第5話 実録‼ 怖い病気と白い蝶々の話

 今回は不謹慎ながらタイムリーな話題ということで病気に罹った香竹が熱に浮かされ体験した得体の知れないものの話。


 こう見えて(見えてねえ)身体だけは丈夫な香竹も人生で2度ほど病気で死にそうな目に遭ったことがありました。

 1度目は飛ばして2度目というのが大学4年の夏、教育自習中にインフルエンザに罹ったせいで実習が1週間伸びてしまい(その間に他の実習生が実習終えていなくなり一人実習先に残された孤独たるや嗚呼っ!)、その遅れを取り戻すため10日間一睡もせず指導案を書きまくり、10日で体重を9kg落とし(62→53kg。あのときは職員室にて遠くの席の先生が軽く咳払いしただけでも頭の血管切れそうなくらい追い詰められていましたよ)、ようやく実習期間が終わって就学先に戻ったものの郡山駅から当時住んでた富田町のアパートまでノートPC担いで歩いて帰る体力も尽き果て、人生で初めてタクシーを呼んで家に着いた後丸2日人事不省に陥っていたというお話(生徒に染さなくて本当に良かった…)。後にも先にも病気(病後?)で本当に死ぬかもしれないと肌で感じた体験はこれがダントツでした(以前の勤め先(※3話参照)では本当の意味で死にそうになった体験は何度かあったけどそれは別に病気の話ではないので今回も割愛)。


 さて遡って1度目は小学1年の時。前置きが長くなりましたがこれが今回の主題です。

 多分これもインフルエンザかな。

 朝から熱っぽくて学校を休んでいた日の夜。当時住んでいた借家で家族4人川の字になって寝ていると、枕元に白いぼんやりした人が蹲っているのに気づいた。熱っぽさにボワボワした目でボーと見ていたらその人がふと手を香竹の上に伸ばしてヒラヒラした白いものを飛ばしてきた。

 ヒラーリヒラーリと目の前をゆっくり飛び回っているのにバッサバッサと羽音がうるさいその蝶々みたいなものが鬱陶しくて、ぶつぶつ譫言を呟きながら手で追い払っているうちに、目を覚ました両親が香竹の肩を揺さぶって何事かと問い質すと、本人曰く「白い蝶々が目の前でうるさい」と本当に目の前にいるように手を払いながら呟いていたそうな。

 もちろんそんなものは両親には見えない。これは只事じゃないと熱を測ってみたら40度を軽く超えていたんだとか。

 慌てて尻を捲られ座薬打たれたり病院に電話したりと血相変えた両親の尋常じゃない様子に「ああ、これは死ぬんだな」と幼心ながら察した香竹はビービー泣き、そのうち座薬が効き始めたのでその夜は病院の夜間救急外来には連れていかれず氷枕と水タオルで頭をサンドイッチにされ再び寝かされました(当時は冷えピタなんてなかったからね)。

 座薬が効いたのか大分具合も落ち着き夢現に枕元を見ていると、もう白い蝶々は見えなくなっていたものの、相変わらず白いぼんやりした人は蹲ったままじいっ、と香竹を覗き込んだままでした。


 ちなみに翌朝にはけろりと治っていました。


 あれは何だったんでしょう。守護霊ですかね?


 というような話。

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