㉗『ますます舐められなくなる、でもちょっと語彙は必要な擬音・擬態語との付き合い方』

(ご挨拶)


▽こんにちは! ゼロから講座にお越しいただきありがとうございます!

 この講座は、『小説を始めたばかり』or『小説をこれから始めたい』という方へ向けてちょびっと役に立つノウハウを紹介しつつ、尾崎ゆうじと一緒にゼロから一緒に楽しく小説を書き上げましょうという企画です。


「けっこう参考になるじゃん」と思った方は、講座や尾崎ゆうじのフォローをお願いします。


(2020.10.25からテキストのみの講座になりました。過去のyoutube動画に関しては、追って少しずつ文字起こししていきます。ご不便おかけしています)


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(今日の講座)


 昨日の講座でお伝えしきれなかった『擬音』について、マジでいろんな書き方があるけど、根本的に考えるべきことは3つですよ、というお話をします。


(資料の本文の『==講座==』という部分が今日取り上げた引用箇所です)

 リンクhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054934956287



引用

『 アパートへ向かう道すがら、私は小学生の男の子みたいに、片手に提げたビニール袋を振り子のごとく回した。先ほどの自分の行為を思い出すと、胸の奥がきゅっとなるような気恥ずかしさが込み上げたからだ。何かで発散しないと、うわーって、叫び出しそうだった。』




 前回の講座㉖では、『台詞とモノローグ』についてお話しましたね。


 引用では、『きゅっと』という擬音を使っていますが、これもいろいろと書き方があって、悩もうと思えば悩むことができます。


 私の場合はほぼ自動的にすぐ決めましたが、その実いくつか潜在的な候補は当然あって、そのなかで表記のとおりにした、という感じです。


 以下に紹介します。具体的には概ね5つ(6つ)候補があがります。(前回とほぼ同じ展開で解説が進んでいるので、わりと楽ですね。)


1、そもそも『きゅっと』を使わない。

2、キュッと、と書く。

3、きゅぅっと、と書く。

4、きゅーっと、と書く。

5、きゅっと、と書く。(決定)

6、下記に例外パターン。



 まず1ですが、『きゅっと』という表現を使わずに書く方法。


=実践=

『 先ほどの自分の行為を思い出すと気恥ずかしさが込み上げ、落ち着かなくなったからだ。』


 

 イメージとしてはこんな感じ。前回と同じように、一般層を対象にした文体という感じで、多少なり落ち着きがあります。とはいえあまり適切に心情を表現できたかというと微妙に感じです。


 私は語彙がそんなに豊富でないので、言葉が浮かばない時にしばしば擬音・擬態語が多めになっていることを自覚しています。気をつけなければと思いつつ、そちらの方が読むときにスッキリと感覚的に入ってくる印象を受けるので、私はすきですね。


 今回の場合、想定する対象読者をイメージした時に、若い女の子を想定したので、私の好むイメージに近くしたいと思い、擬音表現はマストだなということで不採用です。


 2については、カタカナにしただけですね。お好みだと思いますが、この場合の『きゅっ』は心の中というか、体の中で起こっている現象を表現したものなので、もっと温かみのある方が適切かなと感じ、ひらがなにしました。


 逆に、外発的な音声に関しては、カタカナにする方が多いかもしれませんね。目立ちますし、鋭い感じがします。例えば床を擦るシューズの音とか。このあたりは人によって感覚が違うと思いますが、大衆に寄せた方が無難かなと思います。大衆感覚の参考としては、ドラゴンボールとか、スラムダンクとか、ワンピースとか、ドラえもんとか、漫画がもっとも参考になると思います。


 3と4は、要するに書き方の違いですね。もっと苦しい心理描写だったらそちらを利用すると思いますが、この場合はちょっと該当しないので、不採用ですね。


 例えば好きな男の子が彼女持ちで、それを遠めに眺めてきゅうっと胸が苦しくなるとか。まあ、説明するまでもないですよね。一応、無理やり候補に挙げました。


 6の例外パターンについては、今回の場合は参考になりませんが紹介しておきます。擬音だけを地の文から離す、という手法です。使っている方、いますよね。


 地の文

 ぬるり……。

 地の文    効果→ 強調。驚愕。前振り。


 地の文

 ぎゃあああっ!

