第12話:生活魔法とお散歩


普段は寝付きが悪いんだが、きのうはすぐ眠れた。 疲れてたのか? 

身支度を整えてると、チルが部屋に飛び込んで来たんで一緒に食堂へ。


「 さて、今日は何しようか 」


「 マスターは、何処か行きたい所在りますか? 」


「 魔法屋で魔法を覚えよう。 その後は、王都の有名な所を見学でもするか 」


「 では、自転車でお散歩です! 」



あの欠陥自転車か。


「 あれは止めておこう。 コーナーで転びそうになる 」


「 そうでした 」


尻尾が駄々下がりだ。



「 魔法屋のばあさんのとこで、魔法を覚えられるといいんだが 」


「 おばあさんのとこですね? 」


「 そうそう。 昨日のあれでレベルが上がったから、生活魔法を覚えられそうだし 」


「 機械の次は魔法・・・・・・夢の様です! 」


俺も早く魔法を使ってみたい。


「 行きましょう、直ぐ行きましょう。 魔法です魔法! 」



名前:グレイ           名前:チル 

レベル: 16          レベル:20 

生命P: 49(+24)     生命P: 61(+ 13)

魔力P: 28(+ 3)     魔力P: 18(+ 13)

機力P:278(+ 3)     機力P:143(+138)

知力 : 70(+ 5)     知力 : 42(+ 33)

筋力 : 49(+24)     筋力 : 71(+ 23)

素早さ: 49(+24)     素早さ: 71(+ 23)

器用さ:285(+10)     器用さ:157(+138)

幸運 :150(+50)     幸運 :150(+ 50)

スキル:狙撃3          スキル:追跡3


ワイバーン(仮)を討伐して、2人とも一気にレベルが上がった。

50%のエージェントボーナスが在るんで、ステータスは凄い---らしい。

実感は無い。


んで、やっぱりあったスキル。



「 マスター! 行きますよ! 直ぐです! 直ぐ! 」


チルは、催促を始めると止まらない。 舐める、走り回る、寝てると飛び乗ってくる。


「 せめて、飯はユックリ食わせてくれ 」


チルの早食いはこちらでも有効の様だが、俺には真似出来そうもない。



_________________________




神殿の車寄せから馬車に乗る---前に、下回りを確認。 色々付いてる。

緩衝材は板バネ、ダンパーは単純な摩擦式。 情報通り機車だな。


ばあさんの店に着くまで、御者さんと話して情報収集。

御者の給料は、扱える馬車の装備によってかなり違うらしい。

荷物しか乗せられない場合は低く、装備が増える毎に高くなるんだと。


家の格が高い貴族は、どれだけ腕利きの御者を雇えるかを競うと。

金なら成金でも用意出来るけど、御者は難しいって事だ。

こちらの世界では御者は貴重な存在なので、戦闘には絶対に参加しないんだと。



「 今日も来たのかい 」


「 昨日は、銃を貸してくれて助かった。 お陰でワイバーン(仮)を落とせたよ 」


「 こっちも、お肉を貰ったからねぇ。 おあいこ・・・さね。 それで、今日は何の用だい? 」


「 レベルが上がったからな。 生活魔法を覚えようかと思ってね 」


「 ああ。 良いアイディアだね、あれば生活が楽になるからねぇ 」



「 だろ 」


「 で、何処まで覚えるつもりなんだい? 」


「 覚えられるだけ、だな。 まず何が在るのか聞きたい 」



ファイヤ :指先から火が出る ( 火を付けるのにピッタリだ )

ウォーター:指先から水が出る ( 飲めるね )

ライト  :指先に光りの球が現れる ( 足元を照らすには充分なのか? )

ウィンド :指先から風がでる ( 団扇の替わりだな )

クリーン :汚れが消える ( 消す範囲に注意! )


全種類1つに付き金貨1枚、1万円くらいか?


