第16話 怪人バーニン

笑い声が聞こえる方へ進んでいると煙が晴れて、目の前に火だるま男バーニンは片手でハルカの首を掴み持ち上げていた。


「恐れずにくるとは、気に入ったぜ!クソガキ」


バーニンはどこか嬉しそうな声を出して燃え盛る炎のかなに立っていた。


ハルカの足元は

崩れ落ちた屋内階段の部分は地上階まで筒抜けになっていてここが高層階であることをキリュウは自覚した。


「俺が手を離したら、このガキは落ちて死ぬ。そうじゃなくても、焼けて死ぬ。

さーどうする?」


キリュウはそのバーニンの言葉を聞いて、落ち着いてこう聞いた。


「何が望みなんだ?」


「望み?望みは...そうだな、幸せそうな奴らを燃やし尽くすことだ。


お前が誰かは知らないが、お前の苦痛な表情は見てみたいな〜

こいつが死ねばこいつの親兄弟も悲しむだろうな」


キリュウはそれを聞いて、この前目の前にいる怪人とは話が通じ合わないことが判断できたーー


バーニンの話を聞いているとかなり腹立たしいという感情が込み上げてはいたが。

ここでキレて考えないしに行動を起こすのはまずいと感じキリュウはぎゅっと拳にを握りしめて我慢をした。


でもどうするか、

キリュウは思考を巡らせた。


ふと、この世界に来てから何度かあった周りが急に静寂に包まれて動きが遅くなるあれが発生しないかと考えたが....


発生させる条件や方法がわからないことに気がついてその方法は取れないのは確かだった。


バーニンとの距離はそう遠くない、一瞬で距離を詰めてタックルできる距離ではあった。


話は通じないにしても、ハルカを助けるには少しまだバーニンと言葉を交わす必要があるようにキリュウは感じられら。


「悲しい顔を見たいだなんて、お前もクソだな」


何を言うかを一瞬迷ったが、キリュウが口を開くとそう言う言葉が飛び出してしまった。


言ったからには引けない状態になった。


「お前、恥ずかしくないのか?そんな女の子を人質にして...ダセぇーな」


キリュウはそう言って呆れた表情をバーニンに見せた。

内心ではどこか燃え盛る炎と迫り来る恐怖にハルカが危険だと言う緊張感が押し寄せてはいたが....


キリュウはそれを抑え込むように拳を強く握った。


バーニンは舌打ちをして、ハルカをキリュウの近くに投げてこう言った。


「舐めた口聞きやがって、クソガキ....」


ハルカは慌てて立ち上がりキリュウの背中に隠れた。


「大丈夫、俺に任せていいから、逃げて。

そろそろ消防隊が来るはずだからバルコニーに行って」


キリュウは背中に隠れているハルカを見てそう言った彼女はどこか安心したような顔をして頷いた。


「うん」


ハルカはそういうなり、静かにバルコニーに向かって行った。


バーニンはキリュウの態度にかなり腹が立っているようで、何か怒りに満ちたような表情をマスク越しから感じられた。


「あーもう、燃えろ燃えろ!!!全部燃えちまえ!!」


バーニンはそう怒鳴った。すると彼の身体中は火に包まれて、熱風を吹き荒らした。


熱さでもの落ちしそうな気になったが、キリュウは咄嗟にアンから受け取った消火手榴弾をバーニンに投げつけた。


パーニンはそれを手で払い除けようしたが、目の前で炸裂して青い煙が包み込んだ。


その煙のあたりは火が消え、煙に包まれたバーニンの悲鳴と嗚咽が聞こえて来た。

すかさずキリュウは走り出した....


さっきハルカに怖い思いをさせたことにきっと腹が立っていたのだろ、そしてどこか悪人を懲らしめてやろうという意図があったのだと感じる。


右肩を沈めて助走をつけてボールを投げてるようの拳をバーニンの顎目掛けて投げ込んだ。


するとバーニンは後ろによろめき膝をついた。


思いっきり殴りつけただけあってクリーンヒットしたようには感じたが、その次をキリュウは考えていなかったのだった...


