第3話 遭遇戦




 グラムの部屋を出た後、私は、自分の部屋を作ることにした。

 場所は、第1層。

 いや、入口から遠いと困るからね。

 まず、外に扉とかの材料を取りに行く。

「あ、もう夜か……」

 外に出て、はじめて気づく、時間帯。

 なんか、俳句みたいになった。

「木は何本か持っていくとして……」


 結果、そこらへんに生えていた木を10本、そこらに落ちていた岩を2個、持ち帰った。夜通し作業したから、だいぶ眠い。

 自分の部屋の中で寝ることにした。


「お!ここかぁ〜。確かに新しいな」

「この扉、新しい……」

「さて、入るか」


 人が歩く音がする。

「侵入者……?」

 ほっとこう。何もないし。


「………お………い………おい!」

 誰かが私を揺さぶっている。

 誰だ。私は眠いぞ。てか、暗くて顔がわからない。

「こんなところに隠れて……さ、行こ?」

 え?え?えぇぇぇぇぇぇ!!??


「な、お嬢ちゃん。名前、言えるか?」

 なぜか、人間に話しかけられている私。

「リ……リア……」

「リアちゃんか。近くの村で行方不明者っていたか?」

「確か、この付近の村一つが丸ごと消えたわよ」

「そこの村出身か……なら、帰る場所はない、か」

「連れていくのか。この先は厳しいかもしれんぞ」

「出来立てのダンジョンは、簡単な傾向が強い!」

「よし、なら大丈夫だな」

 なぜ、私がついていかないといけないんだ?


 [第3層、スライムの部屋群]

 目の前はスライムだらけ。

 人間はそのスライムと戦っている。

 いや〜、スライムは何も喋らないからね〜。

 プッチプッチ潰れていく断末魔が聞こえなくてよかったよ。

 第2層のゴブリンの断末魔はだいぶこたえたけど。

「ヒャッホウ!経験値祭りだ!!」

「プチプチ潰れていくぅ〜」

 スライムが、かわいそう。

「さ、殲滅したから、次の階層に行こ」

 後で、復活できるか試してあげるからね。

さて、そろそろこの人間たちとは離れたいんだけど……。

 ん?後ろに……あ、ゴーストがいる。

 お願い、ゴースト!私をグラムさんのところまで連れてって!

「おーい。嬢ちゃん、そろそろ……」

「あれ?いない……まさか、さらわれた?!」

 GJ、ゴースト。


[第8層、グラムの部屋]

「グラムさーん」

『なんだ?』

「侵入者デース」

『そうか……』

「めんどくさいので逃げてきました」

『捕まってたのか……』

「人間の子供と間違われました……」

『お、おう……』

「自分の部屋、荒らされましたぁぁ……」

『………』

「帰る場所、無くなりましたぁぁぁぁ……」

『……ここで待ってろ』

「え?」

『創造主にこんなことをするのは、少し許せないからな』

「グラムさん……」


「あの子を助けるためにも、早く奥の方に進みましょう」

「そうだな。まさか、ゴーストがいるなんて……」

「俺が退魔の魔法を使えるから、対処はできるだろ」

「よし!行こう!最深部へと!」


[第6層、大広間手前]

「くそっ、なんでこんなにもここはボブゴブリンが多いんだよ」

「ボス手前とか?」

「なら、倒すか!」

「おうよ!爆炎魔法〈ブレイズボール〉!」

「お!絶滅か。やるな」

「そうか?」

「ボブゴブリン全て倒してるじゃない。あ、奥に部屋があるわ」

「よし、リアちゃん……待ってろよ」

「にしても、ここだけは明るいのね」

「謎に松明があるからな」

「さて、進むか」

 冒険者一行が、奥の部屋に入ると、そこには、ドラゴンがいた。

「そ、そんな……」

「マジかよ。ドラゴン……でも、やるしかない」

「爆炎魔法〈ブレイズボール〉!!」

 冒険者が魔法を放つが、ドラゴンには効かない。

「なら、〈ギガスラッシュ〉!!」


「………」

 グラムさんは、私のために、戦いに行った。

 私は……何もできていない。

 私も動かなければ。

 私の存在を示す為に。

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