第11話 おまじない

美人が大好きなあなた


でもあなたは優しくて


私はあなたの優しさに甘えてしまう


あなたの事を好きになりそう




――― それとも ―――




もう私の心には


あなたがいて


自分が気付いていないだけ?





―――― ううん ――――





私はすでに


彼に夢中になっていた




―――だけど ―――




自分に自信がなくて


心の中の秘めた想いを


押し殺していた…………




『あなたが…好き…』




という


想いを……





ある日の夜の事だった。



バイトで、かなり疲れていた私は部屋に帰りついて私は爆睡していた。


寝ている途中、私の身体に重みがあるような違和感があり、異変に気付きゆっくり目を開ける。




ビクッ

私の上に股がった1つの人影があった。




「きゃあ…っ!」



口を手で塞がれた。




「静かにしろ!不用心だなぁ~? 鍵掛けねーからだろう?高校生位だろうし経験ないわけじゃねーだろうし相手してもらうぜ」



私は暴れ抵抗した。




≪い、いや……だ、誰か助けて……≫



ビリビリと洋服が引き裂かれた。

とにかく暴れ抵抗する中、足が相手の股間に当たったのか疼くまっているのが伺えた。



ドタドタ……

私は優崎君の部屋に助けを求め向かう。



グイッ ドサッ

相手はすぐに私の手を掴み押し倒した。




「い、嫌っ!辞めてっ!」

「この女っ!ガタガタ言ってんじゃねぇぞ!」



相手が拳をあげた。



「………………」



ドカッ ドサッ

誰かと揉み合いになる。




「紫原さん!早く俺の部屋に逃げて!」

「……優崎君……うん…」




私は慌てて起き上がり逃げた。




「野郎っ!」




ドサーーッ

静かになった。




「…不法侵入だし…」


「………………」



カチャ

ドアが開く。



ビクッ

驚く私。



「紫原さん、警察には連絡したから警察が来る迄は、犯人、紫原さんの部屋に見張りながらおいておくけど」


「う、うん……」



ドアを開けた状態で私達は様子を見ることにした




「大丈夫?大変な目に遭ったね…ちょっと待ってて」



優崎君は毛布を私に被せるように優しくくるむように包んでくれた。



ドキン

胸が高鳴る。



「…ごめん…ありがとう…大迷惑だよね……」

「大丈夫だよ」



そして警察が来て犯人は連行された。



「それじゃ部屋に戻るね。毛布ありがとう」




グイッと私の手を掴み背後から抱きしめた。



ドキン

胸が大きく跳ねた。




「紫原さん…俺と……付き合わない?」


「えっ!? 付き合う?」




私を振り向かせた。



「あんな事あって言うのもとは思うけど…」


「………………」


「初めて会った時…君は泣いていた…中学の時……泣いてる君を見て…俺は抱きしめて……君にキスをした……」



ドキン

私は記憶が蘇る。



「……君の笑顔は…見たことないよ……もう涙の止まるおまじないは効かないかもしれないから俺の傍にずっといなよ……いや……いてほしい…君の事が好きだから……」




ドキン

突然の告白に驚く私。



私は涙がこぼれた。



「…紫原さん……?」





自分の抑えていた想いが溢れた





「……優崎君……カッコイイから……私みたいな美人じゃなくて…特別可愛いくなくて……好きな人がいるって聞いた時…自分の気持ち押し殺してて…」



「……あの頃の君に気付く迄は…俺も全然タイプ違ってたけど……君に気付いて俺はずーっと君の事見てきたよ。だからもう泣かないで良いから俺だけの君でいて……」





彼女の涙は


俺の想いを


いつも


あの日に戻してくれる


俺は彼女にキスをした





「涙が止まるおまじないしてあげる…きっと涙がは止まるよ」




俺は、あの日の記憶を戻すように彼女に言った。




彼女は俺の胸に顔を埋めた。


俺は彼女を抱きしめ


もう一度キスをした……


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KISSから始まる恋 ― LOVE ― ハル @haru4649

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