第2話



 冒険都市マルケブ。

 俺はここ半年程度をこの都市で冒険者として活動した。

 最難関Sランクのダンジョンを有する、未踏破エリア。

 といっても、俺が本気を出せば一日で攻略できてしまう。

 だからわざと手を抜いてやっていたのだが、それも今日までだ。


 地下3階。

 まだ雑魚冒険者どもがウロウロしている階層だ。ちなみに50階が最深部だ。

 俺とアリシアは薄暗いダンジョンにもぐっていく。


「ん、なんだ、嫌われ者のレイジじゃねぇか」

「どうした、パーティから追放でもされたんか? ケケ」


 今までお情けで許してやっていた無礼な冒険者どもとすれ違う。

 もう許す必要はない。


「アリシア」

「かしこまりました」


 黒魔法使いのアリシアがフードを外す。美しい銀髪と綺麗な顔がたいまつに照らされた。


「あ、アリシアか……へへ、前からヤッてやりたかったんだぜ」

「いまこそその時だぜ! 野郎ども、かかれぇっ!」


 暴徒と化したクズ冒険者どもが襲い掛かってくる。

 アリシアは微動だにせず、魔法を使った。


「無詠唱……煉獄の炎!」


 いや、唱えちゃってるし。

 ともかく、アリシアの両手から放たれた黒い炎の弾丸は冒険者どもを焼き尽くした。


「ぎゃああああああああ」

「いたいよおおおおおおおおおおお」

「たすけてええええええええええええ」


 断末魔が肉の爆ぜる音にまぎれて消えていく。

 あとには犬も食わない爛れた肉片だけが残された。


「なんて愚かで、醜い……やはり男性として見れるのはレイジ様、ただお一人」

「ふん。当然だ。このような輩、この世に生まれてきたことが間違っているのだ」


 雌犬の子らめ。死ぬがよいのだ。


「いくぞアリシア」

「はい」


 アリシアは時々現れる魔物を浄化の炎で消し飛ばしながら、俺のあとを続いた。


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