第9話 丹頂鶴とナキウサギ

貴婦人タンチョウ鶴

天然記念物のタンチョウ鶴も人間がその習性を研究して餌付けに成功しました。絶滅危機にあった千九百八十年代にその数も数十羽程度でした。現在はその総数も千羽を越えています。そして、毎年二月には近くの小学生らが総数のカウントを行っています。給餌に成功はしましたが、餌を集めたり、与えたりするのは人間なのです。全国および世界からタンチョウ鶴を守る運動が現在も続いているのです。

代表的な生息地は北海道東部の釧路・根室管内で多く見られます。近年、ロシア・サハリン州の北方四島でも生息が認められています。

           

 化石の生物ナキウサギ

北海道の山岳部には、古代から生息している通称「ナキウサギ」がいます。

ウサギと言いますが、ネズミ科に属しています。体長は十センチ程です。このナキウサギも正確にその生息数が不明なのです。研究もされていますが、本格的には進められていません。冬眠はしません。住まいは火山地帯の岩場で穴倉生活です。同居している仲間としては、エゾシマリスがおります。この巣は溶岩で作られています。私たちが地底で見かける鍾乳洞と思えばよいです。ナキウサギはそれぞれ個室があります。台所・食卓がある居間・寝室・子供の部屋とかなり広い空間を使っています。トイレはそれぞれ巣の外でします。巣穴の仲間であるエゾシマリスは冬眠をします。同じ食性で植物の葉や新芽などがほとんどです。冬には北海道では雪が降ります。ナキウサギは雪に覆われた巣の近くでしか生活ができません。そのために秋口に食物を巣の近くに貯蔵して置きます。日向ぼっこで外に出ますが、外敵のタカやワシなどから身を守るために、警戒態勢を取ります。特に神経を使うのが、キタキツネです。彼らは物音も立てず接近して来ます。その時「キュー・キューン」と甲高い声で威嚇(いかく)します。そして、巣穴に逃げ込みます。とても可愛い野生動物です。生息地は、大雪山系の十勝岳および十勝然別地域で繁殖が見られます。

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