私のラブレター

田中ソラ

私のラブレター

美雪みゆき、ラブレター書いたの!?」


「うん……書いちゃった」


 ぱっとしないクラスのあの子。だけど優しくて、かっこよくて、すぐに好きになってしまった。


 そんな“好き”の気持ちを伝えたくて必死に書いたラブレター。


 お気に入りでおめかししている自分の写真と手紙を入れて、彼の机の中にこっそり入れた。


「どう、どうだった!?」


「分かんない……」


 その日、何も返事がなく母に心配されるほど落ち込んでいた私。


 進展したのは翌日だった。


「高見、これありがと」


「あ、うん!」


 昼休み、ラブレターを書いた彼が私のもとへ来てそう言った。


 気持ちが伝わったと思っていた私はうきうきして彼から差し出されたものを受け取った。


「え……」


 私が彼から渡されたのは私が書いたラブレター。


 自分で書いたものが自分に返ってきた。


「美雪! どうだ……」


 いつも笑顔の彼女はこの瞬間だけ、いつもの可愛らしい笑顔を崩した。


「私、ふられちゃったのかなぁ」


 クラスメイトが沢山いる中でぼろぼろ泣いて、沢山の友達に心配された。


 泣きすぎて熱が出てしまい、母に迎えに来てもらった。


 母に話すと「初恋はね、叶わないの」と言われてしまった。


 母は最初から私の告白が上手く行かないのだと分かっていたようだった。


 ぼやぼやする視界の中、自分で書いたラブレターを開け、手紙を広げるとそこには私の字で書いていない文字が。


“告白ありがと、嬉しかった”


 不恰好に書かれたそれに、涙は止まることを知らなかった。




「ありがとっ」


 こうして、私の初恋であり、初めての告白は失敗に終わってしまった。

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私のラブレター 田中ソラ @TanakaSora

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