第19話 サファイアとウインディーネの合体技

 第19章 サファイアとウインディーネの合体技




 俺とウインディーネが《ユニゾン》すると、緑の長髪に白の上下に白のブーツを身につけ、全身に風がまとわりつき、弓を装備していた。


 俺はまとった風を使い宙に浮くとシルフィードにめがけて一直線に飛んでいった。飛びながら弓に矢を二本装備して


「風の矢ウインド・アロー!!」


「そんなのに当たる訳ないでしょう」


 一本目の矢はなんなく交わされた。


 だが、俺の狙いは二本目の矢にある。


「ユニゾンしてて、その程度なの。 アレキサンダーと引き分けたと聞いてたけどたいしたことないのね」


「ーー油断大敵だぜ」


 その時、先程放った矢が風に乗って、 シルフィードの背後から頬を掠めていった。


 シルフィードは頬を触り、 血を拭うと


「よくも私の顔に傷をつけてくれたわね。もう許さないわ」


 シルフィードは風の塊を作ると投げてきた。塊は俺の前に来ると広がり包み込んだ。


「あなた方を結界で封じ込めたわ。その中は真空状態、息もできないからもう終わりね」


 俺は風邪を纏った聖剣で結界を切り裂こうとしたけどびくともしなかった。




 このままじゃやばい。どうする・・・・・・




 その時だった。




「うぉぉぉぉぉ!!!」


『キャァァァァ!!!』


 結界が急に大爆発を起こし、俺達は吹き飛ばされたひょうしに《ユニゾン》が解けてしまった。


「な、何事?」


 驚いた様子からシルフィードにとっても予想外なことだったらしい。でもいったい何が・・・・・・と思っていると後ろから不適な笑い声が近づいてきた。振り向くとサファイアだった。


「ヌフフフ、やったのは私よ。ヴァイオレットは森を守るために結界維持、ティオはその護衛、てなると動けるのは私しかいないじゃない。近頃いいところがなかったからやっとの見せ場で燃えてるのよね。これでも炎の精霊だし」


「私のおかげですけどね」


「外野は黙ってて」


 ヴァイオレットからのツッコミにサファイアはあーだこーだと言っている。




 そうか。サファイアの炎は森を燃やしてしまうけどヴァイオレットが結界を張ってくれたから気にしないで攻撃できたのか。あの二人、何だかんだで仲いいじゃないか




「なるほど。そういえばアレキサンダーから聞いたわね。炎の精霊がいるって。確か名はサファイアだったわね」


「そうよ。風邪に炎をぶつけて空気中の酸素を取り込んで大爆発を起こしたのよ」


「でもいいの。そのせいで仲間が余計なダメージをおったけど」


 それは~と思ってるサファイアに声をかけた。


「気にする必要はないよ。お陰で窒息しないですんだからな」


「ええ、響也の言うとおりです、、サファイア」


「二人ともありがとう」


 俺達が和んでいるとシルフィードが近づいてきた。


「確かにあなたとの相性は敵としては最悪ね。だけど風のまほうだけだと思わないことね」


 次の瞬間、シルフィードが消えたと思ったら背後に現れ、蹴りを放った。


攻撃が当たる瞬間、ウインディーネが張ってくれた風のバリアでかわすことができた。


「流石はお姉様」


 そう言うとシルフィードは後方に飛んで距離をとった。


「こうなったら私とウインディーネと《ユニゾン》するわよ」


「何人ともできるのか」


「相性もあるけど今のあなたなら大丈夫なはずよ」


「わかった。やるぞ、サファイア、ウインディーネ!」


「ええ!」


「はい!」


 俺の左手はサファイア、右手はウインディーネと手をつなぎ《ユニゾン》をした。


「何かをしようとしてるみたいだけどそんな時間与えないわ」


 シルフィードが仕掛けてきたけど俺達の《ユニゾン》の光に弾かれた。


 しばらくして光がはれると、髪が緑で毛先が赤の長髪に上半身はエルフを思わせる衣装に下半身は真紅なスカートだった。全身に炎がほとばしっている。何よりも特徴は目が緑と赤のオッドアイなことだった。


「もう終わりにするぞ」


《風の竜巻》


 俺が出した技を驚いたことにシルフィードも使ってきた。


「・・・・・・どうやら威力は私の方が上みたいね」


 互いの《風の竜巻》がぶつかり合い辺りをくねりながら押し戻されようとしていた。


 それを見てシルフィードは勝ったような顔をしていたが、俺はほくそ笑んでいた。


(どうやら忘れてるようだな。サファイアとも《ユニゾン》していることを)


 俺は《風の竜巻》に炎を混ぜるとものすごい勢いで螺旋を描きながら駆け上りシルフィードを攻撃した。


「キャァァァァ!!!」


 土煙が晴れると衣服がボロボロになったシルフィードが現れた。


「思ったより出来るようね。本当はアレキサンダーに譲るつもりだったけど気が変わったわ。私の手で殺してあげる・・・・・・って言いたいところだけど今回は引いてあげるわ。ーーまた会いましょう、響也にお姉様」


 シルフィードは懐から何か出すとそれを割って姿が消えた。おそらく転送するアイテムか何かだろう。正直言って引いてくれて助かった。


 俺は《ユニゾン》を解くと大の字に倒れた。正直ユニゾンを二人とするだけでここまで体力が無くなるとは思わなかった。


 俺は《ユニゾン》をうまく使えるようになると決心し、新たな戦いに備えるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る