第10話 夢で見た青髪の少女
キリュウの部屋は214号で隣の215号にはミレーヌ、フィオ、アンの三人が入ることになっていた。
部屋は同じタイプのものらしく、お姉様達は三人でいるから三人部屋なのかなと思ったら部屋の中に入ってびっくり。
サイズでいえばダブルベット二つ用意されているだけでどう見ても二人部屋にしか感じられなかった。
「こりゃ、なんか悪いな...」
きっとこの部屋に三人だとミレーヌとアンが揉めそうな気がしたからだ....
その心配は的中で、隣の部屋からアンが騒いでる声が聞こえてきた。
だがどこか、それに答えるミレーヌとフィオが明るくそれをいなしているよう感じられた。
どことなく人間味を感じられてホッと感じつつも、ぶっ通しで夜明けから昼手前まで運転していたせいかどっと疲れを感じた。
「ちょっと、横になるか...」
疲労は身体を包み込んで、そのままベッドへと吸い込まれるように身体を自然と誘導させていった。
キリュウはそれに逆らう気もなかったのでベッドに飛び込みそのまま目を閉じたーーー
『キリュウ君はすごいです。なんでもできちゃうんですから』
そう前に夢に聞いた青い髪の少女の明るい声が聞こえてきた。
『だから、負けないでください』
次にそう聞こえてきた。
その声はどこか心の奥にゆっくりと注がれて落ち込んでいた心を暖かく包み込んでくれた。
きっと彼女がいれば、どんな辛い時だって乗り越えられる。そんな気持ちが溢れてきている事にも気がついていた。
実際にあったこともないのにそれはどこか変な気持ちではあったが、込み上げてくる感情は嘘ではないようだった。
ゆっくりと目を開けると、
目の前にその少女が暗い世界の中で青髪の少女は暗い顔をしてこちらを見つめていた。
『助けて...私はここにいる』
少女がそういうとキリュウの脳裏にある風景が浮かんできた。
この船の貨物室なのだろう、色々なコンテナがあるがその中から彼女が呼んでいるようにも感じられたーーー
そして、
キリュウは目を覚ました。
部屋に置いてある時計を見てディナーの約束をしていた事を思い出しベッドから起き上がった。
さっきに見ていた青髪の少女のことが、頭から離れていなかった。
夢にしてははっきりしし過ぎていたというのもある。
あの青髪の少女について、
ミレーヌかアンならもしかすると知っているかもしれない、タイミングを見て聞いて見ることにした。
コンコンとノックする音が聞こえてきて、フィオの声が扉の向こうから聞こえてきた。
「キリュウ君。行くよ!」
「はーい。今行きます!!」
キリュウはそこ答えて、服と髪を鏡があったからパッと軽く整えてた。
なんだかんだで身嗜みはきちんとしておきたいと感じたからだ。
ちょっと属性が濃ゆいメンバーだが、ちょっぴり異性である事を意識してしまう。
そんなことを思うと鏡に映る自分に笑みが浮かんでいた事に気がついた。
3人の年上のお姉様方に囲まれて、
少しながら緊張しつつナプキンをつけてコース料理とまではいかないがフォークとナイフで出されたハンバーグとマッシュポテトを食べてていた。
フィオは料理にはとてつもなく、興味はあるようでハンバーグに掛けられていたソースについてミレーヌとアンそして、キリュウに語っていた。
もう話について行けていない、アンは相槌すら打たず、ミレーヌは時折相槌を打っていた。
もはや、フィオが単独でマシンガントークを炸裂させていた。
言っている内容を要約すれば、
このソースはニンニクと胡椒と何かしらの知らないモノが入ってるとかでそれがきっと美味しさの秘密だと...
そしてこれを完全再現すればみんなが喜ぶと言っていたーーー
用意された飲み物は何かなと思ったら、
アンとキリュウはグレープジュースだったそうだが...
