気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

味噌村 幸太郎

第〇章 プロローグ

第1話 プロローグ


 俺とあいつが出会ったのは桜舞い散る頃だった……。


「おい、お前! さっきオレにガン飛ばしたろ?」

 あいつはいわゆるヤンキーで、初対面の俺にケンカを売ってきた。

 俺が勘違いじゃないか? と答えたが、あいつはそんな答えでは満足しない。


「じゃあ……じゃあ、なんでオレの方を見てた!」

 あいつは入学式だというのに、肩だしのロンT。中にはタンクトップが見える。そして、ショーパン。

 という……露出の激しい格好で来やがった。

 正直いって俺のどストライクゾーンだった。


「かわいいと思ったから」

「……」


 一言。そのたったひとことが俺の失敗でもあり、はじまりでもあった。

 

「オレは……オトコだぁぁぁぁぁ!」

「へ?」


 そうしてあいつは、俺めがけて奇麗なストレートパンチをお見舞いした。


「な、なにをする! 初対面の人間に向かって!」

「うるせぇ! お、お前がオレに……オレにか、かわいいとか言いやがるからだ!」

「かわいいと思ったことが何が悪い!」


 あいつが男だとは思えなかった。

 声も女のように甲高いし、見た目は100パーセント、女だ。


 俺だけがそう見えていたのかもしれない。

 こいつはまごうことなき、男子だったのだ。



 ~それから時は少し経ち~



「あ、あの……わたし……」



 目の前には妖精、天使、女神……どの言葉でも表現が足りないぐらいの美人が立っていた。


 胸元に大きなリボンをつけて、フリルのワンピースをまとった女の子。

 カチューシャにも同系色のリボンがついている。

 美しい金色の髪を肩から流すようにおろしていた。

 時折、風でフワッと揺れる。


「キャッ」とスカートの裾を手で必死に押さえる姿はとても女の子らしい仕草だ。




「わたしじゃ……ダメですか?」


 そう、あいつは女装すると男の娘に変身するヤンキーだったのだ。

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