第46話


カイムと分かれた後はギルドの報告へ向かった。



「もうお前のことでは俺は驚かんからな!」



なぜかどや顔で言われたが、犯人は魔人知り合いだったということを伝えると腰を抜かすほど驚いていた。



もはや様式美だな。



「そんなことより、約束通り調査をしてきたんですからこの国のダンジョンを教えて下さいよ~」



「お、おう。そうだったな。ん、ん!

ダンジョンがあるのはこの場所の下だ!」



そう言い下を指差すロイさん。



……下?地下ってことか?



「地下迷宮か~、ジメジメしてそうでやだなぁ。

ていうか地下にあったのによく見つけられたね!どうやって見つけたの?」



「はっはー!凄いだろう!、とはいっても特に変わったことはしてないぜ。

普通に怪しげな場所、危険そうな場所を見つけたら教えてくれって冒険者や町の人に言っただけだ。」



なんてロイさんは言ってるけど、そのロイさんはの声かけじゃないと皆も動かなかっただろう。



こんなに人望があるなんて凄いよなぁ、俺が元いた世界では間違いなく人気者になってたんだろうな。



「ありがとう!ロイさん、早速で悪いんだけど行き方を教えてくれないかな?」



「いいけどよ、お前はいつもせっかちだよな~。もっとゆっくりしてけばいいのに……

じゃあ、説明するぞ!行き方は……」





…………



ロイさんに行き方を教えてもらってから10分後、俺達はある場所に来ていた。


地下にあってかつ誰も好んでは行きたがらない場所。


そう、下水道だ。



「うへぇ~~、翔さんくさいですー!堪えられないですよぉー。まだ入口には着かないんですか?」



「おい!俺が臭いみたいに言うなよ!うん、この壁の矢印を辿っていけば見つかるらしいんだけど。」



この矢印はロイさんが、ダンジョン入口を見つけた冒険者に頼んで書いてもらったダンジョンまでの道を指し示す矢印らしい。


何から何までロイさんには頭が上がらない。



「しかし、確かに臭い。鼻がもげそう。」



「はい、もう喋って気を紛らわさないとやってられませんね。

ところで、剣組の二人はさっきから何も話さないですけど大丈夫ですか?」



リーシアが、珍しく剣状態で俺とカンナに持たれているティルとフロッティに聞いていた。



「はい、私達は今剣なので臭いは感じません。だからへっちゃらですよ!

ねーティル!」



「くぅ~、くぅ~、え、何?ふぁ~ぁ」



こいつら~、自分等が剣だからって~!

しかもティルに至っては寝てやがったな!



「ズルいですよ二人とも~!私も剣になりたいです~。」



……なんかあんなストレートにカンナ駄々こねるカンナを見てるとイライラも治まって冷静になってしまうな。もう少し辛抱しよう。



矢印に従うこと更に5分が経過したところで目的の場所に着いた。


入口って感じではなく、パッと見壁に2,3人通れそうなヒビが入っているだけだが中を覗くと、この先に神殿の入口みたいなものが見えた。



「やったーダンジョンですー!」



カンナさんが我先にとダンジョンに走っていった。

あんなにダンジョンを嫌がっていたのに、成長したなぁ。



カンナの後を追って俺達も続く。

ダンジョンの入口に入り何気なく壁を見ると



「ボスは下だよ!早く倒して会いましょうね!伝えたいこともあるしね!」



と小さな字で書いてあった。絶対天使様だ。

最近あってなかったし早く会いに行かなきゃな。



そう思い急いで入ったはいいが、今までの中で一番厄介なダンジョンだった。



何が最悪かというと、このダンジョンはかなり複雑な迷路だったのだ。


迷路だと気付いた時はすぐ使えそうなマップ系のスキルを使おうとしたがどれも使えなかった。


試しに戦闘系スキルを問題なく使えたので、恐らく自力で迷路を攻略しろということなのだろう。仕方ないので歩いて攻略しようとしたが全然上手く行かない、というか自分達が進んでいるのか戻っているのかも分からなくなっていた。



俺こういう迷路苦手なんだよなぁ。昔からゲームとかでも攻略見ながらやってたし。

皆もこういうのは初めてみたいで困惑している。


うーん、何か良い方法ないかな~?



「うー、もうこうなったら全部ぶっ壊しましょうよー!翔さん!」



「マスター、いくらなんでもそれは無茶だと思いますよー。」



イライラモードのカンナをフロッティが必死になだめていた。



うーん、まぁカンナの気持ちも分からなくもないんだよなぁ。


にしても全部ぶっ壊すって、ハハハ、アバウト過ぎだろう(笑)


…………いや、ぶっ壊す、全然ありだな!!それ!



「カンナでかした!そうだ、全部ぶっ壊せば良いんだ!ハハハ!」



俺の発言と興奮のしように、他の皆はおろかカンナさえも引いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る