epilogue 菫色
牢獄行きとなったカンザとボイドは予想外の苦痛に悩まされていた。
片や心の声が聞こえ、片や疲れを封じてもらった体なのだ。
囚人の絶望的な声を四六時中聞かなければならないカンザ。レグルスのカギを没収され、疲れは感じないが有り余る時間に飽き飽きしているボイド。
だが、この仕打ちこそが二人への罰なのかもしれなかった。
*
アルタイル、シリウス両隊は魔物との戦いで荒れた戦場の片付けに勤しんでいた。
それに参加していたフリックは、戦場の中央で放置されていた武器をみつけた。
使い手を失い、地面に突き立ったままになっている斧。
それはこの争いを招いた元凶となる人物が振るっていた斧だった。
フリックは何気なくその斧を引き抜いた。
瞬間、自身の中に流れ込んできた「何か」に目を見張る。
不思議な斧だった。手にした途端、色が変わったように見えたのだ。
鮮やかな菫色に輝く美しい斧。
それからその「何か」を口に出してみた。
「……
言葉にするだけで手に馴染むようだった。
まるで返事を返したかのように斧が一度煌めいた。
フリックは満足して、自身の武器となった神器を手に仲間たちの元へ戻って行った。
《完》
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