輪郭との離別(140字小説)

塩塩塩

輪郭との離別

男は太っていた。

「私は顎の下に肉が付き過ぎて、顔の輪郭が無くなりました。

輪郭を失ってから、私はどこからどこまでが自分なのか分からなくなったのです」

その時、男の脚を野良犬が噛んだ。

男の脚には痛みが、そして口の中には血の味が広がった。

もはや、犬の口と男の口を隔てる輪郭など無いのだ。

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輪郭との離別(140字小説) 塩塩塩 @s-d-i-t

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