国語辞典(副題:語彙力)

※創作のネタではありません



 なんの変哲もない国語辞典ですが、適当に開いて読んでみると、知らなかった単語がざくざく出てきます。


 難しい日本語、普段使わない単語をふんだんに用いている小説は、敬遠されるかもしれませんが、私は好きです。


 小説によって、辞書を全く引かずに読める作品と、難読ではないけれど意味がわからない言葉(かてて加えて、さんざっぱら、口を極める)がたくさん登場する作品、ルビがないとそもそも読めない単語が散りばめられている作品などなど様々あり、それは作品全体に一貫していて、ぶれることはまずないようなイメージです。

 これは、語彙で、作品の印象が変わるので、あらかじめ単語のレベルを設定している、という感じでしょうか。



 私のような素人の場合、難しい単語を用いると、衒学的で、いやみたらしい気もします。

 例えば、詩美しびという言葉を、テキトーに開いた辞典の中に見つけました、なう。

 意味は、詩らしいうつくしさ。詩のうつくしさ。だそうです。

 だったら、詩美という言葉を使わず、詩のうつくしさ、と書けばいい気もします。


 ですが、文字数を削れるというメリットもあります。

 短編は、厳密な文字数制限のあるコンテストが多いので、例に挙げた詩美により、最低でも、5文字削れます。

(私は文字数制限と戦ったことはあまりありません、と小声でいわせていただきます)


 また、慨嘆がいたんという言葉の意味は、うれいなげくこと、なげきいきどおること、なので、一語で二度おいしい感じになっていて、お得です。



 もうひとつのメリットは、単語から連想するイメージについてです。

 座を外す、という言葉があります。太宰治の花火という作品で登場しますが、意味は、席を外す、です。

 席を外すでいいではないかと思いますが、座を外すという言葉を使ったほうが、登場人物が畳とか座布団に座っている様子が描けると、思うのです。少なくとも椅子には座っていません。


 こういう例をみると、座を外す=席を外すではないように思え、それは、単語のイメージの違いにあるのではないかと思います。



 ここで紹介したメリットは確かにあると思いますが、やはり万人受けを考えると、平易な文章が好まれるのかな、といったところです。


(創作のネタというか、テクニックの話になった気がします)

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