始まり

 メリィさんーーーいや、メリィちゃんと初めて出会ってから、フレンド登録しなんやかんやあってコンビとして動いて一年半の月日が立っていた。


 そんな俺たちは、今超絶難易度であるとあるダンジョンの攻略に来ており、無謀にも、俺たち二人で挑もうとしている。


 運営が発表した適正レベルは70以上の4人パーティー、しかも武器種のバランスが良くないとクリア出来ないという、棒人ゲー初めての鬼畜ダンジョンである。


 確か、当時のレベルキャップは75だっけ?ほんと、よく挑戦しようと思ったよ俺ら……。


 とまぁ話を戻すが、俺たちはどんなに時間はかかっても、無理せずにちまちまとやって履いたんだが、流石にボスまで行くと、連携が遅れたり、チャットだけだったら間に合わないしで、10回以上も連続で失敗しちゃったんだよなぁ。


 既にこの頃から数字に意味を持たせて連携をするというプレイスタイルを確立させていたため、連携ならどのコンビよりも上だったが……まぁ流石にボスには勝てなかった。


 そして俺はーーー何を血迷ったか、メリィちゃんにこうチャットしたのだ。


 みぃ『あの、ボイチャで攻略しませんか?』


 ボイチャ。正式名称、ボイスチャット。まぁ簡単に言えば通話なのだが、俺は顔さえ見たことない相棒と電話をしながらここのダンジョンを攻略しようと言ったのだ。


 そして、メリィちゃんからの回答はーーーー


 メリィ『……うん、いいよ。私もそろそろ攻略したいから』


 長い時間だったが、メリィちゃんはOKを出してくれたのだ。


 ヘッドホンから、通話がONになったことを知らせる、ブツっ!という音が聞こえ、そしてーーーー


「……えと、初めましてみぃくん……メリィです」


 俺は、この可憐な声に一声惚れをしてしまったのだ。


 ボイチャのおかげで、前代未聞の史上初4人鬼畜ダンジョンを二人でクリア。これは直ぐにプレイヤー達に広がり、運営の公式ホームページにて挙げられた『MVS(モストヴァリアブルスティックヒューマン』にて紹介され俺とメリィちゃんに『双棒』という二つ名が出来上がったのだった。

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