「クソガキがよ。調子乗ろやがって、燃やしてやる....何も残さないでやる...」


バーニンはそう呟くように言って、マスクの下に見える鋭い目でキリュウを睨みつけた。


睨みつけられて分かったが、こんなに殺気だって睨まれたことなんてなく一瞬凍りついてしまい。


自分がとった判断が間違っていたことに気がついて後悔を感じると共に...


殺されるというのが感情として湧き上がり、恐怖が支配したように感じられたーーー


バーニンの身体はまた炎に包まれた。

しかもその火力はさっきよりも増してだった。


ゆっくりとバーニンはこちらに歩み寄ってきた。キリュウは後退りすらできずただ固まっていることしかできなかった。


『何か、何か、行動を起こさないと...殺される...』


キリュウは目を動かして少しだけ冷静になれたことを感じることができた。

周りの状況をもう一度判断することにした。


燃え盛る炎に囲まれて、逃げ道は来た部屋に戻ること...

下に降りる階段は抜け落ちてて使うことができない。

目の前には怒りで文字通り火に油を注いだかのように燃え上がるバーニン。


歯を食いしばった時、

急に世界の音が消えて周りの動きがかなり遅くなったことをに気がついた。


あのミレーヌを助けた時と同じ状況が目の前で起こっていた。

バーニンがこちらにゆっくりと手のひらを向けてきてその手に身体中の火が段々と集まって来ていることに気がついた。


どことなくの推測だったが、きっと手に集中させた炎でキリュウを焼き殺そうという魂胆だったのだろう。


バーニンの身体中の火が手に集まったのを見て、キリュウは走り出した。


火柱が段々と自分に向かって段々と進んできているのが見て取れた、その速度は歩くほどの速さで自分それを簡単の避けてバーニンに近づいていった。


歩く人を避けるには簡単だった、無謀になったバーニンの顔面にもう一度渾身の振りかぶり気味の右ストレートを叩き込んだ。


顔にめり込んだ感覚があった瞬間、また周りの音が聞こえ始めてバーニンが吹き飛ばされて壁に叩きつけられたのをキリュウは見た。


明らかにさっき殴ったのとは違った威力があったようでバーニンがぶつかった壁にはヒビが入っていた。

バーニンは驚いた顔をして鼻血を出しながらこう言った。


「お前、能力持ちか?....

出直しだ、燃やすのはお預けだクソガキ!!」


バーニンはそういうと廊下の奥にある窓へ走って行って窓をぶち破り飛び降りて行った...

キリュウは追いかけようとしたが、天井が燃えた抜け落ちてきて目の前を炎が立ちはだかった。


「逃げないとまずいな...」


キリュウはそう呟き、元来た道に進むためまた姿勢を低くして煙が立ち込める部屋へと進んでいった。


進んでいくと

バルコニーには地面に伏せるハルカの姿見えたので急いで駆け寄った。


彼女の肩を叩いて意識を確認するが、彼女はぐったりしていて動く気配がなかった。

キリュウは息を呑み、よく彼女を見てみると幸いなことに肩と胸が動いていたので呼吸はしていることことに気がついた。


しかし、この場を離れることをすぐに決断した。


『急いでこの場を離脱しようと』


キリュウはそう感じ、あたりを見渡して何かロープの代わりになりそうなものを探した。


兄から教えてもらった、

子豚搬送という方法を取ろうと思ったからだった。


「キリュウ君!」


そうしたの階のバルコニーにいたアンが何かを投げてきてくれた。

それは長いロープの束でだった。


アンは手際良く縄梯子の束をバルコニーの外へ投げたのが目に入った。

地上までその縄梯子が伸びたのをみてキリュウはほっとした。


そして煙を吸わないように息を止めてハルカを背負いロープで背負い結びを作り彼女を固定した。

あまりいい感覚ではなかったが、ロープを縛る際に身体に痛そうに食い込む感覚を感じた。


「ごめんな我慢してくれ」


キリュウはそう呟くとバルコニーに出てか下のバルコニーに移ろうとした瞬間だった。


急に身体の力が抜けて意識が急に閉じていくように失っていき、目の前が真っ暗になって行った。

それと同時に落ちる感覚がって、驚いた顔をして叫ぶアンの顔が見えた後に全ての感覚がまるで電源がキレたかのように失った。


『このままじゃハルカが死んでしまう...』


キリュウの頭にそう浮かんだ後、世界が急に暗くなったにだった。

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