ミレーヌとフィオはワインだったようだ。
「フィオは、お水を飲んだ方がいいかもよ。顔が真っ赤っかよ」
ミレーヌはそう酔っ払って饒舌になている、フィオにそう言って水に入ったコップを手渡した。
フィオはそれを一気に飲み干してテーブルに突っ伏してこう言った。
「ごめんなさい。久々に子供とかアキラがいないからついはっちゃけたくなって...
ねぇ、ミレーヌ.....今日だけは甘えさせてぇ〜
ばっかだったからお酒なんて久々だし」
ミレーヌはそれを見てはーと大きくため息をついて席から立ち上がり、フィオのところに行って彼女を腕を引っ張って立ち上がらせてこう言った。
「はいはい。わかったわよ...
アンとキリュウくんはデザートも食べて来ていいわよ。
私は先にフィオを部屋の連れて帰るから」
ミレーヌはそう言ってフィオを連れて食堂を後にして行った。
それを見送った後、
アンと二人っきりになったので青髪の少女について聞いてみた。
「アンさんの同僚で青い髪のボブカットの...俺と同じ歳ぐらいの人っていますか?」
アンはそれを聞いて、首を傾げた。
そして何か考える素振りをしてこう言った。
「うーん。いないわよ。
やっぱり、未来予知ができる人?」
キリュウは周りを見渡して誰も特にミレーヌがいないことを確認してこう言った。
「いないんですね。だとすると未来予知なのかもと思います。
でもその青髪の娘のことだけしかそう言った感じのをみないです」
それを聞いたアンは余計に色々と思考を巡らせていたのだろうか、うーんとい言った後こう言った。
「ふむふむ。なんなんだろう?
私も分からない。
でも、それってちょっとロマンテックよね。
物語みたいね。
きっとその娘は運命の相手じゃないの?
分からないけどね」
アンはどこかからかうように軽く笑ってそう言って、運ばれてきたデザートを食べた。
「フィオの分はあなたにあげますよ」
アンはそう言って上機嫌そうにミレーヌの分の運ばれてきたプリンを自分のところに持っていき、フィオが頼んだ小さなチーズケーキをキリュウの前に置いた。
どうやら、
キリュウは頭の中で色々とアンの言ったことについて考えてみることした。
でも結論としては、
わからないというのが正確だ。
彼女がきているメイド服は新調したばかりで、その青い髪の少女はいないという話からすれば...
それは未来の話なのかなと感じられた。
予知夢というのがあるからもしかしたらそれなのかなとも感じつつデザートを食べ終えて部屋に戻る事にした。
フィオの饒舌に喋る声が聞こえて、それに相槌を打つミレーヌの声が扉の前に立つとほんの少し聞こえていた。
「では、キリュウさん。また明日」
アンはそう言ってお辞儀をして部屋の中に入って行った瞬間、何かすごく意地悪そうな顔をする。フィオが彼女の顔に目掛けて枕を投げたのを見るなり扉が閉まり、アンの怒鳴り声が聞こえた。
「フィオ...酒癖悪っ」
思わずキリュウは心の底から思ったことを口に出した。
その瞬間、どこからかあの少女の声が聞こえてきた。
その場所方角はわからなかったが、微かな声で聞こえてきたのだ。
ーー私はここに...F区画の貨物室ーー
その声はどこか脳の中に直接聞こえてくるようなものであった。
ふと、部屋の近くにあった船内マップを見て言われた少女の言われた場所を探し始めた。
無意識のうちに指でなぞってその場所から現在地に戻してルートを確認していた。
「F区画か...」
キリュウはそう言って、その場所に向かって歩き始めたーーー
なぜ、
そう動き始めてたか、キリュウ自身も少し疑問であったが歩くにつれてその少女から来る何か思念のようなものを感じ取ったから。
彼女は閉じ込められて助けを求める。
だんだんと歩いてた足が速くなって行き...
立入禁止と書かれた扉を開けてキリュウは貨物室へと向かった。
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