クリーンの魔法が在るのに、冒険者達は使わないらしい。

魔物の前で魔力切れになったら命が危ないんで、後回しにするんだと。

常に魔物に備えてるのは立派だが、あの臭いは人間辞めてると思う。



「 ばあさん。 もうじきお金は入るから、ツケ払いにして欲しいんだが 」


「 ああ、ええよ。 金が入るのは判っとるでな 」


「 助かる 」


「 全部で金貨10枚だね。 キッチリ取り立てやるから、安心おし 」



2人だけで、魔法のレクチャーを受ける。

初めて指から炎が出た時は感動した。


「 あんたら、同じ顔して驚くんだねぇ 」


気にするな。

飼い主とイヌは似るって言うし、マスターとエージェントも似るんだろ。


「 おばあさん。 これを、大きくする事って出来ますか? 」


チルは、拳銃を大きくしたいのか。


「 簡単さね。 工房に頼めばだけどね。 でも止めときな、使えっこないからねぇ 」


「 どうしてですか? 3倍位重くなっても持てますよ? 」



「 持てるだろうがね、撃てやしないよ 」


「「 ??? 」」 はて、どう言うことだろう。


昔にいたマスターが、試した事があるんだそうだ。

重さで必要な機力が違うなら、木製の拳銃なら撃てるだろうって木製拳銃を作ったんだと。

木製拳銃ね、けっこう無茶な事する。


「 一応、撃てる拳銃は出来たんだけどね。 木だと普通の弾だと爆発しちゃってね。 魔石パウダーを減らしたらしいんだがねぇ 」



完成品は弓より威力が低かったらしい。

実用性が無いと言う事で、量産はしなかったんだと。



_________________________



ばあさんの店を出たら、待っててくれた神殿の馬車で移動。

神殿に多大な寄付をしたから、1日中貸切で構わないって言われてる。

凄いぞ肉パワー。


今日は観光名所(王都だからな)を中心に見て回る事にした、エリアは御者さんにお任せ。

お金が無くて買い物は出来ないから、見るだけ。


チルはDランク冒険者だったんで、蓄えはほぼ無し。

すみませんってションボリしてたんで、頭をくしゃくしゃしておいた。

無理はダメ、絶対。


食事は、神殿発行の魔法の木札が在るんで食べ放題だ。 お金が無くても何とかなる。

御者さんの分もテイクアウトして、3人で美味しく頂く。



御者さんは神殿専属で、名前はシャギイ。


「 秋になると収穫祭が在りましてね。 祭りのイベントの機車レースは見ものですよ 」


「 機車レースですか。 それで広い道が在るんだな 」


「 ええ。 王城前を出発して、王都を1周して王城に戻るコースで競います。 メインの4頭立てレースは迫力満点です 」



ほほ~。 面白そうじゃないですか。

機車ならマスター有利だから、出れば 『 マスターは、出場出来ませんよ? 』


「 なんで?! 」


「 かつて、ダナン王国で最高と言われた御者が居たんです。 彼の機力は92だったそうです。 グレイ様の機力は? 『 ・・・・・・278だね 』 ですよね 」


「 3倍か 」


「 勝負になりませんよ。 マスターは、みなさん機力が高いですからね。 出場禁止になってます 」


なんてこった、祭りに参加すら出来ないとは。


「 でも、マスターは国王様から招待されますから、特等席でご覧になれますよ 」


「 見るだけじゃな~。 それに国王が招待でしょ、面倒だから堅苦しいのはパスで 」


何故笑うんだ、シャギイ。




機車の面白い話を聞けた。

機車で大儲けしようとして、馬車を2倍の大きさにした男の話。


馬車を2倍の大きさにしたら、運べる荷物も2倍になるって欲張った。

んでも、必要な機力も増えて使えなかった。

使えない馬車の費用で破産するって言う落ち。


「 まぁ、大きくすると、その分機力が必要になりますからね 」


こちらの世界では大は小を兼ねない、必要最低限の大きさが求められる。

荷馬車の空間のご利用は計画的にって事だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る