第35話

真ん中の道を選んで進むが5分ほど歩いても何も出てこない。


初めはトラップがないか、横や下からモンスターが出てこないかと気を張りながら進んでいたのだが、何も起こる気配がなかったため次第に気は緩んでいった。



さらに10分程歩くと一本道を抜けて少し広い場所に出た。



翔「よし、やっと抜けたのか。」



そう思ったのも束の間、また同じような分かれ道が出てきた。しかも三本。

今度は趣向を変えてカンナに選ばせることにする。



翔「カンナー、どの道に行きたい?」


言うと脊髄反射で


カンナ「後ろの道がいいです。」



と答えてきたので、無言で見つめてみた。



………………



カンナ「ごめんなさいです!ちゃんと答えなかったの謝りますからそんな目で責めないでください……

えっと、じゃあ右で」



カンナの指示通り右に行くと今度はすぐ広い部屋にたどり着いた。



翔「お、でかしたよ!カンナ!ここは多分当たりだ!」



カンナ「え?本当ですか!やったー!」


あ、良いこと思い付いた!


翔「あ、そうそう!さっきせっかく武器を買ったんだし、皆だけで戦ってみて!もちろん、カンナは眷属なしでね~。」





俺の言葉に即座に武器を構えるアノン、リーシア

そして訳も分からずキョロキョロするカンナ



カンナ「え!?どういうこと?なんで二人とも武器を構えてるの?

眷属なし?って今から戦うんですか?」



翔「うん、そうだよ!さっき言わなかったっけ?

ここは当たりのモンスターハウスだ!って」





カンナ「言ってないですよーーーー!!」



そうカンナが叫ぶがスルー安定である。



翔「ティルも人化して戦う?退屈でしょ?」



そう言うと今まで黙っていたティルが人化して伸びをしながら答える。



ティル「んーーー!そうね、結構寝てしまって動きたい気分だしやるわ!」



え?寝てたの?剣の状態でいる時静かな事が多いと思ってたけどまさか大半寝てるのか……



少し複雑な気持ちを抱いているとモンスターが続々とポップし始めた。



種類はバラバラだな、ハイオオークジェネラルを筆頭にウルフやゴブリン、スライム、スケルトンのユニーク個体がわんさかいる。

やっぱり雑魚一匹とっても一般冒険者用のダンジョンとは違うなー。

ま、俺は見てるだけだけど。



俺は潜伏を使用し、皆の戦いを観戦する。



リーシア「主様から貰ったこの武器に恥じない働きをします!

爆炎魔法!強雷魔法!氷結魔法!猛毒!」



宣言してすぐリーシアは聞いたことがないような魔法を連発した。



???なんだあれ!全部聞いたことないぞ?

ていうかあんなに魔法覚えてたっけ?そもそもスキルも3つくらいしか覚えてな…………あ!!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「名付けが確認されました。これにより、魂の結び付きが行われたため

リーシアには天使の加護が

宇佐田翔には大精霊の加護が付与されます」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




……そうだ、名付けの時に天使の加護がリーシアにもついてたんだった。天使の加護はスキルポイントの獲得も可能になるからそれでスキルを色々獲得していたのか!



このパーティーではカンナが一番強くなるかもと思ってたけど、また分からなくなってきた!

やっぱり自分の成長も面白いけど、仲間が強くなるのもまた別の面白さがあるよね!他にも色々見てみたいけど楽しみは取っておくことにしよう。



そう思いながらリーシアを見ていたのだが、ふと周りを見てみると既に7割近くが死んでいた。



オーマイオー!あの初撃でそんなに削ったのか。流石を通り越してちょっと引くな……

なんて思ってる場合じゃないや!このままじゃリーシアだけでほとんど終わってしまう!



翔「リーシア!上出来だね、むしろやり過ぎなくらいだ!

とりあえず後は二人に任せてこっちにおいでー。」



リーシアはニコニコしながらこちらへ来て



リーシア「主様に貰ったこの杖のお陰でこんなに敵を簡単に倒せました!流石主様ですー!」



そんなことを言ってきた。

いやいや、前のダンジョンでの戦闘でステータスが上がってスキル沢山獲得したからだと思います。

ホントに武器の必要性ないような気がする……



翔「いや、多分武器なくてもほとんど同じくらいの威力になってたと思うよ。 早くリーシアに見合う武器が見つかるといいね!」



リーシア「え!?私は主様に初めて貰ったこの武器を一生使うつもりなのでもう他の武器なんて必要ないですよ!」



そう嫌々と杖を抱えて首を振る姿は可愛かった。

よし!今度いい武器が見つかったらプレゼントしよう!そう心に誓った。




リーシアとの話をしている最中にも他の3人はモンスターを蹴散らしていた。



アノン「えい、やあ、とうー。まだまだ。」



失礼だけど、全然覇気が感じられない掛け声だった。

掛け声なしだと凄い迫力なんだけどな~、触れる敵が片っ端から吹っ飛んでいって。



カンナ「いやー!こないで!もう!あっちいって!

う~、眷属にやらせたいです…」



こっちもいやいや言いながら無駄なく瞬く間にモンスターを屠りさっていく。

いずれ完全支配スキルの効果で、ステータスが爆上がりした時のことを考えてカンナ自身も戦えるようにと思っていたが、既にかなり強い気がする。



ティル「ふん、口ほどにもないわね!このまま切り刻んで上げるわ!」


ノリノリである。


ちなみに、ティルが今使っている武器は自分の体の一部と魔力を掛け合わせて作ったらしい。本人曰く、並のUR武器なんかより性能は高いらしい。

並のURってなんだろう……



そんな風に分析をしていると、あっという間にモンスターを全滅させていた。リーシアが戻ってきてから2分くらいしかたっていなかった。



俺は自分のパーティーメンバーの強さと可愛さに改めて気付かされ、


天使様に感謝のお祈りを捧げた。






後書き

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