第12話 森の王者 ヒグマ

森の王者ヒグマ

北海道には、ヒグマが生息しています。昔から木彫りのお土産はヒグマでありました。

本州方面で家庭の居間に飾られているヒグマの木彫りを見て北海道旅行をしたことがわかります。

ヒグマは自然界の親分です。普段は人里には来ません。年に数回、報道などで「ヒグマ出没」と騒がれます。しかし、ヒグマは本来おとなしい動物です。人を襲うには、よほどの事がないと襲いません。生息地の中心は北海道東部で知床半島は、特に多くのヒグマが認められています。


普段は、オスとメスは別々に生活しています。繁殖期(家族を作る時)は、春にはペアリング(結婚)をして秋には一頭か二頭の子供を生みます。オスは子育てには参加しません。これは、シロクマでも同じ事が言えます。大人のヒグマは体長二メートルもあり体重も百キロをはるかに超えた大型の哺乳類(ほにゅうるい)動物です。

子育てはメスの母親の役割です。平均二頭の子供を育てます。ヒグマは雑食性(ざつしょくせい)で何でも食べます。夏から秋に掛けて山で山菜や木の芽を食べて過ごします。秋には近くの海岸から川で遡上するマスやサケを親子で捕って食べます。母親はこの時に餌の捕獲などたくさんの事を教えます。ママさん学校です。小熊は生活する手段である多くのことをママから学びます。ママは鹿やキツネなどは仲間として子供たちに教えます。一番危険なのは人間の「熊狩り猟師(くまがりのりょうし)」です。彼らはヒグマの胆嚢(たんのう)と皮を狙って山に入ってきます。


これらの物は高額で取引されています。子供たちに教えるのは、その猟師たちの匂いです。鉄砲を撃ちますからその火薬の匂いは、遠くはなれていてもわかります。

ママは、危険をおかしてその匂いを子供たちに学ばせます。冬眠明けがチャンスでもあり一番危険な時期でもあります。子供たちは、この匂いをかいで学びます。大人になっても火薬の匂いは「危険と」脳裏に記憶させているのです。危険を体験しての勉強です。


冬には山々にも雪が到来します。ママは山の中腹で夏に見つけておいた「ホコラ(大木の根元)」巣に子供たちと入り冬眠に入ります。冬眠の前には食事も工夫しています。動物性(サケ・マス)などの脂肪分の多いものを食べます。それから木の実や山菜を食べます。最後に松脂(まつやに)などで胃をふさぎます。こうすると食物の消化が遅くなり春までの期間、耐えられるのです。子供たちも同じ食事をします。一般的にはヒグマが一番危険なのは、母親と子どもが行動している時。次に危険期間は冬眠から覚めた時分なのです。この時にはヒグマは空腹で機嫌が悪いのです。

皆さんもおなかがすいたら元気がなくなりますね、その時と同じ状態にヒグマはなっているのです。ですから、専門家は「春のヒグマは充分に気をつけて下さい」と警告しています。ヒグマ親子は二年間一緒に生活します。その後、親子は新しい縄張りを作って子供らは離れていきます。


ヒグマの研究は、専門家の学者や研究者の場ではありません。動物写真家など動物の生態を記録している人たちも大勢います。彼らは、専門家以上のノウハウを持っている事が多くあります。

撮影のために良いポジション(撮影場所)を捜さなければなりません。そのために動物の日常の生活を実体験して現場に入ります。自然と動物の被写体を記録に残すには、執念(思いこんだらあきらめない心)と時間との戦いなのです。一歩自然界に入るとそこは、自分の行動すべてに責任がかかります。誰も助けてはくれません。空気と風そして風景が仲間なのです。ちょっとロマンチストですが、反面そこは、地獄でもあります。命をかけての撮影は当然なのです。


長期間の滞在となれば、現地「現場」で生活用品の調達が求められます。水は自然界の清潔な水源(自分で判断する)食料品の確保「動物を捕獲して食料」にする手段。すべて一人なり撮影仲間がやらなければなりません。電話はもとよりメールも使えません。しかし、そこは人間ですから非常時の対応は考えています。緊急事態「生死がかかる事案」での対応、数時間で到達可能な緊急隊の支援体制。すべて普段から計画しておかなければなりません。二番目に大切な事は機材の管理です。撮影された大切なフイルムの保管「湿度と温度管理」が求められます。


普段、動物写真を見ていて感動するショットもこの様な準備と体制で行われているのです。当然、ヒグマの撮影になると深い森や海岸地帯、崖(がけ)が背景として見落とせません。撮影者は危険をしようちで撮影地点に張りしくのです。ヒグマも広い自然界といっても庭みたいな場所に人間が現れると警戒します。自分にとって無害なのか、危険なのかの判断を求められます。撮影者もそれらを学んでいますので無害を彼らに訴えます。時間がかかる作業です。でも彼らに認められると色々な地点での撮影が可能になるのです。撮影者の願いも通じ事もあります。「親子で遊んで欲しい」と心で願いますとその様な親子のショットが写せるのです。以心伝心「いしん、でんしん(願いが一方的に通じる不思議な現象)」も彼らから提供されるのです。

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