第6話:銃?


魔法屋のばあちゃんが出してきた箱には、拳銃が入ってた。


「 やっぱり判るんだね 」


「 そりゃ知ってるよ、あちらの武器だからな。 で、何でこんな物がこっちに在るんだ? 」


「 何でって、こっちで造ったのさ 」


造った---拳銃を良く見ると、製造メーカーのロゴが無い。

それほど、詳しく無いんで微妙な判断なんだが。 こちら製になる? のか?


「 使ってみたくないかい? 」


「 ・・・・・・良いのか? 」


銃は男のロマンだ、知らんけど。

撃てるなら撃つでしょ。


「 じゃあ着いてきな 」


ばあちゃんがカウンターから出てきて、歩いてく。

後に続いて出入り口じゃないドアを抜けると、ちょっとした空き地になってた。



「 ここは、新しく身に着けた魔法を試し打ちする所さ。 いわゆる、アフターサービスって奴さね 」


ケッケッケと、笑うばあちゃんが不気味。

んで、魔法の試し打ちのサービスって。 もう、何でもアリだなこの世界。


「 あそこに的が在るだろ。 あれに向かって撃ってみな 」


「 あいよ 」


箱の中には、リボルバー式拳銃が1丁と弾丸30発。 拳銃を持った瞬間に、拳銃に広がる光の波紋。 特殊な拳銃なんだろうか、ひょっとして魔法銃?

一応、拳銃をチェックする、暴発はノーサンキューだ。


「 銃口を下に向けて、と 」


シリンダは、左側へスイングアウトするタイプ。 抵抗無くスムースに回る。

弾を込める前に銃口を覗いておく、こっちの世界で銃の管理がしっかり出来ているとは思えない。

本当はダメらしいが、何か詰まってたら最悪だ・・・・・・OK。 ライフリングもしてあるんだ。


「 マスター大丈夫ですか? 」


「 大丈夫だよチル。 使う前の点検は、シッカリやっておかないとダメだからな 」


これなら大丈夫そうだ、って言うかこれ位しか知らない。

6発の弾を込めてシリンダを戻す、的までは50m位か。


「 撃つよ。 ちょっと音がするからな 」


シッカリ狙って、引き金を引・・・・・・けないんだが。 トリガーが重いんだが。

ハンマーもピクリとも動かない。


「 シングルアクションかい! 」


「 おや? 撃てないのかい? 」



馬鹿にした様なばあちゃんの言い方に、ちょっとイラッとする。

黙ってハンマーを起こして、ささっと撃つとしよう。

はて何だろう、当たる気がする。


パン


一応、的に当たったな。 ちょっと右に寄ったけど。

焦ってトリガーを引過ぎたかな、平常心平常心。

ハンマーを起こして2発目、今度はセンターサークルに入った。

手になじむこの感じ、ステータスも関係してるのか狙ったとこに当たる。


残り4発を撃って、排莢。


「 熱くない? ばあさん、空薬莢が熱くないんだが、火薬使ってるんじゃ--- 」


ばあさんが、別の世界に逝っとるな。 ちょっと、音が大きかったか。



「 おい、ばあさん。 大丈夫か? 」


「 ・・・・・・あぁ、だいじょぶさね。 本当に撃てるとはね 」


「 撃てって言ったよな? 」


「 問題は無いよ。 そいつは火薬じゃ無くて魔宝石を加工した物を使っとるでな、熱くないのさ 」


魔宝石って便利だな。 




「 マスター。 私にも撃てるでしょうか? 」


「 撃てるんじゃないかな。 おいで、使い方を教えるよ 」


チルに打ち方を教える。

教えると言っても、大したことは教えられない。 俺は銃マニアじゃない。



「 こうですか? 」


「 こう持って、そうそう。 腕は伸ばそうか 」



チルも全弾的に的に当ててきた。 やるなチル。

俺の方が全弾センターに近いけどな!


