エピローグ

それからほどなくして、アンドリューとユリアは結婚式を挙げた。

 結婚披露パーティではいたるところに飾られた青い薔薇が招待客の目を楽しませ、真っ青なウェディングケーキが招待客の度肝を抜いた。

 アンドリューとユリアは互いに隠し事のない円満な夫婦となり、二年後に玉のような長男を授かった。


 二枚の鏡はしばらくの間ふたりの新居に飾られていたが、ある日忽然と消えてしまった。使用人が盗んだとも考えられず、その行方はようとして知れない。

 ユリアはそれを残念に思ったものの、心のどこかで仕方がないとも考えていた。何故ならあの鏡はもはや自分達には必要のないものだったから。


 二枚の鏡はまたどこかのすれ違っているカップルの元にたどり着くまで、骨董屋や蚤の市を彷徨っているに違いない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

伯爵令嬢と魔法の鏡 雨野六月 @amenorokugatu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