第47話

「ちょっと翔さん!どうしたんですか?」



「そうよ!いくらこのダンジョンの迷路が意味不明だからって自棄になっちゃだめよ!」



「別に自棄になんてなってないよ。

さっきカンナが言ってたことをすれば簡単に攻略できるって気付いてテンションが上がっただけだよ。」



そう言っても皆は何のことかよく分かっていなかったので丁寧に説明する。



「簡単に言うとね、ダンジョンの目標地点は最下層だから、床に攻撃をして地面毎ぶっ壊すんだ!できるかどうかは分からないけど、やってみる価値はあるでしょ?」



俺の説明を受けて納得はしたようだが、上手くいくかは半信半疑といった表情だな。



「な、なるほど。確かにそれが出来れば早く行けますが、壊せる見込みはあるんですか?」



リーシアが皆の考えを代表するかのように質問してきた。



もちろん考えがないわけではない。このダンジョンの地面の耐久力は分からないが、見たところ結界が張られていたり魔力を帯びているわけでもないから強い力があれば壊せそうだ。


しかも、俺には大量のスキルと魔剣のティルによるステータス上昇もある。


なんとかできるだろう。



「うん、多分出来るはず。とりあえず一撃入れてみて出来なければまた考えればいいよね。ティル!」



ティルに声をかけ抜刀、スキルの準備も行う。


パワーアップ系のスキルと、スピードアップ系、運、器用さ上昇も発動して~

あー、めんどくさいな、全部発動させよう!



ティルの恩恵に加えてスキルによるステータス上昇の効果で凄まじい万能感に満たされたが、同時にかなり早いスピードでMPが消費されていく。



「皆離れてて!最大出力で行く!

はぁーーーーーーーー!!!!!」



ティルを地面に振り下ろし地面に当たると同時に、地面どころかこの世界までも斬ってしまうのではないかという程の衝撃と爆発が起こった。



行けーーーーー!!!!







凄まじい轟音と強烈な光が収まり地面を見ると、底が確認できない程の大穴が空いていた。



自分でやっといてなんだけど、すげぇなこれ!


こんなこと出来るなんてほんとに化物だな(笑)。



「……ほんとに出来てしまいましたね。主様は規格外だと思っていましたが…ここまでデタラメだったんですね……」



「そうですね、でも私はこれに準ずる力が私にもあるという事実が怖いです」 



皆考えることを放棄していた。


もっと、すごい!とか、さすがです!とか言われると思って期待していたのに拍子抜けだった。



ちなみに、俺はやったのはティルに魔力を限界まで流し込み、全力で斬撃しただけだ。

これで上手く出来なければより複雑な攻撃をする予定だったが問題なかったな。



「ほら皆!せっかく上手くいったんだし、すぐいこうよ!」



天使様に久しぶりに会えるということしか頭になかった俺は皆の返事を聞かずに大穴に身を投げた。



体感1分程で底に辿りついた。


ここが本当に最下層か分からないが最下層ならボスがいるはず……


そう思い警戒をしていたが聞こえてきたのは気の抜けるようなおっとりした声だった。



「久しぶりーーー!!!元気だった?私は元気だよ!」



久しぶりの天使様は前よりもテンションが高かった。



「なんかテンション高いですねー、良いことでもあったんですか?」



「え?べ、別に何にもないよ!そ、それより!ダンジョン攻略おめでとう!!これで3つめのダンジョンクリアだね!」



前半の動揺も気になったがそれよりクリアしたということの方に驚いた。



「ん?クリアってまだ僕ダンジョンのボス倒してないと思うんですけど……」



「なに言ってるんだい?さっきの一撃に巻き込まれて死んだじゃないか!って死体すら残ってないから分からないか(笑)」



俺の当然の疑問が天使様の答えであっさり解消された。



それを聞いた直後くらいに、皆もここまで落ちてきた。


皆もボス戦があると思って周囲を警戒していたので、ボスは倒したことを伝えると拍子抜けしていた。



それはそうと、俺は天使様に前言われていたことが本当か確認しようと思い質問を行った。



「天使様!あと2つのダンジョンクリアで異世界を行き来できるようになるんですよね?」



その問いに対する答えは俺の要求を越えるものだった。

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