

 豊田涼子はストレートにそう言い放つ。

 黒髪長髪の美人で長身巨乳、成績優秀スポーツ万能、気立ては良くて芯が強い大和撫子を体現したような、いや、少々奥ゆかしさは欠けているがそこがまた作者好みと言うか。

 とにかくいい女だ。




 「き、菊池君、ずっと好きだったの私と付き合って下さい、お願いします!」


 本田明美はそう言って頭を下げる。

 ふわふわの髪の毛で先端が少しくせっ毛の有るゆる可愛系の美人でやはり巨乳。甘いフェイスは上目遣いされれば落ちない男などいないであろう守ってあげたい女の子ナンバーワン。これもなかなか作者好みだ。

 やっぱりいい女だ。




 「もうね、僕我慢出来ないんだ、菊池くぅうん♡」


 そう言ってなぜか腰を突き出す変態は長身でなかなかガタイが良いくせして肌白、青髭、七三にきっちりとわれられた髪型の間から菊池健一のお尻に猛禽類のような目を向ける危ないやつ。なんとなく小指を立ててくねくねする。作者でなくても寄りつきたくない奴だ。

 とにかく危険臭いっぱいのヤロ―だ。




 おお、神よこの青年に祝福あれ。


 一生に一度でいいから女の子に言われてみたい事を今この瞬間この彼、菊池健一は味わっていた。

 天から光が降り注ぎ小さなキューピットは彼の周りを飛び交い彼は号泣する。



 「それでは二人ともお願いします!」



 菊池健一は欲望自分に忠実な男だった。




 「ちょっと待ってよ!」



 しかしここで待ったの声がかかったのであった!

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る