小説にも通じる「作る」というテーマを是非

和を好む方は冒頭から描写に惹かれるかもしれません。
格好良い男達も出て来ます。信念の大人も。
伏線の回収も綺麗です(特にあの一文が彼に繋がるとは…これは最後近くまで読んだご褒美です!)。

私に魅力的でしたのは創作に対する姿勢と才のタイプ差を人物が体現していること。
創作や伝統好きな方ならば二話(デフォルトでの章)までご覧になると様々に感じる処があるかと。

私は主人公の藍子には殆ど共感しませんでした。
それはある意味、彼女への嫉妬です。いえ、素敵な男性に囲まれていることではありませんよw

伝統の地元に生まれ育つルーツ自体のアドバンテージです。
彼女の存在は良くも悪くも才も非才もそのルーツに生まれ、また許容される部分もあると感じました。昔、伝統工芸の後継者育成の戸を叩き「技術を盗んでやめるから土地の者以外は認めない」の言葉で外の人間の脱落の罪深さを痛感。

故に藍子が地元民でなかったら、と思いました。
彼女が地元以外で活動するには土地の人だからこその苦難があるかもしれない、と慮りました。

ここまで感じ、揺さぶられるカクヨム作品は久し振りでした。
然も上記の様な感情に対する救いの今がラストにあります。掌の上ですね。

伝統工芸の現状を確りと捉えて複数の視点を鬩ぎ合わせ、尚、爽やかな光を未来に感じさせる内容。感服です。

漫画化、映像化、或いはゲーム化したなら反響が来る気がします。『ちはやふる』好きの方などは惹かれそうです。
絵も描けないのに私は思わずプロモーションの展開を必死で考えてしまいました。

でも、カクヨムにいらしている方でしたら是非、文字で読んで欲しいです。

何故って、タイトルにしても後から「やられた」と思う程、文字的に良いのです。