「 マスター、撃てました! 」  目がキラキラしてる。


「 よしよし。 チルはやれば出来る子だ 」


「 ・・・・・・ 」


またまた、ばあさんが別世界に逝っとる。


「 おい。 大丈夫かばあさん 」


「 ・・・・・・ 」


しばらく放置だ。



残りの弾で練習しておくとしよう。

残りの弾を9発づつ、2人で18発撃ち終わった時点で、ステータスを確認。

驚いたことに機力が減ってた。 聞いてはいたけど、ホントに機力を使うんだな。


名前:グレイ          名前:チル

レベル: 1          レベル:16

生命P: 30(+20)    生命P: 45(+ 5)

魔力P: 11(+ 1)    魔力P:  6(+ 5)

機力P:199(+ 1)    機力P: 98(+100)

知力 : 23(+ 3)    知力 : 15(+10)

筋力 : 30(+20)    筋力 : 45(+ 5)

素早さ: 30(+20)    素早さ: 45(+ 5)

器用さ:205(+ 5)    器用さ:110(+100)

幸運 :150(+50)    幸運 :150(+50)



ざっくり、6発で1MacPマシンポイントなのか。

時間で復活するのも判ったんで、ラッキー。


_________________________



「 無茶苦茶だね。 あんたらは 」


帰ってきたばあちゃんの第一声は、失礼な一言だった。

複数形なんで、チルも入ってるんだろうけど。


「 いや。 銃くらいは撃てるだろ、って言うか、使えない物は造らないだろ 」


「 その銃は撃てたのは、あんた達が初めてだよ 」


「 どう言う事だ? 」



どうやら、昔来たマスターが銃を伝えたらしい。

それ以来、職人が改良を重ねて来たのだが使える者は極々僅か。

ばあさんは、銃を撃てる者を見のは初めてだと言う。 

ちなみに、拳銃はばあさんが作ったんじゃ無いんだと。


「 へ~ 」


「 あんたより、[ 機力 ] も [ 器用さ ] も高い奴はおった。 おったが、使えんかった 」


「 [ 機力 ] と [ 器用さ ]、だけじゃないと? 」


「 そういう事だね。 何でかは、判らんのだけどねぇ 」


「 ほ~ 」 よく判らん。



その後、撃ってみたいと駄々をこねるばあさんに、使い方を教えるも撃てず。

色々やってみたが、ばあさんが銃に触っていると、どこも動かなかった・・・・・・・・・


「 悔しいねぇ 」


「 ま、こればっかりは仕方が無いな 」


「 そう言うことさね。 ついでと言っちゃあ悪いが、持って来るから物があるから手伝っておくれ 」


チルが連れてかれた。

悪いばあさんじゃないみたいだし、大丈夫だろ。

その間に的を確認しておく。 全弾センターサークル命中は、凄いんじゃないかと自画自賛。 


弾は的を貫通して、後ろの土壁に穴を開けてた。 チルに借りたナイフで弾頭を掘り出してみる。

見事に変形してるから、弾頭はそれなりに柔らかい金属を使ってるようだ。

材質は知らんけど。


「 おいで! 」


全部掘り出す前に、ばあさんが戻ってきた。 暇だったから何となく掘ってただけだ。

チルは細長い箱を抱えてるから、これはあれだな。


「 開けてみな 」


予想通りの小銃が出て来た、でも随分古い型なんだが。


「 ボルトアクションの小銃か。 随分とまぁ、古い型だな 」




「 知ってるのかい? 」


「 このタイプじゃ無いけどな。 拳銃とライフルは、撃ったことが在る 」


「 おや? あちらの世界は、平和だと聞いてるんだがね 」


「 平和だよ。 少なくとも、俺は戦争に行ったことが無いし、戦った事もない 」



「 じゃあ、撃ったってのは何なんだい? 」


「 レジャーだよ、お遊びかな? 子供が棒きれで遊ぶみたいなもんだ 」


「 銃で遊ぶって・・・・・・、ホントに平和な国なのかい? 」


実際には、海外旅行のオプションツアーで撃ったんで、国内撃ったんじゃ無いんだが。

説明が面倒だ。


「 これも、撃っていいのか? 」


「 撃てるんならね 」


「 その挑戦受けた 」 撃って見せましょう。


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