 地の文    効果→ 強調。驚愕。前振り。


 地の文

 ギイ……。

 地の文    効果→ 強調。驚愕。前振り。


 地の文

 ドキドキ……。

 地の文    効果→ コメディ的な表現。前振り。心理描写の一種?


 特別にその音を強調させたいときに使ったり、何かが起こる前振りだとか、いきなり何かが起こった時に使ったりします。厳密な使い方は無いです。自由に使ってけっこうですが、登場する擬音をすべてこの形式で使用していると、99%の読者から嫌われると思っていいでしょう。


 あと、たまに上記の表現を使用する際に、擬音を「」で閉じる方がいらっしゃいますが、基本的には台詞と地の文を区別するために「」は存在するので、おすすめしません。ものすごく違和感があり、これまた95%くらいの読者から嫌われると思います。


 登場人物が実際におちゃらけて「ぎくっ!」と言ったり、「ギャアアアッ」みたいに叫んだりする場合はもちろん良いでしょう。それと混同してしまっている可能性があります。ご注意を。 


 

(擬音・擬態語について、その他)


 ハウツー本の『ミステリーの書き方』での北方健三さんが語る擬音に対する考え方も参考になります。基本的には擬音は使わず、使ったとしてもひらがな表記が多い、ということでした。北方さんは『小説で最も大事なのは描写』と語っており、そのため擬音に頼るのは表現の本質ではないという考え方です。


 一方で貴志祐介さんは『エンタテイメントの作り方』において、『適切に使えば一定の効果を得られる表現方法』としています。


 作者さんによっても許容範囲は異なりますが、基本的には使いすぎは作品のクオリティが低く見られるためNG、という感じですね。ただし直接的にイメージを伝えることができるので、これしかない、と思ったら、迷わず使っていいと思います。


 

 こんな感じで、今日の講座は以上です。


 いかがでしたでしょうか。リクエストも受け付けてますので「こんな時どうする?」とか「こんな話がききたい」という要望ありましたら、お知らせください。



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(今日の作業内容)


 ・5分で読書コンの短編、ちょっと進まず。時間見つけて進めます。


 進んだ内容は、↓のリンクを参照(日付とナンバーに注意)。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054934956287

 



 

 ◆いつも書いていた『今日の学び』については、3つの理由から別途noteに移行しました。ゼロから講座よりも、もうひとつ高い視点でいろいろ書き、反応を見ています。


 昨日は『クレクレ星人とギバー』について書きました。実際に読者から、あるいは作者仲間から評価を得るのはどちらか、その具体的な理由は、などについて、私の体験談も踏まえて書いています。

 

 一応リンクはこちら→◆https://note.com/ozaki_yuji


①noteだとカクヨムユーザー以外の目にも触れるし、サイトもスタイリッシュで美しいので、書いているとカクヨムにない気持ちよさがある。URLや画像が貼れる! 


②noteからカクヨムへのユーザー流入もあり得るかも? 気になるどー参加作者さんたちの書評が外部の方の目に触れる?


③相互の登録者が増えるかも? 


 そんなWINWINを願って。


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(おわりに)


 改めて、わりと参考になるじゃんと思った方は、この『ゼロから講座』や尾崎ゆうじのフォローをお願いします。過去にあれやこれやと無駄に困っていた頃の自分に捧げるような感じで、初心者の方へ向けたコンテンツ発信していきます。



 それでは今日のゼロから講座は以上です。


 みなさんの執筆の手がより進むよう祈りつつ、私も作業をしています。


 お越しいただきありがとうございました。



 またお会いしましょう。お疲れ様でした!


 ※本日、講座の①をテキスト化しました。もちろん動画も残しています。


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創作コーチ


尾崎ゆうじ


▼以下のリンクは、ドラッグしてコピー → 検索窓に貼り付けて検索してください。


(note)


 https://note.com/ozaki_yuji

 今日の学びはこちらで書いてます。



(youtube)


https://www.youtube.com/channel/UCu54sC6pviWQUC1eA6dqDKg/featured?view_as=subscriber 

 『ゼロから講座』の過去動画はこちら。書評動画もあるよ。



(stand FM)


https://stand.fm/channels/5f810a3bf04555115d146941 


 初~中級者向け。企画で語りきれなかったコメントの深掘り発信を音声で『気になるどーラジオ』


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